2014年8月3日日曜日

中国の貧富格差:1%の富裕世帯が富の3分の1以上を保有?

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レコードチャイナ 配信日時:2014年7月28日 14時59分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=91743&type=0

中国の格差が拡大、1%の富裕世帯が富の3分の1超を保有
=共産党の地位揺るがす?―北京大学等報告書


●写真は2014年の北京モーターショー。高級車のブースは黒山の人だかりとなった。

26日、RFI中国語版は記事
 「上位1%の富裕世帯が富の3分の1超を保有―中国
を掲載した。
一方で貧困世帯が保有する富は全体のわずか1%だ。

2014年7月26日、RFI中国語版は記事「上位1%の富裕世帯が富の3分の1超を保有―中国」を掲載した。

北京大学と中国社会科学調査センターは25日に報告書『中国民生発展報告2014』を発表した。
中国の格差はきわめて深刻な状態にあることを明らかにしている。
上位1%の富裕世帯が富の3分の1以上を保有
している。
一方で世帯数の4分の1(25%)近い最貧困世帯が保有する富はわずかに1%だ。

報告書は格差拡大が人々の怒りの要因となり中国共産党を不安にさせていると指摘。
執政党としての地位を失わないようにするために国家と社会の安定に努めなければならないと提言した。


 どこまで信用できるかは別にして、
 1%の富裕層が中国の富の1/3の富を保有して
 25%の貧困層が富の1%しか保有していない
ということであったら、昔風にいうと
 「人民派が走資派を襲撃」
ということは現実に起こりうる。
 その危険から逃げ出すために、富裕層は国外逃亡・国外移住を実行する。
 しかし、文明国で門戸を開いていたカナダが扉を閉ざし、いまはオーストラリアのみとなってしまった。
 オーストラリアもいつ門を閉めるかわからない。
 果たして、間に合うか、逃げ込めるか。
 中国富裕層にとってはカウントダウンjが進行しているといっていい。


 WEDGE Infinity 日本をもっと、考える  2014年02月21日(Fri) 
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3621
弓野正宏 (早稲田大学現代中国研究所招聘研究員)

中国富豪の夢砕く カナダの移民政策変更

 中国の富裕層が大挙して海外に移民している。
 正確に言えば、金持ちの一族が海外で不動産購入や投資を通じて永住権を取得している。
 こうした富裕層には当然、中国政府高官も含まれる。
 贈収賄で貯めた財産を海外に貯金したり、不動産を買い漁るのだ。

 ただこうした状況はそろそろ転換期にさしかかっているといえそうだ。
 国内での「倹約令」など決まりが厳しくなり、綱紀粛正の徹底や家族の海外移住状況の報告義務化で移民が難しくなっているためだ。

なぜ中国人は金持ちであるほど移民したがるのか

 しかし、中国の金持ちにとって海外移住が難しくなりつつあるのは、中国国内の理由からだけではなさそうだ。
 移民受入国の事情もある。移民大国のカナダはこれまでの移民政策を変更しようとしている。
 そこでここではカナダの移民政策変更が中国富豪たちの移民に与える影響についての記事を紹介したい。

 『鳳凰衛視』テレビ局のサイト記事
 「中国の富豪4兆の資産を海外に隠す 
 カナダは投資移民を廃止」と北京市の共産主義青年団の機関紙『北京青年報』の「カナダが移民政策取り消しについて回答
 :移民はカナダに貢献せず」
である。

* * *

記事(1)【2014年2月15日『鳳凰衛視』ネット(抄訳)】

 カナダは2月12日に現在の移民政策を廃止することを公表した。
 この決定で5万人近くの中国富豪の移民する夢が砕かれた形になり、各界からの注目を浴びている。

 2013年末に胡潤百富(中国富豪ランキング:筆者)が公表した調査結果によると、2013年に移民した、あるいは移民を申請している富豪は合計で2012年よりも6.7ポイント増加し、64%に上ったという。
 富豪による富の流出(中国からの:筆者)は驚くべきものだ。
 ボストンコンサルティンググループの出したデータでは約4500億ドルに上り、同社によると中国の富豪による海外投資額は今後3年で倍増するとみられている。

 ロンドンのコンサルティング会社ウェルス・インサイト社によると、
 中国の富豪は現在約6580億ドル(65兆円超:筆者)の資産を海外に蓄財しており、
 これは4兆796億元相当で、
 中国の年間の財政収入の30%超に当たる額
だという。
 なぜ中国人は金持ちであればあるほど移民したがるのだろうか。

 中国の富裕層が海外にこぞって押しかけることで富と人材の二つの面で深刻な流出が起きている。
 中国では富の流出阻止が声高に言われるようになっており、2014年1月1日から中国では国民に海外資産の報告が求められるようになったが、こうした政策が富裕層の移民にどのような影響があるかについては引き続き見ていく必要があるだろう。

経済発展への貢献が比較的小さかった

記事(2)【2014年2月16日『北京青年報』ネット(抄訳)】

 カナダ政府が行ってきた「28年間実施し、13万人の移民に青信号を照らし、富裕層に最も歓迎されてきた」カナダの移民計画が終わりを告げることが明らかにされた。
 カナダ移民局責任者のソニア・ルサージュ女史に聞いた。

 「投資移民計画の廃止」という言い方は、カナダ政府が先日出した「2014年経済行動計画」において言及されたもので、カナダ政府は連邦投資移民計画と連邦企業家移民計画を終了させ、新しい試験計画に道を開き、カナダの労働市場と経済的需給を満たすことを目指している。

 まだ最終的な決定は下されていないが、カナダ政府では立法措置を通して投資移民申請を終わらせることにしており、すでに申請されたものは申請費を返却するという。
 具体的詳細は数カ月以内に公表される予定だ。

 目下、投資移民計画が受理された申請者は6万5000人を超えているが、もしこの項目が廃止されると、差し止められた申請を処理(申請手数料の払い戻し等を指すと見られる:筆者)するには6年かかると見込まれる。

 投資移民計画廃止に対して香港「サウスチャイナ・モーニングポスト」紙は中国からの富裕層の申請がカナダの投資移民プロジェクトを崩壊させたとしている。
 そしてカナダの資料では1月8日までに香港から提出されて
 差し止められた移民証は5万3500部に上り、うち99%は中国大陸からだという。

 ルサージュ女史によると、投資移民プロジェクトを「崩壊」させたのは申請そのものではなく、移民がカナダ社会に社会的貢献をしていないことだという。
 「80万ドルの無利子借款によってカナダ経済の発展が図られたことを除き投資移民プロジェクトによる経済発展への貢献は比較的小さかった」、
そして
 「彼らがカナダで稼ぐ収入は少なく、納税額もとても小さかった」
のだ。
 投資移民が中長期的にカナダに留まる可能性は低く、他の移民よりも通常、言語レベルが低いことも判明している。

移民の減少が与える影響は?

 かつて外国人は少なくとも160万カナダドル(現在1カナダドルは約92円:筆者)の資産を持ち、5年間でカナダ政府に対して80万ドル分の無利子ローンを提供すれば永住権が得られることになっていた。
 過去7年の間にブリティッシュ・コロンビア州政府はこの投資移民から得た4億ドル余りの無利子ローンを社会サービスに投下し、2億6000万ドルを病院や学校施設の改修につぎ込んだ。
 これによって2500人分の雇用も生まれた。

 5年後には政府はローンを返済する必要があるが、毎年新移民がもたらす資金は、社会全体に富をもたらした。
 しかし、移民計画の中止によって州政府の投資計画に影響を与え、プロジェクトによってはキャンセルを余儀なくされ、地元経済に一定の影響を与えるであろう。

 またある不動産業者はバンクーバーのような移民が多い都市で移民の減少は当地の不動産価格の下落を引き起こし、建築、鋼材、セメント業界にも影響を与えるだろうと憂慮している。

* * *

【解説】

 中国の富豪たちが大挙して海外に押し寄せ、その国の永住権を獲得しようとするのは奇異である。
 中国は「改革開放」政策に舵を切って年成長率が10%を超える急成長を遂げ、日本を抜いて世界第2位の経済大国となり、「G2」(アメリカと中国の2超大国)といわれるまでになった。
 習近平政権は、「中華民族の偉大な復興」、「中国の夢」というスローガンを掲げ、成長の行方は順風満帆はずではなかったか。

 ところが鄧小平が「富める者たちから富め」と金儲けを認め、そうした政策に則って成功した当の富豪たちは富を手にしたとたんにこぞって海外移住を始めている。
 「中国の夢」とは金持ちになって海外に移住することなのか。

話題になった薄熙来の海外豪邸

 高官たちが世界各地で高級不動産を買い漁り、その豪邸が華僑系ニュースで大々的に取り上げられるのは珍しいことではなくなった。
 汚職に手を染めた高官たちが中国国内で金儲けに精を出し、家族を海外に移住させて中国国内から仕送りをするという「裸官」という言葉も出現した。

汚職高官の代表格として薄熙来(元重慶市党委員会書記)が挙げられるが、彼が逮捕されてから、海外で購入したイギリスやフランスの豪邸が暴露され、その豪邸の贅沢さに多くの人が度肝を抜かれた。

 カナダに限らず、オーストラリアやアメリカに不動産を持つとされる高官もいるし、現役の指導者、引退した指導者たちやその家族も海外での不動産所有の噂が絶えない。
 中国富豪の海外移住と高官の汚職は切っても切り離せない表裏一体の関係なのだ。

 良くも悪くも中国の急成長は、移民先でも経済に大きな影響を及ぼすまでになっているのは記事のとおりである。
 カナダでは不動産価格の高騰を引き起こし、バンクーバーやトロント等の都市で住宅価格は過熱気味でバブルの様相さえ呈している。

新たな移民先として注目を浴びるカリブ海諸国

 しかし、記事で紹介したようにカナダは投資移民制度の廃止を検討し始め、現在申請済み部分を棚上げにしている。
 カナダやアメリカなど欧米の移民の門戸は閉じられつつあるようだ。
 こうした中で代わりに一躍注目を浴びるようになったのがカリブ海諸国だ。
 昨年、習近平国家主席が訪問したカリブ海の小国トリニダード・トバゴもそのうちの一つだ。

 移民先のカリブ海の国として注目を集めるのがセントクリストファー・ネイビスである。
 2012年に中国からの移民はたった20人だったがこの数年で数倍になったという。
 人口5万2000人超しかない小国が移民の選択先になったのは、国籍取得の条件が緩く、海外収入の課税もなく、ここからステップアップで別の国に移民も可能だからだという。
 ある弁護士によれば多くの企業家の中には中国政府の制限をかいくぐり、香港で上場し資金集めをするという目的を持つものもいるという。

 このようなビジネス目的でどこの国でもいいから利便性を追求して移民する様は日本人にはなじみにくい。
 利便性を追求し、ある国の永住権取得を目指し、駄目なら別の国というような刹那的生き方はどうも受け入れ難い。

 もし「中国の夢」実現を本気で目指すなら、そのような刹那的に移住するのではなく、国に止まって政治の改革推進を後押しし、環境保全を進めて大気汚染を改善し、貧富の格差を是正して多くの人が発展の恩恵を享受できるようにすべきなのだ。
 富裕層が国から逃げ出すような社会が理想的である訳がない。

 毛沢東の功績を賛美したばかりの習近平政権だが、富を手にした「紅二代」たちが大挙して海外に移民しようとする様を、もし命を懸けて国を作った「革命世代」が見たらどう思うだろうか。
 「中国の夢」、「中華民族の偉大な復興」と大言壮語に浮かれず、自分の生まれ育った土地、国で地道に持続可能な発展を目指すことこそが真の「偉大な復興」であろう。



CNN ニュース 2014.08.03 Sun posted at 18:14 JST
http://www.cnn.co.jp/world/35049648.html?google_editors_picks=true

母国を捨てる富裕層、その理由は


●「母国を捨てる」理由の一つは資産の確保だ

香港(CNNMoney) 資産を守るために「母国を捨てる」上流階級の人々が増えている。
移住先として人気なのはキプロスやスペイン、オーストラリアなどの投資とひきかえに市民権や永住権を取得できる制度がある国々だ。

このような投資家向け移民プログラムは、米国、欧州、カリブ諸国など世界20カ国で利用できる。
金融危機の打撃からいまだ立ち直っていない国では景気刺激策が必要とされていることもあり、さらに多くの国が同様のプログラム導入に踏み切る見通しだ。

この問題を巡り、投資移民プログラムについて助言しているアートンキャピタルとシンガポールの調査会社ウェルスXは共同調査を実施、このほど報告書にまとめた。
報告書によると、近年、
 「富裕層向けに投資移民プログラムを提供する国が増えてきている」
 「いくつかのプログラムは、純粋な投資の手段として超富裕層には魅力的だ」
という。

増加の背景には、富裕層にとってプログラムが割安となっている事情がある。
投資額として求められる金額は50万ドル(約5000万円)から数百万ドル程度。

ウェルスXの最高経営責任者(CEO)であるミコラス・ランバス氏によると、これは「そうした富裕層の純資産のごく一部」にすぎない。


●カリブ海のセントクリストファー・ネビス。カリブ海諸国は移住先として人気だという

具体例を挙げると、ブルガリアでは、投資移民に対して70万ドル(約7000万円)相当の国債を5年間保有することを課している。
 またカリブ海に位置するセントクリストファー・ネビスでは、40万ドル(約4000万円)を同国の不動産または砂糖産業に投資することを義務づけている。

10年前、こうしたプログラムはわずかしかなかった。
 だが、多数の国がプログラムを導入し始めた近年では、年間約2万人の富裕層が申請に殺到している。目的は財産保全だ。

より低い所得税を求めたり、あるいは、相続税の支払いから逃れることが狙いとなっている場合もある。
 この結果、超富裕層の子どもは、今後30年にわたり16兆ドル(約1600兆円)以上もの額を相続することになる見込みだ。

極端なことを言うと、抜け目ない移住者であれば、複数の市民権や居住許可証を手に世界各国を飛び回ることもできるだろう。
 こうして数日ごとに国を移動していけば、永久に居住者として課税されずに済むかもしれない。

アートンキャピタルの社長であるアルマンド・アートン氏によれば、課税逃れ以外の移住目的として挙げられるのは、
●質の高い教育、
●政情不安の回避、
●ビザの必要ない外国旅行、
●高い生活水準
などだ。

投資移民の出身地として最も多いのは中東で、インドと中国がこれに続いている。
アートン氏によれば、最近では、政治情勢の不安定さを懸念したロシア人富裕層からの問い合わせが多いという。

移住先として最も人気があるのは欧州であり、次にくるのが節税に有利なカリブ諸国だ。
アートン氏によれば、中東の投資家に好評なのはこの2地域だが、中国人はアメリカンドリームを目指して米国を目指す例が多い。
二重国籍の取得を禁じられている中国人にとって、グリーンカード(米国永住権)を入手できるという意味でも米国のプログラムは魅力的だ。

実際、CNNが米国政府のデータを分析したところ、米国の投資移民プログラムでは中国人が80%を占めていた。

ランバス氏は「グローバル志向の富裕層には投資移民が必須になりつつある」と指摘した。



ロイター 2014年 08月 11日 17:36 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0GB0MK20140811

中国腐敗官僚ら150人超が米国に逃亡中─公安省高官=政府系英字紙

[北京 11日 ロイター] - 中国政府系の英字紙チャイナ・デーリーは11日、公安省高官の話として、腐敗官僚ら150人超が米国に逃亡していると伝えた。
 同省は身柄拘束に向け、米司法当局との間で年次のハイレベル協議を開催する方針。

同紙によると、中国公安省国際協力局の廖進栄局長は「逃亡先として(米国が)トップになっている」と指摘。
 一方で、同省のデータによれば、
 この10年間で裁判のために中国に移送された逃亡者の数は2人
にとどまる。
 米国との間で犯罪人引き渡し条約が結ばれていないことや、移送の手続きが複雑で時間がかかることが要因だとしている。

また、同紙が専門家の話として伝えたところによると、米司法当局が中国の司法制度・手続きを「誤解している」ことも逃亡者の身柄拘束の障害になっているという。

 習近平政権は汚職撲滅を主要な課題として掲げている。
 また、配偶者や子どもを海外に移住させ、不正に蓄財した資産を国外に移したり、不正が発覚した場合に備えて国外逃亡を図ろうとしたりする腐敗官僚「裸官」の取り締まりを本格化させている。



【描けない未来:中国の苦悩】

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