2014年9月30日火曜日

台湾:中国との一国二制度「受け入れられない、台湾と香港は状況が異なる」

_


ANN ニュース (10/01 08:00)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000035721.html

中国の習近平主席「1国2制度揺るぎない」

video

 香港で選挙の民主化を求める学生らによる抗議活動が続くなか、中国の習近平国家主席は建国65周年の式典で演説し、「1国2制度の方針を揺るぎなく実施する」と訴えました。

 中国・習近平国家主席:
 「中国中央政府は『1国2制度』の方針と基本法を揺るぎなく実施し、
 香港、マカオの長期的な繁栄と安定を揺るぎなく維持していく」
 習主席は、民主化を求める抗議行動が続く香港の高度な自治を認める「1国2制度」の方針を訴える一方で、「安定の維持」についても強調しました。
 式典には江沢民元国家主席も出席し、一部報道で流れていた健康悪化説を否定した形です。



サーチナニュース 2014-09-30 21:01
http://news.searchina.net/id/1544751?page=1

中国・習近平主席が一国二制度に言及
・・・台湾メディア「受け入れられない」、馬英九総統「受け入れられない」

 中国共産党の習近平総書記(国家主席)は26日、北京を訪れた台湾の「統一派」の一行と会談し、大陸側の主張である「一国二制度」による統一が「もっともよい方法」と述べた。
  中国の指導者は長期にわたり「一国二制度」を口にしなくなっていた。
 中国時報系のニュースサイトの中時電子報が「香港は香港、台湾は台湾」と習近平発言に反発。
 馬英九総統も「台湾人の受け入れるところではない」と述べた。
 台湾では香港で発生した民主化を求める大規模な抗議運動の影響もあり、対中反発が強まっている。

  中国大陸は1970年代末まで、台湾の「武力解放」を主張していた。
 しかしトウ小平の考えで「平和統一」を目指す方針に転換し、
 1982年には「一国二制度」という、「台湾の経済体制は現状維持でよい」との条件での統一を呼びかけた。
 台湾は取り合わなかった。
 「一国二制度」は、1997年に英国から返還された香港と、99年返還の澳門(マカオ)に適用されることになった。
   中国側が台湾に対する「一国二制度」を撤回したわけでないが、馬英九政権が発足したころから、「一国二制度よる統一」に言及することが少なくなり、「(台湾海峡の)両岸はひとつの家族」など、現状を変更する意志をにじませずに両岸に住む人々を「同胞」などと強調する言い方を使うようになった。
 そのため、習総書記が改めて「一国二制度」を持ち出したことで、注目が集まった

  台湾では大陸側に対する警戒が強まった。
 親中的な論調が目立つとされる中国時報系のニュースサイトの中時電子報も、習総書記の発言に反発した。
 まず、「台湾の民衆が受け入れられないのは当たり前」と指摘。
  香港では、大陸側が主張してきた「一国二制度」が、民主化要求の大きな高まりにより
 「権威、さらに人々の信頼を失う」という“試練”に直面
していると言ってよい。
 習総書記は、台湾の統一派を力づけると同時に、「一国二制度」という政治概念の「生命力」を復活させようという目的で発言したと考えられるが、中時電子報は「香港は香港、台湾は台湾」として、両地域の状況は全く異なると主張し、習近平発言に反発した。
  中時電子報はまず、香港は「都市」であり、つねに大陸と密接なつながりがあった(切り離されることはなかった)と指摘。
 さらに香港は、「植民地としての歴史を続けた後に、祖国という『大家庭』に戻ってきた」と論評。
 一方の台湾は、オランダ、明末・清始の鄭成功政権、清、日本という統治者が次々に交代する複雑な歴史を経て、いったんは異民族による統治を脱したが、海峡両岸に再び異なる政権と異なる意識形態が発生することになり
 「60年以上、冷戦対立が発生し、部分的には軍事衝突も発生した」
と指摘。

 さらに台湾については、1949年以降は中華民国の主要な領土であり、大陸側が認める認めないには関係なく
 「一貫して事故の憲法、国号、国旗、中央政府、軍、完成され独立した政治経済制度を保持してきた」、
 「民主化以降は普通選挙を通じて、それまで以上に強い共同体意識を凝縮させた」
と論じた。
  論説はさらに、香港が中国に復帰する際には、「香港特別行政区基本法」により「一国二制度」を導入することができたが、台湾では「一国二制度」の導入と、1947年以来、50年以上にわたり台湾で実施されている「中華民国憲法」とは両立不能だと述べた(解説参照)。
  馬英九総統も、「われわれは一国二制度を受け入れないと表明してきた」と指摘。
 自らの言葉として
 「よい制度なら、1国に制度は1つでよいはずだ」
と、「一国二制度」との考え方にはそもそもおかしな点があると論じた。
 馬総統は具体的には論じなかったが、
 国民党には「中国大陸はいずれ、国民党の党是である『三民主義』の社会になる」との考え方があり、
 中国はむしろ、台湾側に体制を合わせるようになるとの考えと言ってよい。

  馬総統は、「双方とも『1つの中国』の立場は堅持しつつ、
 具体的解釈はそれぞれで異なることを認める(一中各表)」ならば受け入れられる」と表明。さらに、「『一中』の『中』が民国を指すならば、台湾では『一中各表』が5割以上の支持を得ている」と主張した。
  馬総統は
 「中華民国はひとつの主権国家であり、みずから総統、国会を選出し、自らの実務を自らが管理している。
 香港とは全く状況が異なる」
との考えを示した上で
 「ただし、台湾は香港について強い関心を持っている。
 香港と台湾の関係は密接だからだ。
 香港の民主化が実現できれば、香港にとっても、大陸にとっても、台湾にとっても大きなプラスだ」
と述べた。

**********

 ◆解説◆
 中時電子報が指摘した、「一国二制度」を受け入れる場合の憲法上の問題は極めて興味深い。
 中華民国憲法は改正について
 「審議の際に全議員の4分の3以上の出席、さらに出席議員の4分の3の賛成が必要」
と定めており、「日本国憲法よりも改正のハードルが高い」などとされているからだ。
  つまり、台湾では政府が仮に「一国二制度」を承認したとしても、憲法改正が議会を通過するとはほとんど考えられない。
 中国側は「平和解放」と「一国二制度」をワンセットにして主張しているが、
 中国側の考え方を論理的に分析すれば
 「台湾の法治制度を無視している」
 あるいは「遠い将来まで実現の可能性はないと自らも分かっている」
としか解釈できないことになる。
   「一国二制度」の習近平発言のタイミングも興味深い。
 26日の発言だが、香港で2017年の行政長官選挙について、中国大陸が決定した「反中国の人物の立候補は事実上不可能」との方式に対する民主派の抗議運動が急速に拡大したのは28日だった。
  台湾では、習近平発言と香港の状況を続けて受けとめることになり、「中国不信」がさらに高まった。
 習近平発言は「きわめてまずいタイミングだった」と言わざるをえない。
 中国側は香港情勢の変化を想定していなかったとみるのが自然だ。
   頼清徳台南市長によると、台湾第2の野党である親民党の宋楚瑜主席が5月に北京を訪問して共産党の習近平総書記と会談した際、習総書記は「国民党は事実と異なるメッセージを送ってきていた」と述べたという。
 そのため大陸側は、台湾で大陸とのサービス貿易協定に対する猛烈な抗議が発生することを、予測していなかったということだ。
  大陸側は香港についても、民意の動向を正確にキャッチしたいなかった可能性が高い。



レコードチャイナ 配信日時:2014年9月30日 8時33分
https://www.youtube.com/watch?v=QQqlHviFLkI

台湾総統、
中国との一国二制度「受け入れられない、台湾と香港は状況が異なる」―米メディア

 2014年9月29日、米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(中国語電子版)によると、台湾の馬英九(マー・インジウ)総統は
 「中国との『一国二制度』は受け入れられない。
 しかし、(台湾と中国当局の間で一つの中国問題について達成したとされる)92年コンセンサスは受け入れる」
と述べた。

 馬総統は
 「仮に良い制度であれば、それは一国一制度であるべきだ。
 台湾と香港は状況がまったく異なる。
 中華民国(台湾)は一個の主権国家であり、自らの総統、議員、自らが管理する自らの物を選ぶことができる」
と語った。

馬総統はこのほど、スコットランドの英国からの独立を問う住民投票について、中国共産党が1980年代初めに提案した一国二制度の目標は香港ではなく台湾だと表明。台湾は同制度の受け入れを拒否するとしていた。一方、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は先週、台湾を一国二制度を通じて中国に統一させると改めて強調。「中国はいかなる分裂行為も容認しない」と警告していた。



サーチナニュース 2014-09-30 11:11
http://news.searchina.net/id/1544687?page=1

台湾で香港の民主化要求支持の声高まる
・・・馬英九総統は大陸当局とデモ隊双方に「注文」

 香港では、2017年の行政長官選挙を巡り、西側諸国並みの普通選挙を求める民主派約6万人が、中心部の中環(セントラル)を占拠する事態が続いている。
  台湾では香港の民主化の動きを支持する声が高まっている。
 馬英九総統は29日、
 「中国大陸当局は香港市民の声に耳を傾けるべきだ」
と述べる一方で、市民に対しては
 「平和的かつ理性的な方法で要求を伝えるべきだ」
との考えを示し、双方に「注文」をつけた。

 台湾では戦後、長期にわたり国民党による独裁体制が続いたが、1970年代から民主化を求める動きが強まった。
 最終的には李登輝総統(当時)の決断で、台湾には民主的制度を取り入れることになった。
 さらに、台湾では今年(2014年)3月から4月にかけて大陸とのサービス貿易協定を強引に発効させようとした馬英九総統に反発し、学生らが立法院(国会)を占拠。同協定の審議をやり直させることに成功した。

  台湾では多くの人が、民主的制度を自らの手で勝ち取り、守っているとの意識を持つ
ことから、香港で進行中の事態にも大きな関心が寄せられている。
  台湾のインターネットの書き込みでは、香港の民主化運動を支持する声が圧倒的に多い。
 また、民主化要求の運動に参加する」などの目的で、香港に向かう人も出ている。
 台湾の掲示板PTTの人気投稿者の劉宇さん(アカウントは四叉猫)さんは香港到着後、
 「今日の香港は明日の台湾。私は台湾人だ。私は香港人を支援する」
とのプラカードを掲げた自らの写真を投稿した。
  香港では28日までに、運動を展開する学生ら70人余りが逮捕されたことで民主派は態度を硬化させた。
 現職の梁振英行政長官の辞任を求める声も強まった。

  香港当局は29日、占拠側の激しい抗議活動が小康状態になったとして、機動隊を後退させた。
 当局側は抗議側に対して、できる限り平和的に引き上げるよう求めているが、抗議側は民主化要求のシンボルとなった「傘」を日よけにして占拠を続けている。
 傘の下で寝そべる人もいるという。
  台湾の馬英九総統は29日、香港で行政長官の民主的選挙を求める大規模な抗議運動が発生したことについて「中国大陸当局は香港市民の声に耳を傾けるべきだ」と述べた。
 馬総統は、香港市民の普通選挙を望む声を理解し支持すると表明しり一方で経済への影響を考慮し、市民に対して「平和的かつ理性的な方法で要求を伝えるべきだ」と呼びかけた。
  香港婦女参政ネットの劉家儀主席は29日、台湾の民衆の多くが香港における「セントラル占拠」を支持していることに非常に感動したと述べると同時に、馬英九総統には「がっかりした」と表明。
 「理解する」などと言いながら、中国共産党をはっきりとは非難はしていないと指摘した。
   劉主席は馬総統を「香港人は暴力を受けても(当局と)対峙している。
 馬英九は香港生まれということで、香港人は(総統就任時に)歓迎したのに」と述べ、馬総統を、「裏では、どんなインチキをやっているか分からない」と非難した。

**********

 ◆解説◆
  馬英九総統は、自らが推進した大陸側とのサービス貿易協定締結に対する、抗議運動の一環として発生した立法院占拠や大規模デモに対して「力による排除」はしなかったが、学生らをはじめとする反対派市民の声に「積極的に耳を傾けた」わけではない。
  学生らが反対したのは、サービス貿易協定の内容そのものだけでなく、民主的手続き上の欠陥だった。
 台湾では、大陸側の協定について、「国と国との関係ではない」という建て前により、「条約」ではないとの扱いだった。
 条約ではないため、発効させるために議会(立法院)の批准は必要でなかった。
 国民党側が、議会のはっきりとした承認を得ずして「成立」と宣言したことで、抗議活動が本格化した。
 学生が立法院の占拠をやめたのは、同じ国民党でも、馬英九総統(党主席)と厳しく対立している王金平立法院院長が、学生らの求めに応じ「まず、大陸との協定の発効には立法院の採決を必要とするルールを作る。
 その上で、サービス貿易協定の審議をやりなおす」と約束したことが、直接のきっかけになった。
 王院長は馬総統の同意を得ず、学生に独断で約束したとされる。



サーチナニュース 2014-09-29 15:53
http://news.searchina.net/id/1544596?page=1

台湾・馬英九総統
「防空識別圏を設ける際には、通告すべきだ」、
「中国はしなかった」

 台湾の馬英九総統はこのほど、カタールの衛星テレビ、アルジャジーラの取材を受け、
 「防空識別圏を設定する際には相互に通告しあうべきだ」
と述べた。
 中国が2013年11月に東シナ海での防空識別圏を設定した際には「通告がなかった」と指摘し、通告がない場合には「戦火を招くことになりかねない」と述べた。
 中国新聞社などが報じた。

  馬総統は、中国が2013年11月23日に東シナ海における防空識別圏の設定を宣言したことについて
 「事前の通告はななった。
 台湾を含め多くの国と地域にとって想定外だった。
 その後、米国、日本、韓国、台湾も措置を取ることになった」
と説明。
  防空識別圏の設定については
 「国際法上の制限はない」
とした上で、
 「私は通告して、皆に知らせるべきだと思う」
と述べた。
 馬総統によると、防空識別圏内では、国防についての何らかの予防性措置を取ることになる。
 そのため相手側も事前に準備をしておく必要がある。
 準備をしていない場合、「戦火を招くことになりかねない」と述べた。

 馬総統は、
 「中国大陸はもともと、東シナ海の防空識別圏設定の後、南シナ海にも(防空識別圏を)設定することになっっていたが、とりやめている」
と説明。
 東シナ海における防空識別圏の設定のやり方が、各方面からの極めて強い関心を集めたからとの分析を示し
 「中国大陸側にとっては、よいことではなかった」、
 「彼らも、国際社会にはやはり一連のやり方の規範というものがあり、それらをないがしろにはできないと、少しずつ分かってきているのだろう」
と述べた。

 台湾(中華民国)は中国が東シナ海の防空識別圏設定を宣言した翌日の2013年11月24日、同宣言が釣魚台(尖閣諸島の台湾側呼称)が中華民国領土である事実に何の変更ももたらさないと主張する声明を発表した。
   同声明では、中国大陸が発表した防空識別圏が台湾側の防空識別圏と重なり合う部分があるとして、
 「わが国軍は、東シナ海平和イニシアチブを順守し、争いを平和的に解決する。
 同時に適切な処置により、わが空域の安全を確保する」
と主張した。

**********

◆解説◆
  「東シナ海平和イニシアチブ」は馬総統が2012年8月5日に発表した、尖閣諸島を巡る領有権争いに対する提案。
 「各国が自制し、対立をエスカレートさせない」、
 「主権についての争議は棚上げする」、
 「対話のパイプを放棄しない」、
 「国際法を巡視し、平和的方法で問題を処理する」
などを主張している。
  中国大陸は一時、尖閣諸島の問題がエスカレートしたことで台湾との「共闘」を求める声があったが、馬総統は否定的見解を示し、
 「中国大陸のように力だけで押していく方法で、問題の解決は得られない
と批判した。
 また、中国の尖閣諸島に対する領有権主張の論法は
 「釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)は台湾の一部である。
 台湾は中国の一部である。
 ゆえに、釣魚島は中国の一部である」
なので、台湾では同問題に対する中国の取り組みは
 「台湾に自らの主権を及ぼそうとする意図がある
との警戒の声も出た。



サーチナニュース 2014-10-21 10:31
http://news.searchina.net/id/1546502?page=1

台湾軍:ハープーン・ミサイルを潜水艦から発射
・・・標的に命中、初の試みに成功

 台湾軍は18日、潜水艦からのハープーン・ミサイル試射を実施。2発発射して、いずれも水上の標的に命中させた
 台湾メディアの中央晩報は「わが国の潜水艦部隊は、水上の艦艇を遠距離から攻撃する能力を得た」と評した.


  アップルデイリー(台湾)によると、米国国防省は2008年時点で、同国連邦議会に対して台湾に対して潜水艦から発射するタイプのハープーン・ミサイル36発(うち4発は訓練用)を売却すると報告。
 台湾に売却する同ミサイルの射程は120キロメートルで、台湾が保有する魚雷の射程を大きく上回るという(さらに遠距離までのこうっげきが可能との説もある)。
  軍側は詳細を発表していないが、台湾南沖の九鵬海域で海龍級潜水艦がハープーン・ミサイル2発を試射し、いずれも水上の標的に命中させたという。
 ただし、ハープーン・ミサイルを使用しても、敵側に潜水艦の位置を捕捉され、航空機による攻撃を受けるとして、同ミサイルの導入がそのまま戦力増強にはつながらないとする台湾の元軍関係者の意見もある。
 台湾のハープーン・ミサイル試射成功は20日になり中国メディアも報じた。
 ただし、おおむね台湾における報道の引用であり、特に論評は加えていない。

**********

◆解説◆
  台湾ではこのところ、潜水艦戦力についての注目が集まっている。
 海龍級は1980年代にオランダから購入したズヴァールトフィス級潜水艦の改良型だ。
 当初計画では6隻を購入するはずだったが、中国が大使引上げなどオランダに強い圧力をかけたため、計画が縮小されたとされる。
   米国は台湾に潜水艦搭載型の対空ミサイルの売却はしているが、潜水艦そのものの売却には応じていない。
  そのため台湾軍部は今年(2014年)10月になり、米国の軍需産業企業関係者に、台湾が潜水艦を自主的に開発する意向を伝え、協力を要請した。
  台湾が国防の充実を図る際、「中国への対抗を想定」とは敢えて言わないなど、慎重に言葉を選ぶ場合が多いが、“仮想敵は中国大陸側”と考えていることは明らかだ。


サーチナニュース 2014-10-29 16:49
http://news.searchina.net/id/1547421?page=1

台湾「国家安全上の理由」で禁止
・・・一定地位の公務員、大陸に赴いての教育機関などでの受講

 台湾の馬英九政権は10月30日から、現職の公務員、国家安全局、国防部、調査局の職員が中国大陸に赴いて、教育機関などで受講することに制限を設ける。
 事実上の禁止令となる。
 理由は「国家安全上の問題」という。
 台湾側では聯合報、中国大陸側では中国新聞社が報じた。

  民進党の邱議栄立法委員(国会議員)が2013年末、公務員が大陸に行き、大学など教育機関で受講することには、国家安全上の疑念が持たれると、批判していた。
 台湾当局で大陸側との交渉窓口である大陸委員会の王郁琦主任委員は邱委員の批判に対しtえ
 「公務員が大陸に行き受講することは法律では禁止されていないが、政府としては支持しないし奨励しない」、
 「今後は、管理措置が次々に発表され、高級公務員が大陸に行き受講されることが禁止されるだろう」
と表明た。
 馬英九政権はその後、同問題について目立った動きを見せなかったが、最近になり「急ブレーキ」をかける形で、
 「台湾地区・公務員及び特定身分人員の大陸地区進入許可弁報道」
を修正したという。

 大学での受講については、「学位を取得できる場合」、「修了書だけを取得できる場合」などさまざまなケースがある。
 「11職」以上の高級公務員の場合には、受講が途中の状態である場合でも、継続を認めない。
 したがって、新たに学位や修了書を取得することはできないことになる。
  それ以下の地位の場合、すでに受講を始めている場合には、継続して学位や修了書を取得することを認める。
 しかし、新たな受講については、所属期間の許可が必要とし、「原則的には不許可」とする。
  馬英九政権発足後、台湾側の公務員が福建省の大学などで講義を受け、修士や博士号を取得することが増えてきた。
 台湾の安全部門の統計によると2004年から13年11月末までに公務員97人が大陸側の教育機関で講義を受けている。
 うち、91人が博士課程だったという。
  公務員の大陸に渡っての受講を禁止する理由である「国家安全上の問題」について、具体的には説明されていない。
 台湾内部の情報漏洩や、洗脳や異性を利用する、いわゆるハニートラップなどさまざまな手法による「工作員化」などが考えられる。

**********

◆解説◆
  中国大陸側にとって2008年に発足した馬英九政権は、「よりよい政権」だった。
 前任の陳水扁総統は、「国家指導者」としては性急な独立を主張していたわけではないが、所属する民進党は「独立」を綱領として掲げているからだ。
 大陸側は馬英九政権発足後、交流の活性化などを急ピッチで進めた。
 「経済的恩恵」を大きく与えることで支持を得るという、大陸部で成功した政治手法を改めて用いたと言ってよい。
 馬英九総統も、大陸側の動きに「乗った」。
 財界の支持を含めて、政権基盤を確固たるものにする狙いがあったと言ってよい。
  大陸側と馬英九政権は、「刺激的」な言動を行わないなど、配慮してきた。
   しかし共産党・馬英九国民党政権は、2014年になり学生らが中心となって、大陸・台湾のサービス貿易協定の即時締結を見送らざるをえない事態にして、壁に直面した。
  その後、台湾側と中国側の言動における「相互の気配り」が薄らいできた感がある。
 台湾では、軍関係者が米国の軍需企業側に、潜水艦の建造で協力を申し出た。
 それ以外にも最近になり、「国防の充実」についての動きが盛んに報じられるようになった。
 中国大陸側では習近平共産党総書記(国家主席)が9月26日、台湾問題について、一国二制度による統一が最もよい方法」と述べた。
 馬英九政権の発足以来、中国大陸側は「一国二制度による統一」という言い方を控え、「(台湾海峡の)両岸はひとつの家族」など、現状を変更する意志をにじませずに両岸に住む人々を「同胞」などと強調する言い方を使うことが多かった。
  頼清徳台南市長によると、台湾第2の野党である親民党の宋楚瑜主席が5月に北京を訪問して共産党の習近平総書記と会談した際、習総書記は「国民党は事実と異なるメッセージを送ってきていた」と述べたという。
 台湾で大陸とのサービス貿易協定に対する猛烈な抗議が発生することを予測していなかったことを認め、その原因は馬英九総統にあると主張するに等しい発言と言える。


 WEDGE Infinity 日本をもっと、考える  2014年11月21日(Fri)  前田宏子 (PHP総研 国際戦略研究センター主任研究員)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4467?page=1

台湾の行方占う選挙
国民党・馬英九凋落で民進党にも擦り寄る中国

 11月29日、台湾で統一地方選挙(「九合一」選挙、行政院直轄市長選など9種類の選挙が行われるためこう呼ばれる)が実施される。
 2016年に行われる総統選挙、ひいては東アジア情勢の趨勢にも大きな影響を及ぼす重要な選挙である。
 無論、中国はこの選挙に注目している。

 台湾では、地域による支持政党の特徴が明確で、北部は基本的に国民党の、南部は民進党の支持基盤となっている。
 今回の統一地方選では、馬英九政権2期目に対する民衆の審判を仰ぐことになるが、与党である国民党に逆風が吹いており、野党が票を伸ばすと予測されている。
 馬英九が政権を取ってから6年が経ち、支持が下がってくるのは常のことだが、馬英九個人の支持率が低迷していることに加え、中台関係に生じている摩擦が、国民党をさらに不利な状況へ追いやっている。


●低支持率にあえぐ馬英九政権。11月29日の統一地方選でも苦戦が予想さている(REUTERS/AFLO)

 国民党の地盤であり要衝である台北市においても、国民党候補の連勝文の苦戦が予想されている。
 連戦・元副総統の長男であるため、世襲制のイメージがつきまとい、既存の政党や既得権益を嫌う層や若者から不人気である。
 連勝文側が制作したテレビ広告、
 「もしあなたが金持ちだったら、何をしますか?
 もしあなたの父親が金持ちだったら、何をしますか?
 もしあなたが連勝文だったら、何をしますか?」
というメッセージは、実際に名士の息子であり、資産家である連にとっては、むしろマイナスの宣伝となった。

 対抗馬であり、世論調査でリードしているのは、無所属・新人の柯文哲である。
 柯は台湾大学の医師で、これまで政治の世界とは関係なく過ごしてきた人物である。
 彼が支持を集めている背景には、既存政党に対する民衆の不満がある。
 つまりは、民進党も、国民党に逆風が吹いているからといって、楽観的でいられる状況にはない。

 馬英九が政権を担うようになってから、中台関係は安定し、両岸の経済・人の交流は拡大した。
 台湾の民衆の間では、中国経済に対する依存を懸念する声が存在する一方で、中国の市場なくして台湾経済は立ち行かないという見方が広がり、中台関係の安定が重視されるようになった。
 ただし、後述のように、
 人々は中国との政治的統一を望んでいるわけでは決してない。

■「ホープ」にも「実力者」にも接触する中国

 政権2期目(12年~)に入ると、馬英九政権の対中接近政策に拙速さが見られるようになり、中台関係の強化に対する人々の不安が募るようになった。
 3月に学生たちが立法院を占拠する原因となった「中台サービス貿易協定」についても、協定の内容より、馬政権の審議の進め方に対する反発が引き金となった。
 また、馬英九が協定の締結を急いだ理由について、14年APECにおいて馬−習会談を実現させるためだと憶測する見方もあり、それも政権に対する反発を煽ることになった。

 中国では、13年に習近平政権が発足すると、対台政策を管轄する国務院台湾事務弁公室主任に張志軍が就任した。
 張は、前任者の王毅(現外交部長)同様、外交官としてのキャリアを積み重ね現職に就いた。
 彼が今後出世するためには、前任者と同様か、それ以上の成果を生むことが求められる。

 胡錦濤は台湾の武力統一より、「独立させない」ことに重点を置いた対台方針をとることにより、中台関係を安定させようとした。
 「先易後難(先に易しいことを行い、後で難しいことをする)」、
つまり中台の経済関係強化から始めて、後に政治問題に手をつけるという方針の前段部分は、王毅の任期期間中にほぼ達成された。

 張志軍に残されたのは、残る難しい方、政治対話を始めることである。
 メディアなどを用いて政治対話を求める意向を喧伝すると同時に、台湾の政治家や財界人を大陸に招き、政治対話のための攻勢を仕掛けている。

 中国にとっては、言うまでもなく、16年の総統選でも、大陸との関係を重視する国民党から指導者が選出されることが望ましい。
 しかし昨今の台湾内部における馬政権に対する支持率低迷を鑑みれば、16年の総統選・立法院選で政権交代が起こる可能性は無視できない。
 中国は、以前は独立を掲げる民進党との交流を拒絶してきたが、最近では、民進党との関係構築に布石を打っている。
 人気も高く、民進党の若手ホープである頼清徳・台南市長を大陸に招いたり、また張志軍が6月に訪台した際には、大陸への反発が強い南部にも赴き、民進党の実力者である陳菊・高雄市長とも会談を行った。

 ただし、民進党が独立を目指す党綱領を掲げている限り、党対党の交流は行わないという方針は変えていない。
 民進党が政権をとった場合に備え、民進党との間でも一定の意思疎通を図るべきだという考えがある一方、民進党に対し融和策をとりすぎると「民進党が政権をとっても、中台関係にさして悪影響はない」と台湾民衆が考えるようになってしまう危険がある。
 あくまで国民党が政権をとることを望む中国にとって、民進党を無視はできないが、本格的な関係構築に乗り出すことは当面ないと予想される。

 いまや、世界のどの国も、中国と武力衝突や深刻な対立を引き起こすことは望まないようになっている。
 台湾の独立を強く訴えた陳水扁・前総統は、アメリカから「トラブルメーカー」と見なされ、馬英九はその教訓から「三不政策(中国と統一しない、独立しない、武力行使しない)」を掲げるようになり、台湾が独立する可能性は極めて小さくなった。 
そして台湾経済はますます中国に依存するようになっている。

 しかし、台湾の人々の考え方は、中国側が望むように変化していない。
 台湾の世論調査によれば、台湾の地位について、
(1).独立すべきか、
(2).中国と統一すべきか、
(3).現状維持すべきか、
という質問に対する回答は、この十年間であまり変化しておらず、
現状維持と答える人が相変わらず8割以上を占めている。

 しかし、アイデンティティに関する質問で、
(1).台湾人か、
(2).中国人か、
(3).その両方なのか、
に対する答えは、この十年で大きな変化が生じた。
 2000年代半ばには、(1)と(3)がほぼ同数でともに4割強であったのが、今では
★.台湾人と答える人が「60.4%」、
★.両方と答える人は「32.7%」、
★.中国人と答える人はわずかに「3.5%」
にすぎない。
 また、現状維持すべきという回答の中身についても、よく見ると
 「現状維持をしながらいずれ独立を目指す」
という答えが漸増している。
 中国との経済関係は深化したが、台湾人としてのアイデンティティはむしろ強化されている。

 6月頃から香港で「真の普通選挙」を求める運動が起こると、台湾の人々はその動向を注視したが、大陸で台湾政策を立案・研究する人々は、意外なほどその関連性に無頓着であった。
 香港と台湾のデモを連動させまいと、半ば意図的にそのように振る舞っている部分もあっただろうが、
 自信から生じる油断
 (ある中国知識人の言葉を借りれば「拝金主義の横行がもたらした傲慢さ、他者への理解の欠如」)
がそこには垣間見えた。

 香港の一国二制度は、中国共産党にとって台湾統一を見据えたモデルでもあり、台湾の民衆にとって、香港で起こっていることは他人事で済ませられない意味を持つ。
 多くの台湾の人々が香港のデモを支持したのは、民主主義への共鳴のみならず、自分たちの姿をそこに重ねたからである。

 9月末に香港で大規模デモ(雨傘運動)が発生すると、中国政府もその深刻さを認識せざるを得なくなり、「香港と台湾は関係ない」という振りを続けられなくなった。
 習近平は、9月26日、台湾からの訪中団に対し、一国二制度による台湾統一を強調したが、習近平自身がそのような発言をしたのは、主席就任後初めてのことであった。
 「独立しない」ことと共に、「統一しない」を宣言している馬英九政権は、批判コメントを出さざるを得ず、さらに香港のデモに対する支持を表明した。

 その直後、APECに馬英九が参加する可能性はなくなったことが公表された。
 ただ、香港のデモが起こる前から、習−馬会談の実現可能性については極めて難しいと予測されており、このこと自体は中台関係にさほど大きな影響を及ぼすわけではない。
 むしろ、習−馬会談が実現していたとしたら、中台接近に対する懸念から、台湾の人々は統一地方選で国民党を忌避する投票行動をとったかもしれない。

 11月末の統一地方選では、国民党が席を減らすことになるだろう。
 結果として民進党は有利になるだろうが、その政策が支持されているというわけではない。
 08年の総統選で、民進党候補の蔡英文氏が敗北した原因の一つは、対中政策の曖昧さにあった。
 台湾の人々は、中国との統一は望んでいないが、中国との関係をこじらせ、国際的に孤立したり経済的なダメージを受けたりすることは望んでいない。

 民進党内部には、中国との関係構築を目指すべきだという声と、あくまで独立の旗を掲げ続けるべきだという声が存在し、まだ党としての方針が決まっていない。
 民進党にとっても、執政党として政権を預けられるという信頼を民衆から得るためには、乗り越えなければならない課題は多い。





【描けない未来:中国の苦悩】



_

2014年9月29日月曜日

李登輝講演:台湾は何処へ行く、中国における李登輝の存在の大きさ

_



サーチナニュース 2014-09-28 21:01
http://news.searchina.net/id/1544486?page=1

李登輝講演を聞いて(1)「伝える者」としての誠意あふれる姿勢に感銘

 9月21日の、台湾・李登輝元総統の東京講演会に出かけた。
  李元総統は主に、これからの日本のあるべき姿について考えを語った。
 結論そのものは、これまで示してきた考えの方向性に沿ったもので、それほど目新しいものではない。
 しかし、結論に至るまでの思索の過程と、自らの思索を他者に理解してもらおうという誠意ある姿勢に、大いに感銘を受けた。
 聴衆も李元総統の言葉を、ひとつでも聞きもらすまいと熱心に聴き入った。
 会場を、さわやかな緊張感が満たした。

  李元総統がまず指摘したのは、米国の力が凋落していることだ。
 アジアにおいても軍事力を十分に行使できない状況になったとして
 「今や世界は、指導する国家なき戦国時代に入った」、
 「これをアメリカの政治学者、イアン・ブレマー氏は『Gゼロの世界』と呼んでいる」
と論じ、
 日本人に対して「混沌とした時代」の中で自国が生き抜いていくために、何が必要か真剣に考える必要があると説いた。

 そして、安倍首相が7月に、集団的自衛権の行使を認める決断をしたことについて、
 「アメリカは時をおかずして『歓迎する』との声明を発表しました。
 わたくし李登輝も大歓迎であります」、
 「決断した安倍総理には心から敬意を表したいと思います」
と述べた。
 李元総統は、日本国憲法を
 「戦勝国アメリカが、日本を2度と、アメリカに歯向かわせないように押しつけたもの」
と主張。
 第9条で軍事力を持つことが禁止されていることを特に問題視し、
 「軍事力を保持することが、すなわち戦争を引き起こすことを意味するものではありません」
と繰り返し主張した。
  さらに
 「自分の身を自分で守る」ことは国際社会における原則と指摘し、
 憲法に軍事力の放棄を盛り込んだ日本が、戦後数十年にわたって国家にとって致命的な問題に遭遇せずに済んだのは
 「アメリカによる支援と幸運あったからにほかなりません」
との考えを示した。
  李元総統はときおり「もう91歳です」などと語りながらも、明晰な論理と際立つ情熱で、健在ぶりを示した。

 **********  

 李元総統は、日本語で講演を行った。
 生まれは1923年。周知のように、日本統治下の台湾出身だ。
 京都帝国大学で学んだ。
 終戦時、21歳だった。
 若き頃に磨きをかけた日本語は流暢だ。
 しかし、今回の講演で驚いたのは、その日本語のレベルではない。
 聴衆に語りかける情熱だ。
 生本番の講演ということで、口ごもったりすることは時にある。
 しかしそれは問題ではない。  
 手元の原稿を目を落とすことはあるが、できるかぎり聴衆の目を見つめ、自分の考えを伝えようと、力強く語る。
 聴衆も李元総統の言葉を、ひとつでも聞きもらすまいと熱心に聴き入る。
 伝えようとする者、受けとめようとする者が真剣に向かい合った。
 会場を、さわやかな緊張感が満たした。

(続く)



サーチナニュース 2014-09-28 21:11
http://news.searchina.net/id/1544487?page=1

李登輝講演を聞いて(2)奥の深い「哲人政治家」の本領と誠実さを披露

 9月21日の、台湾・李登輝元総統の東京講演会に出かけた。
 李元総統は主に、これからの日本のあるべき姿について考えを語った。
 李元総統は、自らの結論に至るまでの思索を、かなり詳細に説明した。
 聴衆に対する
 「私の語ることを理解していただきたい」、
 「自分自身でしっかりと考えていただきたい」
という伝え手としての誠意を強く感じた。
 そして、李元総統に続く世代の政治家で、ここまで物事を掘り下げて、思索を重ねている人が、どれだけいるだろうと考え込んでしまった。

  李元総統は、講演の冒頭部分でまず、日本国憲法、とくに軍事力を持つことを禁止する第9条を、
 「戦勝国アメリカが、日本を2度と、アメリカに歯向かわせないように押しつけたもの」
と主張。
 自らの国を自らで守るという国際社会における原則を放棄した日本が、これまで危機的状況に遭遇することがなかったのは米国の支援と「幸運」があったからと論じた。
  そして、米国が凋落し、指導者たる国家がなくなった現在の国際情勢のもとで、日本は自らが生き残ろうとすれば「真の自立した正常な国家となる」ことが不可欠であり、そのためには憲法修正という問題に、向かい合わねばならないとの考えを示した。
 さらに軍事力を持つことと戦争をすることは同じではないと、繰り返し主張した。
 結論を論じた次に、李元総統の話はいよいよ、論点の中核となった。
 人類の平和、アジアの平和を求めるには、まず「人間とはなんぞや、から始めねばなりません」と主張。
 そして、人とはこの世に生まれてから、からならず「他者との分離」を通じて自我を形成すると指摘した。

  李元総統は旧約聖書の創世記から多く引用した。
 例えば、天地創造についての記述だ。
 「神の天地創造は『分離と区分』とにもとづいて混沌に道筋を与えることによって、なしとげられている」
と指摘。
 「神は光と闇を分け、大空のもとに上と下に水を分けて天を作り、最後に乾いたところから水を分けて海と陸を作った」、
 「それまでおたがい溶けあったものを分かつことによって、初めて時間が成立する」、
 「光と闇、上と下、男と女、といった分離過程こそは、生まれると同時に飲み込まれる永遠の一体性に終止符を打つものである」
などと説明した。
  政治の話の中で、なじみの薄いキリスト教関連の説明が続いたことで、やや戸惑いを感じた聴衆がいたのも事実だ。

 しかし、李総統の論旨は、その後に続く部分で、極めて明確になっていった。
  まず、人とは、生まれた当初は周囲の世界をすべて「混沌」としたものとしか認識できていないが、やがて「自我」と「他者」を異なったものと認識するようになるという事実だ。
 さらに言えば、他者を自らとは異なったものと認識することこそが、「自我」の出発点だということだ。
 李元総統は、このような「自我」の確立には勇気が必要とも述べた。
 さらに「自我」と「他者」の存在をはっきりと認めてこそ、
 「人間の生は戦いであるのみでなく神から許されたよろこびでもあり、苛酷な労働であるのみでなく、神の贈り物でもある」、
 「生きることを喜び、ほろびゆく人間ははじめて、自己と異なる他者の存在とも連携・連帯していける」
と説明。

  李元総統は聖書の引用に加えて、
 「人類の古い神話はそのシンボルとして個人の生活史の中で繰り返される生命の原理を示すゆえに、きわめて実際的な意味を持っていることがわかる」
と述べた。
 つまり自らの信仰とは別に、聖書の記述を「人類の古い神話」、「シンボル」と説明することで、議論を「キリスト教(あるいはユダヤ教)信者でなくとも、多くの人が納得できる」ものにするように努めた。
 李元総統はさりげなくつけ加えただけだが、発言のこういった部分からも、台湾に民主的社会をもたらしたリーダーとしての「深み」を感じた。
  このあたりで、李元総統がなぜ、平和の問題を語るのに聖書の引用を行ったかが、明らかになりはじめた。
 人は、自我とは異なる他者の存在をしっかりと認めねばならないということだ。
 国際社会の問題を考える上でも、自国とは立場も利益も主張も発想も異なる他国が厳然と存在していることを認識せねばならない。
  相手が自分と同じように考え行動すると無条件かつ安直に信じることは、むしろ甘えでしかない。
 そして自己が存在する喜びを知り、同時に他者の存在をしっかりと認識してこそ「自己と異なる他者の存在とも連携・連帯していける」との考え方だ。
 日本などでは、キリスト教的な発想について
 「人と自然を対立的にとらえている」、
 「人が自然を支配することが前提」
との批判的見方がある。
 はなはだしい場合には
 「自然破壊の元凶となる発想」
との主張すらある。
  李元総統は、「自己」と「他者」のそれぞれの存在をしっかりと認めることにより、自然との共生にも目を開かざるをえなくなると主張。
 自然を他者であるとしっかり認識せねば、
 「自然の生命の無限性に甘える」ことになりかねず、むしろ、
 「自然もまた同じ神の被造物であり、有限の生命を持つ」
と認識することが重要であり、
 「自然の権利を守るためには、自覚的人間の管理の責任が問われる」
と主張した。
  李元総統の自然観は、日本人の伝統的な自然観とは異なる面がある。
 日本人の多くは「人と自然は一体のもの」と考えてきた。
 しかし考えてみれば、人類の産業活動がこれほど活発になった現在、「人と自然は一体」と無頓着に“感じて”いるだけでは、人の都合を自然の側に安直に押しつけかねないとも言える。
 その意味で、李元総統の
 「自然を他者と考え、自然の側が持っている権利をしっかりと守る」
という自然観は傾聴に値する。
  李元総統は平和と戦争の問題を「人間とは何か」という思索から説き起こし、哲人政治家としての本領を改めて示した。

 **********

 日本人には、周囲との一体感を重視する発想が強いとされる。
 もちろん、「一体感重視」という日本人の傾向が、よい結果をもたらした事例は枚挙にいとまがない。
 例えば、東日本大震災発生直後に多く見られた「団結心」だ。
 自らが何らかの「チーム」に属していると感じた時、日本人は自らを「チーム」と一体と感じ、突出した底力を発揮することが多い。
   しかし、周囲との一体感ばかりを重視したのでは、「甘え」というよくない現象が発生しやすいのも事実だ。
 李元総統は、「自己」と「他者」の関係で、対決だけが存在すると説いたわけではない。
 むしろ、他者との連帯・連携・共生を得るに至る心のメカニズムを強調した。
   李元総統の主張をさらに延長すれば、同じチーム内に「異なる自己と自己、つまり自分自身と他者が存在する」と認識していても、それがチームの結束を減じる原因にはならないことになる。
 チームの結束が崩れるのはむしろ、他のメンバーに甘えあうことで蓄積された矛盾が表面化した場合に起こるが多い。
 つまり、甘えを先行させるのではなく「同じチーム内であっても、他者には他者としてきちんと向き合わざるをえない」との李元総統の考え方はむしろ、日本人が持つ団結心や他人を思いやる心をより上質なものにしていくための、大きなヒントとなるものだ。
  李元総統の「自己・他者観」、「世界観」は講演の続きの部分の、「母との“別れ”」、さらに「平和と戦争の問題」の部分で、いよいよ明らかになる。

(続く)



サーチナニュース 2014-09-28 21:23
http://news.searchina.net/id/1544489?page=1

李登輝講演を聞いて(3)平和の問題で「空論」を排除、国を守るリーダーの責任を強調

 9月21日の、台湾・李登輝元総統の東京講演会に出かけた。
 李元総統はこれからの日本のあるべき姿について「人の本質とは何か」という問題から説き起こした。
 まず、人とは
 「自己」と「他者」という異なる存在の分離という現実にかならず向き合わねばならない
と主張。
 つぎに「自己」と「他者」の分離が、どのような様相をもたらすかについて説いた。
 そして、「他者」という存在に向き合わねばならない国際政治において、自らを守る戦力はそれぞれの国に必要なもの
との論説を展開。
 「日本と台湾は運命共同体」と主張した上で、
 「日本が真の自立した国家として歩むことを心より期待」
すると述べた。

 「自己」と「他者」の問題について李元総統は次に「自分史」を披露した。
 李元総統の母は、李元総統を溺愛していたという。
 李元総統は母の愛情に感謝しつつも、「このままでは、自分がなくなってしまう」と直感し、「中学校受験のためにはどうしても必要」との理由で家族を説得し、12歳の時に家から離れて淡水の街で生活することにしたという。
 そして、教師や友人の家で「居候」の生活を始めた。
 実家にいた時には食事になれば何も言わずとも、母が豚肉の一番美味しいところをどっさりと盛ってくれるような生活だったが、家を出てからはまさに「3杯目には、そっと出し」という状況だったという。  
 しかし李元総統は、居心地のよい家を出たことは自らの成長過程において必要不可欠であると感じたからこその「人間としての本能的な選択」だったと表現し、
 人間の生涯の過程では
 「分離と結合」、
 「自由と不自由」
が繰り返されると説いた。

 李元総統は話を「戦争と平和」の問題に進めた。
 まず、
 「戦争はいけない」、
 「戦争はやむをえない」
といった「価値判断ばかりが先走った議論」が多いと批判。
 そうではなく、現実の世界において「平和がどのように可能となるか」を考えねばならないと主張した。
 引用したのはトルストイの「戦争と平和」だ。
   「戦争と平和」は、ナポレオンによるロシア侵略の時代を描いた作品だ。
 李元総統はトルストイの言葉を引き、「数百万もの人間が互いに殺し合う」という事態が、「肉体的にも精神的にも悪だと分かっている」にもかかわらず発生した現実を踏まえ、
 戦争は人間の本能が必然的に起こすもの
とのトルストイの考えに対する同感を示した。
   李元総統は一方で、「平和を求めたい、というのは大部分の人間の希求」とも説いた。
 しかし、争いを始め戦争を起こしてしまうという人間の本質にもとづいて考えれば、
 「首尾一貫した原理原則の適用は不可能なことと言わざるをえません」、
 「可能なのは、具体的な状況の中から、平和の条件を探ることにすぎません」
と主張した。

  李元総統は、人間というものが戦争を起こすという本能を持っているからには
 「平和のためにすべての武器を廃絶すべきだと言う考えは、実現不可能なユートピア」、
 さらに、
 戦力放棄とは自ら侵略に身をさらす事態を招く「愚かな行為」
と批判した上で、
 「平和についての議論は実は、平和そのものではなく、それと実現する方法をめぐる争いの歴史なのです」
と指摘した。
 また、国際社会の主体は国家と説明し、
 「各国がその存続のために権力を行使するかぎり、国家間の協力関係はごく限られたこの範囲にしか成立できません」、
 「国と国との関係は、非常にせまい範囲の利益関係のもとにしか結局、共存関係は作られません」
との現実を、聴衆に突きつけた。

 さらに、国内政治の場合には政府が
 「その暴力を背後に法を執行することも可能」
だが、国際社会では国連を含め
 「それぞれの国家に対して強制力を行使することができる法執行の主体は存在しません
と断言した。
  李元総統は続けて
 「国境を超えた交易や人の行き来がどれほど拡大しようとも、武力にたよらない国防を実現する保証は、決してないのです」、
 「国際政治の安定を考える上で、各国の間の抑止、威嚇、力の均衡を無視することができないかぎり、政策の手段としての武力の必要性を排除することは考えられません」、
 「古今東西の別なく、人類の歴史は異なる組織集団の分離・統合の繰り返しです
と主張した。

 李元総統の話は次に、「リーダー論」となった。
 「組織や共同体の幸・不幸、繁栄・滅亡は指導者によって強く影響される」、
 「指導者の持つ力と使用できる条件が、組織の盛衰を左右し、興隆と滅亡を決定づける鍵となる
と指摘し、1996年に台湾で歴史上初めて実施した総統の直接選挙の際の状況を例に説明を続けた。
  中国は民主化実現という台湾の動きに猛反発し、選挙期間中にミサイル数発を演習と称して台湾沖に打ちこんだ。
 李元総統は、中国の台湾に対する「戦争をも辞さないという恐喝」だったと説明。
 李元総統は中国によるミサイル発射という事態を受け、テレビ演説で
 「弾頭は空っぽだ。
 こちらはいくつものシナリオを用意し、いつも応対できる。
 心配する必要はない」
と国民に訴え、選挙を無事に実施することができたと紹介した。
  李元総統は
 「もし私があの時、中国のミサイルの威嚇におじけづいて、動揺したり戒厳令をしいたりしたら、中国の思う壺だったばかりか、国民からの信任も得られなかったでしょう」
と語り、
 「私が強い信念と手段をもって対抗からこそ民主政権は実現したと、信じています」
と述べた。
 李元総統は改めて日本の憲法問題に触れ、
 「国の根幹をなす、(国のあり方を)規定する憲法で、戦力を保持しないということを規定していることは、自らの生存を放棄している、もしくは他者の手にゆだねていると取られかねません
と、日本の現状は極めて危ういと指摘。
 「戦力を保持することが、すなわち戦争をするということではありません。
 この言葉は大切です」
と改めて強調した上で、
 「日本では、国が戦力を持つことは戦争をすることだ、などということを言う人が非常に多い」
と批判した。
  そして再び、米国は日本をこれ以上支持する力を失ったと主張。
 さらに
 「正直に言えば、日本がアメリカに頼る以上に、アメリカは日本に何か頼み込んでおります。
 こういうことを感じ取らねばなりません」
と、国際情勢の変化に敏感に気づくことの重要性を訴えた上で、
 「日本人ひとりひとりが志を持って行動することが不可欠なのです」
と述べ、誇りと自信こそが日本精神との持論を披露した上で
 「日本人が持つ日本精神、これに待たなければなりません」
と、日本人に対して改めて覚醒を求めた。  李元総統は日本について、
★. 「どこに向っていくか、
★. その規模はどこに置くか(どの程度にするか)、
★. どういうことをやるべきか、
そういう状態に置かれております」
と主張。
 単に戦力を持てばよいというわけでなく、方向性や目指すべき規模、すべきことなど、国家としての方針を明確に定める必要があるとの考えを示した。

  李元総統は講演の最後の部分で、日本が正しい道を歩むことが
 「結果的にアジアの一層の安定と平和につながり、日本と台湾のさらによい関係をもたらすことになるでしょう」
と主張。
 「日本と台湾は運命共同体です。
 日本がよくなれば台湾もよくなり、その反対もしかりです」
との見方を示し、
 「日本が真の自立した国家として歩むことを心より期待して、私の今日の話を終ります」
との言葉で講演内容を締めくくった。
  今回の来日には、娘さん2人も同行した。
 一家そろっての来日は初めてと説明する李元総統に、会場の聴衆は惜しみない拍手を送った。

**********

 平和と心の関係に触れた有名な文言としては、ユネスコ憲章冒頭の
 「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」
がある。
 李元総統は、人間の本性と国際社会の現実から判断すれば、
★.理念面からの平和を希求するだけではまったく不足であり、
★.日本を含む国家という存在は、実際に戦争を抑止する手段を持たねばならない
と主張した。
  また、
 「国を守る。人民を大切にする」
ことは指導者としての責任であり、自らが総統を務めていた時期にも強く意識していたと述べた。
   李登輝元総統の主張については、全面的に賛同する人、部分的にしか賛同できない人、全面的に否定する人など、さまざまだろう。
 ただ、李元総統は長い人生におけるさまざまな体験や知見により、日本と現実に生きる日本人の長所も短所も熟知している。
 しかも中国と対峙しながら台湾の指導者として民主化を実現させたという実績がある。
 それだけに李元総統の発言は極めて重い。
 仮に反論するにしても、李元総理に匹敵するだけの思索や経験が背景になければ、表面的な反発の言葉を並べることに終始してしまうことになりかねない。

**********

 中国政府で台湾問題を扱う国務院台湾事務弁公室は、李元総統の日本における発言を取り上げ、
 「この人物の演技は再び、彼の一貫した本性を暴露することになった」
と主張。
 台湾の一部メディアの言説を取り上げ、
 「よいことを言っている。
 日本の右翼勢力は台湾独立の命を救うことはできないということだ。
 両岸関係を不断に推進してこそ、手をたずさえて中華民族の偉大な復興を実現することができる。
 それこそが台湾同胞の利益のある場所だ」
などと表明した。
 また中国の一部メディアは李元総統の訪日について
 「(日本における台湾や中国に対する見方を)撹乱(かくらん)することはできないだろう。
 日本はさして熱意を示していない」
などと、李登輝元総統が日本で冷たくあしらわれているように報じた(19日付中国新聞社)。

  一方で、台湾メディアは「講演2カ所。
 申し込み殺到」(14日付自由新報)、
 「情熱込めた『万歳』の声で出迎え! 李登輝旋風が東京を吹き荒れた」(21日付三立新聞網)
などと、日本に多くの李元総統の熱烈な支持者がいることを伝えた。
  現実に即して考えれてみれば、元首職を退いてから約15年もが経過する外国の政治家の言動に、これだけの注目が集まることは異例だ。
 9月20日の大阪講演は1600人、東京では600人という定員だったが、申し込みが殺到し定員に達したため、受け付けは打ち切られた。
 また李元総統の今回の来日は、国際交流団体の日本李登輝友の会の招きだった。
 外国の元指導者への共感と尊敬を軸に、継続的にこれだけ活発な活動を続ける団体は、他に例を見ない。
  中国大陸当局は、李元総統に徹底的に反発している。
 しかし、大陸側が今もなお、李元総統に対して批判や非難を続けざるをえないことは逆に、
 李登輝元総統の存在の大きさを
示していると言える。




【描けない未来:中国の苦悩】




_

2014年9月27日土曜日

「ドラエモンの政治的意図」解釈と日本国歌に残る古代雅楽の「壱越調」という旋法

_



レコードチャイナ 配信日時:2014年9月26日 21時10分
http://www.recordchina.co.jp/a94790.html

中国紙が「ドラえもんの背後には政治的意図」と報道
=「どれだけ心が汚いの?」「残念ながら…」―中国ネット


●26日、成都日報が掲載した「ドラえもんの目くらましに警戒せよ」との記事に、中国ネットユーザーの注目が集まっている。写真は広州で開かれたドラえもん展。

 2014年9月26日、成都日報が掲載した
 「ドラえもんの目くらましに警戒せよ」
との記事に、中国ネットユーザーの注目が集まっている。

 記事では、ドラえもんが2008年に日本外務省のアニメ文化大使に任命されたことや、2013年に東京五輪招致の特別大使となったことなどを紹介。
 「現代では、文化的なソフトパワーが国際競争の中で重要な戦略になっている」
とし、
 「ドラえもんは日本が国家の価値観を輸出し、
 文化戦略を実現するための要素であることは疑いようのない事実」
としている。

 さらに、
 「近年、ドラえもんは中国の各都市に現れ、
 日本のいわゆる核心的な価値である“尊重と友情”を示しているが、
 この文化普及活動の背後には極めて強い政治的意図がある
ことを私たちははっきりと理解しなければならない」
と警鐘を鳴らしている。

 この報道に、中国版ツイッターには多数の批判コメントが寄せられている。
 以下はその一部。

「アニメはアニメ。考え過ぎ」
「これ書いたやつ、被害妄想症だろう」
「わざとこんなふうに書いて、注目を集めようとしてる!」

「“尊重と友情”が悪いってのか?」
「ははは、中国はドラえもんすら恐ろしくなったのか?」
「なんでも政治化するのか?じゃあ、日本文化を全部締め出せば?」

「頭がおかしいか、心が狭いかのどちらか」
「中国だけだよね、こんなニュースを毎日流してるのは」
「“恨み”による目くらましに警戒せよ」

「どんな意図があるって?はっきり言ってくれよ。おれはバカだからわからないんだ」
「ドラえもんを見た時の反応が『温かくて、おもしろい』ではなく、『何か陰謀がある』なんてやつは、いったいどれほど心が汚いんだろうね」
「残念ながら、私はドラえもんが大好きだ」



サーチナニュース 2014-09-26 11:17
http://news.searchina.net/id/1544382?page=1

中国人選手「日本国歌は嫌な曲」
・・・仁川アジア大会で、ネットでは賛否

 香港メディアの鳳凰網などによると、仁川で開催されているアジア大会の競泳男子400メートルリレーで優勝した中国チームの孫楊選手が、接戦の末に日本チームに勝ったことについて、表彰式で「君が代」を聞くことにならなくてよかったとして
  「日本の国歌は嫌な曲ですからね」
と述べた。
 中国のインターネットでは、賛否両論が寄せられた。

  孫選手は取材の記者の「日本を打ち破って、気分がよいですか」との質問に対して
 「気分がよいだけでなく、中国人にほっとしてもらったと思います。
 実際のところ、日本の国歌は嫌な曲ですからね」
と述べた。
 孫選手の発言は、簡易投稿サイトの微博(ウェイボー、中国版ツイッター)でも紹介され、書き込みが相次いだ。
●.批判の声としては
 「全国民が洗脳された、悪い結果」、
 「ライバル選手を尊重する最低限のこともできない」、
 「同じことを日本の選手が中国で言ったら、骨まで粉微塵にされるぞ」
●.支持の書き込みとしては、
 「正しいことを言っている。スポーツ選手として決勝戦の時に、日本の国歌を聞かずにすむようにするのは、努力目標だ」
といった意見が主流だ。

  孫選手の発言を「日本人に優勝をさらわれたくななかった」ことと解釈し、一定の理解を示した上で、
 「表現方法は、要するに頭がイカれている」
と批判した書き込みもある。
 「君が代」の歌詞に触れ、
 「天皇が千年も万年も権力を握るというのだから、本当に出土品みたいなもんだよ」
 「歌詞はたしかに、ひどいもんだ」
と、孫選手の発言からさらに踏み込んで、日本の国歌を批判する書き込みもある。
   孫選手の「君が代批判発言」を聞かされた入江陵介選手の反応を書き込みに貼りつけたユーザーもいる。
 報道文をコピー・ペーストしたと思われるが、入江選手は「どのような状況での発言か、分かりません」と孫選手を批判することは避け
 「孫選手が素晴らしい選手であることに、変わりはありません。
 私はこれからも、彼の友人です」
と述べたという。
 投稿したユーザーは、中国人選手と日本人選手の「品格の差」を示し、孫選手と孫選手に同調する自国民を批判したと思われる。

**********

◆解説◆
  孫楊選手による「君が代」批判発言は、原文では「難聴(ナンティン)」。
 「難」の後に動詞を続ける言い方で「するのが難しい」、「しづらい」、「すると不快感を感じる」ことを意味する。
 「難聴」は「耳ざわり」、「聞く堪えない」ほどの強いニュアンスというよりも
 「聞くと嫌な感じになる」程度の表現だ。
 同様の表現に「難喫(食べるとよい味わいでない=まずい)」、「難看(見栄えが悪い)」などがある。

  孫楊選手が「君が代」を「難聴」と感じたとすれば、「君が代」のメロディーが耳慣れた西洋由来の旋律ではなく、雅楽の旋法(使用音の組み合わせによるメロディーの様式)を用いていることが原因と考えてよい。
 日本の雅楽はおおむね、唐時代の中国が(場合によっては朝鮮から)日本に伝えられた音楽だ(旋律など一部で日本化した部分もある)。
 日本の雅楽はもともとは、中国では燕楽などと呼ばれる、上流階級が楽しむ「サロン・ミュージック」のような音楽だった(古代中国の「雅楽」は儀式音楽であり、日本の「雅楽」とは異なる)。

  君が代には、雅楽の中でも「壱越調」という旋法が用いられている
 西洋式の階名で言えば「レ」で終止するメロディーで、「ド」または「ラ」で終止する標準的な西洋音楽とは雰囲気がなかり違う。
 このため、雅楽などに疎くなった現代人の耳には、君が代のメロディーが奇妙に響いても不思議ではない。
  なお、「壱越調」をはじめとする雅楽の「旋法」は、中国の伝統音楽理論には見当たらない。
 そのため、唐代に流行した西域音楽の様式が、日本に持ち込まれ、日本では残ったが中国では忘れられてしまったとの見方がある。

 雅楽の流れを受け継ぐ「君が代」は、
 音楽面から見て、古くからアジア大陸の文化を吸収・消化し、
 場合によっては新たな工夫をつけ加え、
 自らの文化財産として大切に扱ってきた日本文化の特徴を、見事に象徴していると言える。

  日本以外では、アジア・アフリカなどの国の国歌はほとんど例外なく、西洋風の音楽だ。
 国のシンボルとしての価値は別にして、純粋に音楽的にみれば、西洋音楽の手法を使いこなしていない場合が多い。
 独立や革命期など、国として黎明期の作品が多いことが原因と考えられる。
  具体的には、使用音の単調さがある。
 西洋音楽では旋律及び和音をトニック(T)、ドミナント(D)、サブドミナント(S)に分類するが、
 アジアなどの音楽には「S」の用法がなかったため、西洋音楽を導入した初期の作品では「S」を使いこなせていない場合が多い。 
 
 日本では明治初期から多くの作曲家が、日本風のメロディーに西洋風の和音のT、D、Sをバランスよく加える技法を研究した。
 山田耕作に至り、日本人は西洋音楽の手法を完全に自らのものにしたと言える。
 現在では、流行音楽である演歌、歌謡曲、さらにJ-POPSに至るまで、日本の音楽創造は明治時代からの先人の恩恵を大きく受けている。
 音楽文化の形成において日本人は、雅楽の導入期にも近代以降も、
 「外来のすばらしいものは尊敬して取り入れ、自分たちが努力して研究した成果を付けくわていく」
というパターンを実践している。




レコードチャイナ 配信日時:2014年9月27日 19時0分
http://www.recordchina.co.jp/a94827.html

「ドラえもんは侵略者だ!」、
日本陰謀説を唱える地方紙に批判集中、「頭おかしいんじゃないの」―中国メディア


●26日、四川省成都市の地方紙数社が、日本のアニメ・ドラえもんを批判する記事を一斉に掲載。中国ユーザーから痛烈な批判の集中砲火を浴びている。写真は広州市で行われた「ドラえもんの秘密道具展示会」。

 2014年9月26日、四川省成都市の地方紙数社が、日本のアニメ・ドラえもんを批判する記事を一斉に掲載したため、中国ユーザーから批判と抗議の集中砲火を浴びている。
  27日付で中国メディア・捜狐が伝えた。

 成都市では今年8月16日から、「ドラえもんの秘密道具展示会」が開催されている。
 同様の展示会はすでに北京や上海、広州など中国各地で開催されているが、これまでにメディアの批判対象になることはなかった。
 成都日報や成都晩報などの地元紙は今月26日、
 「われわれの両目をふさごうとするドラえもんに警戒せよ」、
 「われわれの傷みをドラえもんでごまかされるな」
と題した記事を一斉掲載。
 各紙は
 「ドラえもんは日本政府が推し進める日本の文化宣伝活動を行っている。
 われわれはドラえもんの背後にある政治的意義に注意しなければならない」
と訴え、
 「歴史を尊重しない不誠実な日本をドラえもんが代表している」
とその理由を述べた。

 複数の地方紙が同日に同様の趣旨の記事を掲載したことで、そこに何らかの組織的な意図が働いたことは明らかだ。
 だが、同市政府はこの展示会の中止を求めてなどいない。
 幼い子供たちが大好きなアニメに政治的意義を見出す地方紙は、あまりにも神経質過ぎるのではないか。
 嫌いならば見なければいい。
 好きならば見に行けばいい。
 それだけのことだ。

 中国のネット上には
 「ドラえもんと政治を一緒にする神経が分からない」、
 「偏向したナショナリズムそのもの!」、
 「成都日報は頭がおかしくなったのか?」、
 「中国の繁栄は日本の技術指導や援助のおかげだ。
 知らないのか?」
といった痛烈な批判コメントが集中している。



レコードチャイナ 配信日時:2014年10月12日 23時52分
http://www.nissen.com/home/shop/00/00/11/?gclid=CKWm_9qPqMECFRMDvAodwlAA5A

中国メディアのドラえもん批判、
英米ネットユーザーも注目
「被害妄想だ」「中国はドラえもんを恐れるべき」


●10日、中国成都市の複数の地方紙がドラえもんを批判していることが、英米のネットユーザーの注目を集めている。写真は成都市の「ドラえもんの秘密道具展示会」。

 2014年10月10日、中国成都市の複数の地方紙が日本のアニメのドラえもんを批判していることが、英米のネットユーザーの注目を集めている。

 成都市では今年8~9月に「ドラえもんの秘密道具展示会」が開催された。
 同様の展示会はすでに中国各地で開催されているが、これまでにメディアの批判対象になることはなかった。
 しかし9月26日、成都日報や成都晩報などの地元紙は
 「われわれの両目をふさごうとするドラえもんに警戒せよ」、
 「われわれの傷みをドラえもんでごまかされるな」
と題した記事を一斉掲載。
 これを今月9日に英紙ガーディアンが報じたことで、英米ネットユーザーがさまざまなコメントを書き込んでいる。

★.「中国は東アジアのどの国も集団的嫌がらせを好まないことを学ぶべきだ。
 日本は笑いの力を発見したんだ。
 厳格な共産主義者は決して理解できないようなものをね」
★.「中国は今度は漫画のキャラクターにまで被害妄想を持ってしまったのか?
 そんなことを問題にしない日本のことが好きだな」

★.「これは中国の地元紙のやったことだ。地方の幹部が愛国主義のレトリックで昇進を狙っているか、地方紙の記者が地方の幹部の顔色をうかがった結果だろう。
 成都市以外の中国の都市では読まれることもない記事だ」
★.「中国は他のあらゆる国に対してプロパガンダの可能性があると糾弾するんだ」
★.「ばかばかしい話だ」

★.「中国は今すぐに、ドラえもんに反撃するために自国でかわいいキャラクターを創作するべきだ」
★.「ほとんどのヨーロッパ人は中国紙で糾弾されていることが本当かどうかわからないだろう。
 もしかしたら本当なのかもしれないね。
 漫画のキャラクターは明るくハッピーな見せかけの下に悪意を持っているものだから」

★.「日本で育ってドラえもんを見ていた人なら誰だって、このネコ型ロボットにいろんな意味で洗脳されるよ。
 道具の助けを借りるのではなく、友情の価値や自分自身の力を頼ることの大切さを私は教えられた。
 中国はドラえもんの影響を恐れるべきだよ。とてもね」
★.「ソフトパワーは銃よりもいい。
 アニメは剣よりも強しだ」
★.「ドラえもんはもうすでに私の5歳の娘の精神を支配している。
 彼女はドラえもんがやることはすべて本当だと思っているから」




【描けない未来:中国の苦悩】


_

2014年9月26日金曜日

朝日新聞の醜聞=英エコノミスト誌 2014年9月20日号

_



2014.09.26(金)  The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41805

日本のメディア:朝日新聞の醜聞
(英エコノミスト誌 2014年9月20日号)

 一連の誤報が、日本の有力紙に打撃を与えている。

 一部の世界では、
 ジャーナリズムの教義の1つに、3つの事例があれば信頼できる記事になる
というものがある。
 日本の左寄りの有力紙で730万部の発行部数を誇る朝日新聞は、3度目の恥ずべき記事撤回の後、自社の評判を懸けて戦っている。

 朝日は9月14日、ゲーム会社、任天堂の社長とのインタビュー記事をでっちあげたことを認めた。
 8月と9月には、より重大な2つの記事を撤回している。
 1つは、戦時中に日本軍が「慰安婦」――売春を強要された女性――を利用していたことに関連する記事。
 2つ目は、2011年に福島第一原子力発電所で起きた大惨事に関するものだ。

 懸念されるのは、体制志向の大手日刊紙の中で最も主張の強い朝日新聞が今後、手加減するようになることだ。

■慰安婦記事撤回の波紋

 日本の雄弁な右派は、朝日の恥を見てほくそ笑んでいる。
 保守派の雑誌は何カ月にもわたって、戦時中の性の奴隷のテーマについて朝日を叩いてきた。
 1980年代以降、朝日新聞は元帝国陸軍軍人の吉田清治氏の証言に基づく記事を十数本掲載した。
 吉田氏は1943~44年に韓国の農村部で、自分がいかにして陸軍の売春宿のために女性を連行したか説明した。

 吉田氏の説明はすぐに疑問視され、1997年に朝日新聞は同氏の証言を裏付けることができなかったと報じた。
 元朝日新聞特派員の水野孝昭氏は、当時、記者たちはそれが何を意味しているのか十分に分かっていたが、「読者には明確な説明がなかった」と言う。

 朝日新聞の上層部は、記事の作成に関わった記者がすでに退職した今頃になってようやく、真実を告白した。
 9月11日には経営幹部がテレビで謝罪した。
 編集担当幹部も解任された。
 その後、安倍晋三首相までが割って入り、朝日新聞は世界に向かって慰安婦に関する誤報について説明すべきだと述べた。

 安倍氏率いる自民党の右派の面々は(またしても)、慰安婦に関する日本の責任を認めた1993年の政府見解を修正するよう求めている。
 帝国陸軍による売春強要に関する広範な歴史的事実が変わっていないにもかかわらず、だ。

 福島第一原発での出来事に関する朝日新聞の誤報は、もっと微妙なものに見える。
 5月に同紙は、パニックに陥った作業員が命令に背いて、損傷した原子力発電所から逃げたと報じた。
 だが実際は、最近公表された第一原発の亡き所長の証言が強調していたように、作業員は単に指示について混乱しただけだった。

 任天堂のケースでは、朝日は任天堂の社長がオンライン上で語った発言の一部を、インタビューと偽って報道した。

 朝日の元編集主任は、朝日新聞はこれから、一連の醜聞から立ち直るのに苦労すると言う。
 同氏によると、さらに新事実が発覚するかもしれないし、多くの読者が購読を止める可能性もあるという。

 右寄りのライバル紙の読売新聞は、すでにこの機に乗じている。
 世界一の発行部数を誇る読売新聞(920万部)は朝日新聞の購読者に対し、慰安婦に関する朝日の誤報を列記し、購読を切り替えるための専用回線を知らせるパンフレットを配布した。

 朝日の罪は、新聞に対する信頼の最後の砦の1つである国で起きた。
 日本人は地元の政府関係者や裁判所、警察よりも新聞に大きな信頼を寄せている。
 このインターネットの時代においてさえ、主要新聞紙はまだ読者の郵便受けに届けられている。

 東京大学の林香里教授は、
 日本の国民は新聞を、国と社会に忠誠を尽くす存在と捉えている
と指摘する。
 それが支配者層に対するメディアの従属を助長する。

■他紙より大胆だった朝日、これから臆病になるのか

 それでも、朝日は他紙よりも大胆だった。
 同紙は長年にわたって、大きな政治スキャンダルを他紙より多く報じてきた。
 やみくもに記者クラブ制度を守ったわけでもない。
 記者クラブ制度では、メディア自身が、省庁や他の公的機関に対する他の(承認を得ていない)ジャーナリストのアクセスを制限することに一役買っている。

 今月、昭和天皇の生涯を記録した実録が公表された時には、国際的な関心が高いにもかかわらず、宮内庁は同庁記者クラブだけに資料を配布した。
 朝日新聞の慰安婦の記事も福島の報道も、記者クラブを頼ったものではなかった。

 これから朝日新聞はより臆病になるかもしれない。
 実際、一連のスキャンダルは、自己保身を気にかける典型的な日本企業や政府機関の上層部の行動を示唆している。

 朝日新聞が慰安婦の記事が間違っていたことを認めるまでにこれほど長い時間を要した大きな理由は、最初に記事を書いた記者が出世街道を歩み、権勢を振るっていたからだ。
 記者も結局は、役人とそう変わらないのだ。

© 2014 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。



video
● fnnニュース 2014/010/09



レコードチャイナ 配信日時:2014年11月8日 11時47分
http://www.recordchina.co.jp/a97077.html

米国の慰安婦像に物申したテキサス親父に、
海外のネットユーザーが反応
「よくやった」「米国の美と自由の象徴」

 2014年11月7日、「テキサス親父」の名前で知られている米国の評論家のトニー・マラーノ氏がカリフォルニア州グレンデール市議会で慰安婦像について発言したことを米動画共有サイトに報告し、海外のネットユーザーがコメントを寄せている。

 トニー・マラーノ氏は先月21日、カリフォルニア州グレンデール市議会に出席し、パブリックコメント制度を利用して同市に建設された慰安婦像について発言した。
 同市内に設置された慰安婦像には慰安婦の説明として「日本軍に強制的に慰安婦にされた」などと記載されていることにふれ、日本を侮辱する目的で今ある慰安婦像を設置したのでないのなら、
 在韓米軍の慰安婦についても同様に扱うべきで、新たな像の設置の検討を提案した。
 マラーノ氏が報告した動画に、海外のネットユーザーがコメントを書き込んでいる。

「韓国政府が自国の女性たちを強制的に慰安婦にさせていたなんて、知らなかった。
 朴槿恵大統領はよくもほかの国を非難できるね。
 彼女こそもっとも歴史を学ぶ必要がある!」
「韓国人はあまりに何も知らない。
 歴史を勉強するべきだ」
「慰安婦の50%以上が日本人だった。
 だが、日本の慰安婦たちは、韓国人のように、連行されただとか虐待を受けたというようなことを決して言ってこなかった。
 それに、20万人もの韓国人女性たちを誘拐するなんて不可能だったはずだ」

「慰安婦像を、世界中の戦争の歴史において同様の犠牲者になったすべての人たちを表すような包括的なものに替えてはどうだろう?
 そうすれば、すべての人の勝利だ」
「私は自由の女神像に不快感を覚える。
 自由はどこにある?
 そのことに苦情を言う人がいたら、感謝するよ」

「あなたは米国の美と自由の象徴だ!」
「よくやったね、トニー。
 私たち中東の人間は、韓国人のうそと偽善を知っている。
 彼らがどうやって自分たちの歴史についてうそをつくかもね。
 自分たちがピザやアニメを発明したと言ったりする、哀れでかわいそうな人たちだ。
 病的で悲しい人たちだ!」





【描けない未来:中国の苦悩】




_


ナショナリズムの奇妙な復活:日中の対立で選択迫られるアジア諸国?

_



2014.09.26(金)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41808

ナショナリズムの奇妙な復活
(2014年9月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


●9月11日、スペイン北東部カタルーニャ自治州の州都バルセロナで行われたスペインからのカタルーニャ独立を求めるデモ〔AFPBB News〕

 経営コンサルタントの大前研一氏は1990年に、グローバル化の精神を捉えた『ボーダレスワールド』というタイトルの書籍を出版した。

 その後ほぼ25年間にわたるビジネス、金融、技術、政治の進展は、国境と国境が守ってきた国民国家の容赦ない衰退を裏付けたように見えた。

 国際情勢の会議は、世界で最も重要な問題はもはや国が単独で行動することで対処できなくなったとの発言が誰かから出ずに終了することがなかった。

 インターネットの出現によって、国境はもう問題にならないという考えが強固になった。
 ビットとバイトの国境なき世界では、領土、国民意識、主権などの伝統的な国家の関心事が、剣と盾のように時代錯誤なものに見えた。

 しかし、国家や国境、国民意識は今や重要ではないということを、誰かが政治家と有権者に伝え忘れたようだ。
 先週、スコットランド人の45%が英国から独立した国家の創設に賛成票を投じた。
 この住民投票には、スペインのカタルーニャや中国のチベット、カナダのケベックなどの分離独立運動から熱い視線が注がれた。

■欧州で最も危険なナショナリストはプーチン大統領

 分離独立運動は、ナショナリズム復活の一面だ。
 欧州、アジア、中東では、確立した国家でさえ、ナショナリストの政治家が闊歩している。

 欧州で最も危険なナショナリストはロシアのウラジーミル・プーチン大統領だ。
 プーチン氏は、どこに住んでいようと関係なくロシア語を話す市民を守る権利、いや義務をも謳ってクリミアを併合した。
 多くの人が不安げに指摘した通り、これは旧ソ連の領土全域に介入する口実をロシアに与える可能性がある。

 欧州連合(EU)がプーチン氏に対する反対勢力をかき集めようと奮闘しているのをよそに、西欧諸国にはフランスの国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首など、公然とプーチン氏を支持するナショナリストの政治家がいる。

 ドイツで台頭している政治勢力は、ドイツの利益が欧州の利益の下位に置かれていると主張する「ドイツのための選択肢(AfD)」だ。
 繁栄しているスウェーデンでさえ、極右のスウェーデン民主党が総選挙で13%の得票率を記録したばかりだ。
 ハンガリーでは、ハンガリー市民同盟(フィデス)政権が明確な権威主義的傾向を持ち、国外にいるハンガリー人の運命に強い関心を抱いている。

 アジアで最も有力な3大大国の中国、日本、インドは、カリスマ的なナショナリストの指導者が国を率いている。
 中国の習近平国家主席、日本の安倍晋三首相、インドのナレンドラ・モディ首相は、国内の経済、社会改革に拍車をかける手段として国家再生という似たようなレトリックを使う。

 しかし、国際的には、彼らのナショナリズムは中国と2大隣国との国境紛争という形で衝突し、戦争のリスクを高めている。
 もし我々が国境なき世界に住んでいるのだとすれば、時として自国領土の境界策定に取りつかれているように見える中国人、日本人、インド人に、誰かがそれを伝え忘れたように思える。

 一見すると、中東はナショナリズム復活のこのパターンの例外のように思える。
 中東地域の最も危険な新勢力は、国境を軽視するジハード(聖戦)主義運動「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」だ。
 しかし、最も人口の多いアラブ国家のエジプトはナショナリズムに傾き、軍主導の政権がイスラム主義に代わるイデオロギーを模索している。

■ナショナリズムが復活している理由

 こんなに多くの経済的、技術的な力が反対方向に作用している時に、
 奇妙にも世界的にナショナリズムが復活している理由は何なのか?

 1つの答えは、グローバル化の予言者たちが恐らく常に、残存するナショナリズムの力を甘く見積もっていたということだ。
 空港のラウンジや国際会議で時間を過ごせば、
 ほとんどの人は特定の場所に根差した生活を送っているということを簡単に忘れてしまう。

 実際、方向感覚が曖昧になるグローバル化の効果によって、恐らく人々は、共通の言語であれ、互いに共有する歴史であれ、より地域的もしくは国民的な物事の中に安心感と意味を探すようになる。
 2008年の経済危機の後は、グローバル化と国際金融に対する疑念も大きく高まった。

 貧困と戦争は、特に欧州と中東の比較的安全な地域に流れ込む難民の大量移動をもたらしている。
 集団移住や難民危機ほど、国境の永続的な重要性を人に意識させるものはない。
 移民に対する反発が、フランスのFNやスウェーデン民主党、英国独立党(UKIP)のようなナショナリスト政党の台頭の中核を成してきた。

 最後に、そして恐らく最も危険なことに、国際秩序が新たに不安定になったという感覚がナショナリストの感情を煽っているのかもしれない。
 国や分離主義の運動が、これまで眠っていた自分たちの計画を推し進める機会を見いだすからだ。

 プーチン氏は過去に何度もソ連崩壊について残念そうな言葉を口にしてきたが、今では、それについて何らかの手を打つだけの強さがあると感じている。

 残念なことに、ナショナリストの運動は外国人に対して自らを定義するため、隣国で対立するナショナリストの運動を引き起こすことが多い。

 この現象は英国でさえ見て取ることができる。
 英国では、スコットランドのナショナリズムの高まりがイングランド人の間でスコットランド人に対する一定の敵意を生んだ。

■危険度を増す日中関係

 アジアでは、それよりはるかに危険な形で同じ力学が働いている。
 中国では、最近の世論調査で5割以上の国民が日本との戦争を予想していることが明らかになった。
 別の意識調査では、9割以上の日本人が中国に対して否定的な考えを持っていることが分かった。

 今より楽観的だった時代にボーダレスワールドという概念を広めたのは、日本の思想家の大前氏だった。
 それから25年にわたり、同氏の洞察は強力で先見性があるように見えた。
 悲しいかな、今や、ナショナリズムが蘇った世界と次第にずれてきているように見える。

By Gideon Rachman
© The Financial Times Limited 2014. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.
Premium Information



 WEDGE Infinity 日本をもっと、考える  2014年09月26日(Fri)  岡崎研究所
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4238?page=1

日中の対立で選択迫られるアジア諸国?

 8月21日付の英フィナンシャル・タイムズ紙で、Kurt Campbell元米国務次官補が、日中間の対立が激化し、長期化すれば、アジア諸国は、日中いずれかの選択を迫られるであろう、と述べています。

 すなわち、これまでアジア太平洋諸国の多くは、米国と政治・安全保障上の関係を維持する一方で、中国と経済・通商上の関係を発展させてきた。
 米国は中国の台頭を支持し、中国はアジアにおける米国の軍事的プレゼンスと指導力に反対しなかった。
 既存勢力の米国と台頭する中国との間にはこのような取引があり、基本的にこれが40年以上にわたるアジア全域の先例のない前進を支えてきた。

 しかし今、このような戦略的設定が米中で、そしてアジア全域で詮索されている。
 米国の一部では、米国がいわゆるトゥキディデスの罠に陥り、中国が米国に代わって世界の指導的役割を果たそうとしているのではないかと懸念し、他方中国は、米国の同盟諸国と前方展開された米軍は、中国の台頭を阻止しようとしていると警戒するようになった。

 皮肉なことに、アジアで政治的、経済的に成功した豪州、シンガポール、インドネシア、韓国のような国は、米国と政治、安全保障上緊密な関係にある一方で、中国と重要な経済関係を有している。

 今日のアジアでの緊張にもかかわらず、中国の政治指導層も米国の政府高官も、アジア諸国に戦略的選択を呼びかけていない。
 もしアジア諸国が公式に、本気で米中のどちらかを選ぶようになれば、アジアは急速に新しい冷戦になるであろう。
 実際にはアジアの中級国家は米中の間でバランスを取り、米中双方と良好な関係をとるという、地域を安定させるような外交を実施している。

 アジア諸国にとって近い将来の戦略的分岐点は、米中間の微妙な選択ではなく、日中間の厳しい選択であろう。

 日本が戦後の自制を捨て、中国に対する不信を強め、中国の強引な政策で権利を侵害されている国との連携を強めているのに対し、中国は日本の積極的政策を阻止しようとするだろう。
 現在アジア諸国は、米中の政策を比較考量する圧力は感じていないが、日中間の対立が激化し、長期化するにつれ、アジア諸国はいずれかを選択するようになるだろう、と述べています。

* * *

 キャンベルは、中国が「韜光養晦」の外交姿勢を変え、米国の覇権に挑戦するようになった今でも、アジア諸国は米中双方と良好な関係を維持しようとしている、と言っていますが、国により態度は異なります。
 中国との領有権争いを抱えているベトナム、フィリピンは中国と対立し、米国に接近しています。

 全体としてアジア諸国が米中との関係をどう律しようとするかは、米中関係の推移によります。
 米国は最近、中国に対する警戒感を高めており、米中関係の対立が厳しさを増せば、アジア諸国は米中双方と良好な関係を維持することはそれだけ困難になります。

 キャンベルは、アジア諸国は米中間の選択よりは、対立が高まっている日中間の選択に迫られるだろうと述べていますが、現象的な対立は日中間であっても、戦略的な対立は中国と日米同盟です。
 したがって、日中間の対立と米中関係を分けて考えることはできないのではないでしょうか。

 キャンベルは、日中間の対立が激化し、長期化すれば、アジア諸国のいずれかを選択するようになるだろうと言っていますが、アジア情勢に詳しいキャンベルがこのように言っていることは、米国の識者が、日中関係の将来に危機感を持っていることを示すものと言えるでしょう。

 なお、この論説は「トゥキディデスの罠」に触れていますが、これはトゥキディデスが著書「戦史」で、ペロポネソス戦争が起きたのは、アテネの台頭がスパルタの既存の地位を脅かしたためであると述べたことを指すものであり、新興台頭国が既存の覇権国を脅かす場合、戦争になる可能性があることを示唆するものです。



サーチナニュース 2014-11-14 14:07
http://news.searchina.net/id/1549656?page=1

中国は正義の味方、カンフーパンダだ!
・・・英国・王室国防大学で劉暁明大使が講演

 中国の劉暁明・駐英国大使は現地時間12日、英王室国防大学で講演して、「中国は正義を進展させるカンフーパンダである」などと主張した
  劉大使は、
 「現在の世界において、中国は国際システムと無関係であるわけはない。
 攪乱者でなければ、破壊者でもない。
 中国はもはや、眠れる獅子ではない。
 陶器店に飛びこんで、(すべてを破壊する)象でもない。
 ましてや、報復の機会を待つ、『雌伏の虎や龍』ではない
と主張。

 「中国は国際システムの参画者であり、建設者であり維持者である。
 正義を進展させるカンフーパンダであり、平和的で愛すべき文明的な獅子である」
などと主張した。
 劉大使は、
 「中国が過去数十年にわたり実践に成功してきた平和発展の道にはいくつかの特徴がある」
と述べ、
第1に、中国は好戦的ではなく、自らの勢力範囲を築かない。
 第2に、中国は国際社会とのウィン・ウィンの発展を堅持している。
 第3に、中国は自らの能力にふさわしい国際的責任を積極的に受け持っている。
 第4に、中国は自らの主権と安全、発展の利益を堅持している
と主張した。

 劉大使は、
 「(世界における)新旧の布局が転換する際に、新興大国と守成の大国の間に戦争が発生し、人類は再び『ツキジデスの罠』(解説参照)に陥ると心配する人がある。
 しっかりと指摘せねばならないのは、21世紀は過去とは違うということだ。
 世界はすでに、相互依存の『地球村』を形成した。
 この『地球村』で、新旧の大国の関係は『ゼロサム・ゲーム』ではない。
 単純に、お前が伸びればオレは沈む、お前が得をすればオレは損をする、という関係ではない。
 共同で大きなパイを作り、共同で成果を享受することが必要になる」
と主張した。

  劉大使は、
 「中国は世界の主要パワーと、衝突せず対抗せず、相互に尊重し、強力とウィン・ウィンの、新しいタイプの大国関係を作っていきたいと望んでいる。
 これは、各方面の利益に合致し、国際社会の期待に合致し、大国が世界平和と世界の発展、人類が再び同じ失敗を繰り返すことを避けるための責任を受け持つことである」
と主張した。

  劉大使は、
 「国際情勢の根本的な変化を受け、中国は『3つの共有』を主張する。
まず、各国と各国人民は人類の尊厳を共有する。
次に、各国と各国人民は、発展の成果を共有する。
そして、各国と各国人民は安全保障を共有するだ」
と主張した。

 **********

 ◆解説◆
   「ツキジデスの罠」とは、古代ギリシャの歴史家、ツキジデス(トゥーキューディデース、BC460年ごろ-同395年ごろ)による、ペロポネソス戦争(BC431-404年)の原因についての分析による。
  ペロポネソス戦争は、古代ギリシャの二大都市国家のアテネとスパルタが対立し、それぞれの同盟国を巻き込んだ戦争。
 古代ギリシャ版の“世界大戦”と言える。ギリシャ全体を巻き込んだ長期にわたる戦争で、ギリシャ全体が疲弊し、結果として、それまでギリシャ世界からは「文明的に、一段と劣る存在」とされていたマケドニアが興隆し、ギリシャ全土を服属させることになった。
   ツキジデスはペロポネソス戦争について、
 「戦争を引き起こした究極の原因は、アテネの国力興隆へのスパルタの不安である」
と論じた。
 劉大使は、
 「中国を、当時新興国とされたアテネに、米国などをスパルタに例え、双方の衝突や戦争が発生する恐れがある」
との見方を否定した。
  劉大使の発言には、中国を「新大国」と規定し、主に米国を指すと見られる「旧大国」との間の共存共栄を説いた。
 しかし、「大国」とまでは言えない国との共存について、はっきりとした言及はない。  
 英国における駐英国大使の公式発言である点も興味深い。
 中国について「報復の機会を待つ、『雌伏の虎や龍』ではない」と論じたが、通常ならば「復讐の対象」として真っ先に思い浮かぶのは日本だ。
 しかし、アヘン戦争で香港を約100年間にわたって支配した英国における発言ということで、特定の国をイメージさせる色彩は薄まった。
 本国での周到な計算にもとづく、英国での発言である可能性も否定できない。




【描けない未来:中国の苦悩】



_

2014年9月25日木曜日

なぜミャンマーは東南アジアのユーゴスラビアと言われるのか:

_


JB Press 2014.09.03(水)  細野 恭平
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41632

急速に発展するヤンゴンと軍事的首都ネピドー
東南アジアのユーゴスラビアと言われるミャンマーに内在する課題



 先週1週間、約1年ぶりにミャンマーを訪問した。
 普段はベトナムについての記事を書いているが、今回から数回、ミャンマーについて筆を執ってみたいと思う。

 まずは、今回訪問したヤンゴンと首都ネピドーの2都市の印象を書きつつ、ミャンマーの歴史と民族の話について少し概観してみたい。

■驚くべきヤンゴンの変貌ぶり

 この1年でのヤンゴンの変貌には驚愕するものがある。
 国・人とは、こんなに早く進化できるのか、という思いだ。

 ヤンゴンは、英国植民地時代には、「東の庭園都市」と言われるほど美しく、東南アジア随一の大都市だったと言われる。
 実際、広大な公園、人口の湖、近代的な建物(当時)の融合が非常に美しく、当時の面影が今も残る。
 かつて、ヤンゴンのインフラは、ロンドンに比肩すると言われたそうだ。

 今でも、明らかに築50年以上と見える建物が多いが、その中には、4階から5階建ての中層建築物が多い。
 何十年も前に、こうした近代的な建物を建築する国力があったという証左だ。
 1942年には、日本の百貨店「大丸」がラングーンに出店もしている。

 ちなみに、軍事政権時代に自宅軟禁を強制されていたアウン・サン・スー・チー氏の自宅もヤンゴン市内にある。
 自宅軟禁と言うと、日本人は吉田松陰の蟄居(ちっきょ)のように、狭い家屋に押し込められた生活を思い描く。

 しかし、彼女の自宅は、日本人の感覚的には相当に大きい。
 湖のほとりの閑静な環境にあり、軽いジョギングぐらいは余裕にできる。
 彼女に自宅軟禁させるという行為自体は正しいとは思わないが、実際にその家を見ると軟禁のイメージが違ってくるので、少し補足しておく。

 ヤンゴン市内の道路は広い。
 僕が2年前に初めてヤンゴンを訪問したときには、この道路を走る車は少なかった。
 しかも、相当なボロ車。

 例えば、タクシーの床がボロボロなため、下の道路が透けて見えることが多かった。
 走っている途中に、うっかり足を出したものなら、複雑骨折必至。

 しかし、そんなタクシーはこの2年でいなくなりつつある。
 国内での自動車の月間販売台数は、昨年の自動車輸入制限の緩和以降、僅か60台から6000台へと急増したそうだ。
 渋滞も激化しつつある。

 携帯電話・スマートフォンもずいぶん増えた。
 かつての軍事政権下では、固定電話の保有も制限されていた。
 そのため、街中には、「電話屋」と言われる商売の人がまだ存在する。

 街角の青空屋台の電話屋さんに行くと、そこに固定電話が置いてある。
 お客は電話屋さんにお金を払うと、電話をかけることができるという仕組み。
 ようするに自動化されていない公衆電話だが、近いうちに、この「電話屋」も消滅するだろう。


●ヤンゴン市内で電話屋を営む少女。タナカで化粧している

 人々も少しずつあか抜けてきた気がする。
 どこの国でも、美意識の発展は女性が先行する。
 ミャンマー女性は、タナカと呼ばれる木をすりつぶした粉をファンデーション代わりに化粧品・日焼け止めとして伝統的に使用している。

 このタナカを塗ると、頬に黄色い絵具が塗り付けてあるような見た目になる。
 伝統的で素朴ではあるが、あまりお洒落とは正直言えない。
 ミャンマー女性もそう感じているようで、この2年で、タナカを使っている女性の数が明らかに減ってきた気がする。

■軍事政権の遺産、迷宮のようなネピドー

 一方の首都ネピドーは、ヤンゴンの北約300キロに存在する。

 かつて、日本陸軍は英領ミャンマーを占拠し、さらにアラカン山脈を越えてインドのインパールを目指した。
 その際、日本陸軍の一部が通過したピンマナという町の近くに今のネピドーは位置する。

 今でも相当な僻地だ。
 ここに、日本軍が展開していたという事実を知るにつけ、いたたまれない思いになる。
 同じように感じる日本人は多いと思う。

 ネピドーは、まだほとんどの日本人にはあまり馴染みがない。
 この町は、2005年11月、突如として世界地図に現れた。
 その当時、ミャンマーを支配していた軍事政権が、ネピドーの建設工事を秘密裏に進めてきた後、突然ヤンゴンからの遷都を発表し、世の知るところとなった。

 首都移転の理由については、3つほど説がある。

● 沿岸部のヤンゴンよりネピドーの方が他国に占領されにくいという「対外的」国防上の理由を根拠とする説

● 国内の少数民族の居住エリアに近いため、内戦の際には軍を展開しやすいという「対内的」国防上の理由を根拠とする説

● 当時の元首タン・シュエ上級将軍のお抱え占星術師の「お告げ」という説

 3つ目のお告げ説はふざけているように聞こえる。
 しかし、他の2つの説も説得力に欠けるため、お告げ説を一番有力視する意見が多い。

 そのネピドーの町は、軍事的迷宮のような構造になっている。異様である。

 ネピドーの中心部は官庁街。
 相当に広大なエリアに、多数の官庁ビルが、文字通り点在している。
 隣の官庁ビルとの距離は500メートルぐらい離れている。
 かなり遠い(歩いていく人はほとんどいない)。


●ネピドーの巨大な国会議事堂

 この官庁ビルが、きわめて不思議なのだ。
 まず、全てのビルが同じ外見・構造になっている。
 外からだと、どのビルが何省なのか見分けがつかない。

 次に、全官庁が全く同じビルを2つ持っている。
 それも、お互いに相当遠く離れた場所に。
 例えば、ある省の場合、2つのビルが互いに遠く離れた場所にあり、大臣はビルA、官房長はビルBというように別々のビルで執務している。
 訪問する人も、省内で仕事をする人も、不便であることきわまりない。

 なぜ、こんな不思議な構造になっているかの明確な説明はない。
 合理的に思いつく説明は、テロなどの攻撃を受けた場合に、標的をカモフラージュできるということだ。
 そもそも、全部同じ外見だし、各省庁も2つずつあるので、どの政府要人がどこにいるかを特定しにくい。
 いわば、軍事的迷宮のような構造になっている。

■なぜミャンマーは東南アジアのユーゴスラビアと言われるのか

 なぜ、首都を軍事的迷宮のようにする必要があったのか。
 ここに、ミャンマーの内包する政治的・社会的な課題の一端が見えるように思える。

 「ミャンマーというのは、簡単に言えば、東南アジアのユーゴスラビアなんです」
と筆者の前職の同僚で、現在JICA専門家としてネピドーに駐在する工藤氏が教えてくれた。

 ミャンマーは人口約5142万人(6000万人と言われていたが、直近の国勢調査の結果、約1000万人少ないことが判明)。
 ここに135もの民族が存在する。
 そのうち、ビルマ族が人口の約7割を占め、中央平原部に居住。
 残りの約3割の少数民族は、主に国境の山岳地帯に居住している。

 この少数民族との融和が、現在のミャンマー政府にとっては、最大の課題の1つである。
 多民族の統治という観点において、ミャンマーはかつてのユーゴスラビアと類似する。

 ミャンマーにおける少数民族問題は、英国植民地時代の分割統治に起因する。
 19世紀に進出した英国は、インド人、華人を大量に入植させた。
 また、カチンなどの少数民族を意図的に高級官僚につけ、その当時、支配的だったビルマ族を最下層に落として、被支配民族とした。
 英国による植民地統治の常套手段である。

 1940年代の前半当時、ヤンゴンの人口は50万人。うち過半数は、インド人を中心とする南アジア人であり、ビルマ人は総人口のわずか約3分の1であった。
 その他は、カレン族などの少数民族や華人が中心であった。

 こうした背景もあり、1948年のビルマの独立後も、60年にわたってビルマ族を中心とする国軍と少数民族武装勢力との戦闘が一部地域では続いている。
 特に戦闘の激しいカレン州では、40万人以上の国内避難民が発生し、10万人以上がタイの難民キャンプで暮らしているとされる。

 ミャンマーと言えば、軍事政権とアウン・サン・スー・チー氏率いる野党との抗争のイメージが強い。

 一方で、国内に多数いる少数民族との融合というのは、きわめて難しい政治的な課題である。
 2011年に発足したテイン・セイン政権は、現在、主要な少数民族との停戦協定を進めている。
 幸い、今年中にも合意がなされるとの見方が強い。

 次稿では、ビジネスマンとしての立場に立ち返り、ビジネスマンの視点で、ミャンマーについて書いてみたい。



JB Press 2014.09.25(木)  細野 恭平
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41795

なぜ、日本人はミャンマーが好きなのか? 
社会貢献意識と勤労精神で群を抜くミャンマーの人材

今回も前回(「急速に発展するヤンゴンと軍事的首都ネピドー」)に引き続き、ミャンマーについて書いてみたい。

■社会貢献意識のあるミャンマー人の経営者

 先般、弊社(ドリームインキュベータ)の創業者・会長である堀紘一と共に、ミャンマーの大手民間企業の経営者3人とお会いした。

 わずか3人だが、いずれも立派な経営者であった。
 この3人と議論しただけでも、ミャンマーという国の人材的な層の厚さ、日本人との親和性をひしひしと感じることができた。

 私が働いているベトナムでのことだが、今まで何百人のベトナム人経営者に会ってきた。
 その中で、日本人的には残念に思うことがある。
 国や社会に貢献するという意識を持つ経営者が実に少ないということだ。

 社会への貢献と言っても、大それた話ではない。
 メーカーならば、少しでも人々の暮らしをよくする商品を作る。
 小売りならば、できるだけ良い商品をそろえて、みんなに届ける。
 こうした気持ちがあれば、それは社会貢献の意識だと思う。

 ベトナムでは、ほとんどの経営者が、自らの短期的な利益を得ることを動機としているように見える。
 彼らは、少し会社が大きくなると、すぐに会社を売却して早々に引退したり、不動産に投資したりする。
 世の中をよくするということへの意識は、残念ながら非常に希薄だ。

 今回のミャンマー人経営者は、3人が3人ともに、長期的な社会貢献意識を明確にもっていた。

 その1人、ミャンマーの民間大手医療企業の社長をつとめるAさん。
 お父さんが元ミャンマー中銀の副総裁という家庭に育ち、幼少期は英国で過ごしていたため、非常に上品な英語を話す。
 食事のマナーや振る舞いも上品で、洗練されている。

 彼女は、ミャンマー国内の大学の医学部を卒業後、ミャンマーの国立の医科大学で講師をしていた。
 しかし、1990年の総選挙の際、アウン・サン・スー・チー氏率いる野党に投票し、自らその行為を認めたために公職追放になった。
 その後、医療関連の外資系の会社に転じ、現在は自ら医療関連の企業を経営している。

 「ミャンマーは、まだまだ医療の質が低い。
 私の本職は医者。
 私は事業を通じて、ミャンマーの医療事情に貢献したい。
 不動産など他の事業には全く関心がない」
と彼女は控え目に語る。

 また、今回お会いした大手卸の経営者Bさん。
 食品や日用雑貨を全国の店舗に販売する卸事業一筋20年、今では、国内有数のディストリビューション網を築き上げている。

 彼は、
 「ミャンマーのどんな田舎にも物を届けることが仕事だと思っています。
 お金というものは、食べ物と同じ。
 お金(食べ物)がないと体(会社)が回らない。
 でも、ありすぎると、それはそれで体に毒なんです」
と独特の表現で、まずは社会への貢献が大切だと真面目に語る。

 もちろん民間企業であるから、利潤を追い求めていくことは大切だ。
 これを否定するつもりはない。

 ただ、利潤だけを求めていく経営者は、危うい。
 こちらも、そうした経営者とは事業を一緒にはやりにくいが、ミャンマーの3人の経営者とは一緒にやれると感じた。
 こうしたミャンマー人の経営哲学に対して、日本人には親近感を持ちやすい。

■人前で怠けることを恥と感じるミャンマー人

 もう一つ。
 些細なことだが、ミャンマーで気づいたことがある。
 ベトナムをはじめ、東南アジアの国々では、基本的に男性は怠け者である。
 どの民間企業も優秀な現地スタッフは、かなりの比率で女性だ

 日中から、何をするとでもなく、だらっとしてコーヒーを飲んだり、将棋をしたり、ビールで乾杯をしているダメなおっさんの姿をあちこちで目にする。

 ところが、ミャンマーでは、こうした道端の怠け者おやじがほとんどいない。
 みんな、何かしら労働に従事している(ように見える)。
 たとえば、竹のような棒で道端の草の剪定をしていたり、店番はちゃんと客待ちをしていたりする。
 僕の知る限り、東南アジアで、男性がこういう心構えでいる国は、ミャンマーが唯一だ。

 ミャンマー人に聞くと、
 「ミャンマーでは、人前で怠けている姿を見せることを恥ずかしいとする文化があります」
と言う。

 このあたりの勤労意識や恥の文化も非常に日本人に近い。
 これも、日本人がミャンマーに肩入れしたくなる心情的理由の一つだろう(なぜ、ミャンマーが他東南アジアと違うのか、という本質的な点については、別稿でもう少し深く考えてみたい)。

■新興国の1年は、先進国の3年

 このようなメンタリティーに対する親近感もあって、日本企業によるミャンマー詣では続いている。

 先日、お会いした某日系大手商社もヤンゴンの日本人駐在員は15人近いとおっしゃっていた。
 海外ビジネスに詳しい方ならわかると思うが、ミャンマー程度の小さな経済圏に、日本人15人というのは、もう尋常な気合いではない。
 気合い入りまくりの世界である。

 まだミャンマーに進出するには、かなり早いと感じる企業の方も多いだろう。もちろん業界にもよるが、僕の新興国の経験で言えば、少し早すぎるかな、と思うぐらいで進出するぐらいが、実はちょうど時宜を得ていることが多い。

 例えば、ベトナムの場合、消費財・食品セクターで大きなシェアを持つ日系企業は、味の素、エースコック、ロート製薬、久光製薬、ロッテなど。

 いずれも、1990年代半ばの第1次ベトナムブーム前後(味の素にいたっては、もっと以前)に、リスクをとって進出してきた企業ばかりだ。
 逆に、最近おっとり刀で進出していた企業は、周回遅れになるため、参入に相当苦労している。

 新興国の1年は、先進国の3年に匹敵する。
 3年進出が遅くなれば、約10年遅れたと思うぐらいの心構えで、先んじてリスクをとらないと出遅れると思った方がいい。

■ミャンマーは全方位外交

 ミャンマー投資に気合いが入りまくっているのは、何も日本に限った話ではない。
 ミャンマーは、原則として等距離外交。
 外交バランスを考慮しながら、各国からの投資を呼び込んでいる。

 前回の記事「急速に発展するヤンゴンと軍事的首都ネピドー」で、135もの民族が共存するミャンマーは東南アジアのユーゴスラビアと書いた。
 こうした多民族国家をバランスよく維持するためにも、ミャンマーは近隣諸国との全方位等距離外交をとっている。

 中国はヤンゴン国内を縦断する天然ガス・石油パイプライン(全長約1000キロ)を昨年完成させ、雲南省方面への輸入を開始した(ミャンマー人は資源泥棒と批判しているが)。

 シンガポール(ミャンマー人知識人層が数十万人居住)、タイ(ミャンマー人労働者が300万人居住)などからの投資も積極的に進んでいる。
 スーパーで売っている食品や日用消費財は、タイやシンガポール製が圧倒的に多い。

 ヤンゴン市内の数少ない5つ星ホテルであるセドナの横に建設中の巨大商業コンプレックスは、ベトナムの大手民間企業(Hoang Anh Gia Lai)が手掛けている。
 この会社はベトナムの元不動産大手企業だが、「ベトナムの不動産はバブル」という理由でベトナムの不動産からはほぼ完全に撤退。
 いつの間にか、ミャンマーに資源シフトしている。

 ミャンマーなど新興国での日本企業にとっての競合は、もはや欧米企業ではない。
 成長著しい他の新興国の企業である。
 彼らはスピードも速いし、動かせる金も大きい。

 NATO(No Action, Talk Only)と、その動きの遅さを揶揄される日本企業にとっては強敵である。
 しかし、彼らに勝たなければ、日本は新興国で生き残れない。
 少しでも多くの日本企業がミャンマーで躍動する姿を見たいものだ。



2014.10.24(金)  The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42046

ミャンマーの未来:百万の工場を立ち上げよ
(英エコノミスト誌 2014年10月18日号)

ミャンマーはタイのようになる前に、まずバングラデシュのようにならなければならない。
「ミャンマーの今を知る」連続セミナー開催のお知らせ


●経済開放に舵を切ったミャンマー〔AFPBB News〕

 ミャンマーのティラワ経済特別区(SEZ)の開発第1期には、400ヘクタール近い土地の整備と近くの港へ至る道路の建設が含まれていた。
 工業団地は来年半ばにオープンする予定で、入居を予定する企業22社の一部が今月末までに工場の建設に着手する。

 だが、真っ先に恩恵を受けるのはミャンマー経済ではない。
 ティラワ経済特区を開発しているミャンマーと日本の合弁会社の代表、梁井崇史氏は、団地に張り出す森の一角を占める修道院が多大な恩恵を受けると冗談を飛ばす。

 「この国では、修道院に手を出すことはできない」と梁井氏。
 企業が起工式を行うたびに、やがて壮大な黄金の仏塔を建てる資金になるかもしれない寄付金が修道院に入るのだ。

■経済特区、ミャンマーの未来に対する賭け

 修道士がミャンマーの過去を象徴しているとすれば、準備が進むティラワとあと2つの経済特区の入居企業はミャンマーの未来に対する賭けだ。
 3つの特区の中で最も開発が進んでいるティラワは、全面開業した時には7万人の労働者を雇い、国内向けの食料品、消費財、建設資材のほか、靴、自動車部品、衣料品などの輸出志向の商品を生産する。

 テイン・セイン大統領は2011年に、ミャンマーを再び世界経済とつなげることを約束して政権の座を獲得した。
 以来、楽観的な向きはあらゆる通りにスーパーマーケットとファストフード店が並び、モバイル技術のおかげで同国が発展段階をいくつも「飛び越え」、タイ、あるいはシンガポールにさえ肩を並べることを夢見てきた。

 だが、ミャンマーの経済的な未来は、未熟練労働者が輸出向けの労働集約財を大量生産することにかかっている。
 タイの水準の産業開発を切望する前に、西側の隣国であるバングラデシュのように低コスト製造の拠点になることを目指すべきなのだ。

 ただし、投資家が夢を見るのは正しい。
 ミャンマーは中国とインドという巨大市場の間に位置しており、タイには西方の海への近道を提供できる。
 シンクタンクのマッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)によると、2025年までに、所得が1日当たり10ドル以上の世界の消費者の半分以上がミャンマーから飛行機で5時間以内の場所に住んでいることになる。

 ミャンマーは耕地、水、天然資源に富んでおり、石油、天然ガス、
 そしてヒスイ、ルビー、サファイアといった宝石に恵まれている。

 タイの労働力人口は高齢化し、縮小し、人件費が高くなっている。
 これに対してミャンマーの労働力人口は安くて若く、国外で働く300万~500万人のミャンマー国民の一部の帰国によって恩恵を受けている。

 ジャスミン・タジン・アウンさんは、国内に機会を見いだせなかったため、2003年にシンガポールで金融を学ぶために国を出た。
 今では、会計事務所プライスウォーターハウスクーパースのミャンマー支社の代表を務めている。
 彼女によると、シンガポールでルームメイトだった3人(全員が金融を学ぶミャンマー人女性)も帰国したという。

■訪米したミャンマー大統領、国内の民族問題終結を呼びかけ

 何度か出だしでつまずいた後、政府は新しいビジネスが繁栄できるような市場経済を創造することに尽力しているようだ。

 ミャンマーがほぼ20年ぶりの総選挙を実施した2010年から2013年にかけて、外国直接投資(FDI)はほぼ3倍に膨らみ、9億100万ドルから26億ドルに増加した。
 外国銀行数行が限られた規模で事業を行うことを許可された。
 だが、大掛かりな金融自由化の準備が進められている。

 経済は今年と来年、7.8%成長すると予想されている。
 コモディティー(商品)輸出は増加しており、石油とガスの生産も増えている。
 中央銀行は今、財務省から正式に独立しており、スタッフを増員し、金融政策を実行する能力を高めている。

 やるべきことは、まだたくさんある。
 ビジネスのしやすさを測った世界銀行の年次報告書の最新版は、ミャンマーを189カ国・地域中182位にランク付けしていた。

 規制の不確実性は大きな問題だが、旧態依然とした法律にようやく目が向けられるようになった。
 企業活動の規則を定めたミャンマーの企業法は、1914年に英国によって制定され、手つかずのまま放置されていたが、今年、アジア開発銀行が政府に手を貸して法改正に着手した。

 物流会社CEAプロジェクツのミャンマー支社を率いるジョン・ハミルトン氏は、そうした法の改正はやがて、「法体系、金融システムを手探りで進む」必要性を減らすだろうと指摘する。

■訓練された労働力を生み出すまでの長い道のり

 極めて活発な規制の刷新と改革された中央銀行でさえ、よく訓練された労働力を生み出すことはできない。
 それには何年もかけて教育に莫大な投資を行う必要がある。

 平均的なミャンマー人は4年間しか学校に通わない。
 教師と生徒の比率は、マレーシアの1対13に対し、ミャンマーは1対30だ。
 他のアジア諸国の労働力人口が生産性と多様性を高める一方で、ミャンマーの労働力人口は反対方向に向かった。
 1965年から2010年にかけて、大陸の大半の国で農業従事者の割合が低下したにもかかわらず、ミャンマーでは35%から44%に上昇した。

 だが、この巨大な農業労働人口は有効活用できる。
 ミャンマーには1230万ヘクタールの農地がある。
 タイよりほんのわずかに少ないだけだ。

 ミャンマーはかつてアジア最大のコメ輸出国だったが、農業セクターは依然として、嘆かわしいほど非生産的だ。

 大半の農家は、多くの場合は機械や肥料を使わず、小さな稲田を耕している。
 ミャンマー農家連盟の代表、ソー・トン氏は、大半のコメが有機米なのは選択の結果ではなく、非有機農業がミャンマーの農村部に行き渡らなかったからだと指摘する。

 近代的な農法を少し導入しただけでも、農家とミャンマーの労働生産性全体に大きな影響をもたらすだろう。

■ミャンマー経済が輝くために必要な仕事

 また、そうすれば、より多くの人が都市部の工場での仕事を探すようになるだろう。
 これも、強力な成長の原動力だ。
 MGIの調査では、製造業とサービスから得られるGDPの割合が15%拡大するたびに、1人当たりGDPが2倍に増加することが分かった。

 工場や田畑での労働は魅惑的でもなければ面白くもないかもしれないが、人は常にコメや靴、コンクリートを必要とする。
 ミャンマー経済が黄金の仏塔に反射する太陽のように輝くためには、ミャンマーの大勢の未熟練労働者に生産的な仕事が必要なのだ。

© 2014 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
Premium Information



レコードチャイナ 配信日時:2014年11月16日 16時26分
http://www.recordchina.co.jp/a97484.html

ミャンマーで中国企業の黄金時代が終わる!
今後のライバルは日本と韓国―仏メディア

 2014年11月14日、ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)中国語サイトは、
 ミャンマーに対する欧米諸国の経済制裁がほぼ解除されたことによって、
 中国企業の黄金時代が今まさに終わろうとしていると報じた。

 中国の李克強(リー・カーチアン)首相は12日から14日までミャンマーの首都ネピドーを訪れ、東アジアサミットなどに出席した。
 ミャンマー外交部の報道官は李首相の訪問とミャンマーの関係について質問を受けた際、両国が伝統的に友好的な関係を保っていることに触れ、
 「ミャンマーは現在国際社会に向けて開放されており、他国とも協力する必要がある。
 中国側もこれを十分に理解してもらいたい」
と述べた。

 李首相はミャンマーで唯一の中国語紙「金鳳凰」の11日版に署名文書を掲載し、
 「中国はミャンマーの全方位外交を好ましく思う。
 ただし、これによって中国側の利益を損なわないことを望む」
と表明した。

 ミャンマーにとって中国は最大の貿易パートナーであり、
★.最大の輸入相手国、
★.2番目の輸出相手国
になっている。ミ
 ャンマーにおける中国の主要なライバルは日本と韓国になる可能性が高い。
 特に日本はミャンマーでさまざまなプロジェクトに参加するなど、近年の積極的な進出が目立つ。
 ミャンマーの空港を行き来する日本人も増加しており、ミャンマー警察当局の車両の多くは日本車が採用されている。
 また、サミット期間中には日本の親善広告がテレビ放送され、最後に安倍首相が画面に登場するなど両国の友好をアピールした。
 また、ミャンマーでは韓国の携帯電話と韓流ドラマが人気を博している。

 ミャンマーが国際社会と全面的な協力を開始したことによって、ミャンマーにおける中国企業の黄金時代は今まさに終わろうとしている。






【描けない未来:中国の苦悩】




_

アリババの途方もない高値での上場:中国経済減速の深い関係

_


●25日、ネット通販大手のアリババ(阿里巴巴)はニューヨーク市場上場で、米国史上最大規模のI
PO(新規株式公開)記録を打ち出した。資料写真。



ロイター 2014年 09月 24日 13:14 JST by James Saft
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKCN0HJ07J20140924

コラム:アリババ上場と中国経済減速の深い関係=サフト氏


 9月23日、アリババが米上場したが、中国当局が減速する経済をテコ入れする気がないとすれば、これまで経験したことのない環境での事業展開を迫られるかもしれないと、ジェームズ・サフト氏は指摘する。

[23日 ロイター] -
 中国の電子商取引会社アリババ・グループ・ホールディングが途方もない高値での上場を果たした折も折、
 同社を育んだ中国の高成長経済が「がた」のきた中年期への移行に満足
しているように見えることは、果たして
(1)滑稽
(2)心配
(3)関係ない
──のどれなのだろうか。

 アリババの上場に金を投じた投資家の大半は気付いていないようだが、
 中国は本当に変身しつつある。
 成長が鈍化しても支援に乗り出さず、より慎重かつ受動的な姿勢に転じている。
 最近発表された鉱工業生産統計は2008年以来で最悪の数字となり、景気が明らかに減速していることを示した。

 楼継偉・財政相は21日、
 「中国は単一の経済指標の変化に応じて大規模な政策調整を行うことはしない」
と述べ、公的支出頼みでインフラ投資を加速させることはできないと付け加えた。

 これはどう考えてもアリババ株を買った投資家に疑問を提示している。

 アリババを支持した投資家らは次のような論戦を張るだろう。
 つまり
 「中国経済はまだ好調だ。少なくとも相対的には」
として景気減速そのものを否定するか、
 「アリババは中国経済とは無関係に成長できる」
と言って景気減速は問題ないと主張するかだ。
 しかし当然のことながら、金融市場が正しいとは限らない。
 市場には不確実性も反映されているのだから。

 懐疑的な見方をする投資家はこれまでのところ、アリババの外部ステークホルダーが直面し得る2つの弱みに注目してきた。
 1つ目はコーポレートガバナンス(企業統治)の問題に集約でき、
 2つ目は政治だ。

 アリババの馬雲(ジャック・マー)会長は自らの価値基準における株主の順位について、顧客、従業員に次ぐ第3位だと率直に述べている。
 これは良い戦略かもしれないが、投資家にとってより不利なのは、経営陣を外部圧力から実質的に隔絶する企業構造だ。

 新規株式公開(IPO)を果たしたのがケイマン諸島を登記地とする持ち株会社であり、
 この会社がアリババの利益を得る権利は契約で決まっているだけという事実、
 そしてこうした契約には中国の法律をめぐる不透明感が付きまとうという事実
を考え併せてみよう。

 すると政治的な視点が浮かび上がる。
 つまり
 中国企業は、いかにグローバルに有名な企業であっても、
 権力者のお気に召さなければ事業展開できない
ということだ。
 法律もその執行方法も変わり得る。
 馬氏が中国一の大富豪であり、明らかな影響力を有していることは明るい側面だが、暗い側面もまた、彼が中国一の大富豪だという事実にある。

■<成長織り込みに危うさ>

 確かにアリババは米アマゾン・ドット・コムと異なり在庫をほとんど持っていないため、資本効率が素晴らしく、利ざやは極めて厚い。

 こうした利ざやは経済成長率に左右されないが、投資家が付けるバリュエーションは成長率次第で変わる。
 現在のバリュエーションは一言で言って巨大だ。
 非常に高いバリュエーションは、一つには将来の成長を織り込むことで導き出される。
 特にアリババが支配する中国の電子商取引産業においてはそうだ。

 そこにはおなじみのストーリーがある。
1].すなわち中国は立派な小売りインフラを欠いているため、電子商取引が市場シェアを獲得している。
2].その上、中国当局自体が国内消費主導型へと経済構造の転換を図っていると。
 いずれもその通りだ。
 しかし同様に着目すべきは、
3].アリババが繁栄を築き、繁栄を許された理由の1つが、
 輸出と投資から消費へという移行を同社が加速させたこと
である点だ。

 問題は、
 アリババの成長が一部、中国経済自体の成長に基づいて予想されていることであり、市場はそれをなかなか認識できない
かもしれない。
 中国の今年の成長率は7%程度と、先進国の基準で測れば高成長を遂げるのは間違いないが、この水準は当初予想や最近の実績に比べると相当低い。

 鉱工業生産統計を見ると、コンクリート、鉄鋼、不動産といった投資主導セクターが急速に鈍化していることが分かる。
 これらの事実はエネルギー生産と消費の統計によっても裏付けられる。
 中国の成長率はみるみる減速しているし、
 最近の当局者の発言を踏まえれば、
 彼らはそれについて大した対策を打つ気がない。

 景気減速と、それに対するおうような構えが大きなサプライズであることは、強調しておかねばならない。
 私の見るところ、アリババのIPO株を売買する投資家はこの二つのサプライズにあまり重きを置いていないようだ。

 中国経済が減速しており、当局者にそれをテコ入れする気がないとすれば、アリババはこれまで経験したことのない環境での事業展開を迫られるかもしれない。

 アリババ株の投資家は、将来の成長に基づく高い株価バリュエーションが、あらゆる種類のレバレッジに酷似していることに気付くかもしれない。
 成長をめぐる前提が少し変わるだけで大きなインパクトがもたらされるということに。

(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)



レコードチャイナ 配信日時:2014年9月28日 14時45分
http://www.nissen.com/home/shop/00/00/11/?gclid=CKbZzJitg8ECFdR8vQodoTwAtA

アリババ上場、社員1万人以上が億万長者に?―中国メディア

  2014年9月25日、ネット通販大手のアリババ(阿里巴巴)はニューヨーク市場上場で、米国史上最大規模のIPO(新規株式公開)記録を打ち出した。
  中国人にとっては世界進出した自国企業の誇りとなり、世界にとっては中国の台頭のシグナルとなり、中国を世界にアピールする機会となった。

 アリババが米証券取引委員会(SEC)に提出した資料によると、アリババは1999年の創立以来、ストックオプションやインセンティブなどの形で、
 現従業員や元従業員に計26.7%の株式を与えている。
 評価額1749億ドル(約19兆円)で計算すると、
 アリババ社員は株式の売却で466億ドル(約5兆円)を超える現金を手に入れることができることになる。
 これはこれまでにIPOしたすべての中国企業を上回る。

 もちろんこの株式のほとんどは、
 アリババの30人のパートナー
の手中にある
 アリババのパートナー制度は、一人ひとりが一定比率の株式を保有することを規定している。
 公開資料では、具体的な株式保有状況は明らかにされておらず、パートナーが14%のアリババ株を保有することだけが示されている。
 30人のパートナーのうち20%は技術者で女性は9人、70年代以降生まれは21人。

 正確なデータはないが、株式保有社員の規模と保有比率でアリババは、中国のインターネット企業で最大を誇ると見られる。
 アリババがB2B開始前に香港で上場した際のデータによると、
 アリババグループの株式保有社員の比率は少なくとも65%以上。
 またアリババでは、
 勤務5年以上の社員と経営層のほぼ全員が株式を保有しているという。
 ここから推算すると、
 アリババ社員の少なくとも半数は株式を持ち、保有比率は13%近くと見られる。
 株式公開の説明書によると、2013年12月31日時点でアリババの全従業員は2万884人
 約233億ドル(2兆5000億円)の株式を1万人余りの社員が共有することとなり、
 平均で一人100万ドル以上を保有することとなる。

 アリババの最初の株式公開説明書では、今回のIPOが株式を保有する社員に巨額の財産をもたらすことへの懸念が記されていた。
 「これらの社員を引き止めたりさらに奨励したりするのが難しくなる可能性がある。
 この財産は、これらの社員が引き続き社内に残るかの決定に影響することになる」。

 だがアリババ内部の情報によると、大部分の社員の株式とオプションはすぐに現金化することはできない。
 半年前後の売却禁止期がある上、4、5年にわたって連続的に売却や行使を続ける必要がある。
(提供/人民網日本語版・翻訳/MA・編集/武藤)



 OECDはいつも最も楽観的な予想を立てる。


レコードチャイナ 配信日時:2014年9月25日 7時50分
http://www.recordchina.co.jp/a94664.html

2014~15年のGDP成長率、中印は高水準持続
=日米欧は下方修正―OECD事務次長が最新見通し

 2014年9月22日、OECD(経済協力開発機構)の玉木林太郎・事務次長兼チーフエコノミストは日本記者クラブで記者会見し、最新のOECD経済見通し(中間審査レビュー)を説明した。
 それによると、2014年、2015年の各実質GDP成長率(カッコ内は前回5月の予測)は、
 米国=2.1(2.6)%、3.1(3.5)%、
 日本=0.9(1.2)%、1.1(1.2)%、
 ユーロ圏=0.8(1.2)%、1.1(1.7)%。
 先進国はそろって下方修正された。
 これに対し新興国は、
 中国=7.4(7.4)%、7.3(7.3)%、
 インド=5.7%、5.9%
と高い水準を持続する。
 カッコ内は前回5月の予測。

 玉木氏は
 「世界経済は上下しつつも緩やかな回復傾向にある」
とした上で、
 「先進国は下振れしている、ブラジルを除く新興国経済において経済が安定化する兆しが出ている」
と分析。
 「労働生産性向上が実質賃金上昇に直結しておらず、労働市場の停滞は先進国で依然顕著だ」
と強調した。
 「貿易と投資は依然として低迷し、リーマンショックのあった2008年以前の水準に戻っていない」
と問題点を挙げた。
 その上で、世界経済の持続的発展に向け
(1)各国の事情に応じた金融政策発動、
(2)財政の持続的な可能性の確保、
(3)日本と欧州は低インフレからの脱却
―などが必要との考えを明らかにした。

 玉木氏は最近の円安傾向が日本経済に与える影響について、
 「円高にせよ円安にせよ、為替相場は経済の一つの変数にすぎず、得をする人もいれば損をする人もいる」
と言明。
 円安の進行にもかかわらず輸出が伸びない現状に関し、
 「輸出の最大の説明変数は、為替相場ではなく相手国の景気だ」
と指摘した。
 玉木氏は
 「中国や米国など日本の輸出相手国の景気がどう回復していくかが、これからの輸出の最大の変数である」
と強調した。





【描けない未来:中国の苦悩】




_

2014年9月23日火曜日

過熱する韓国の英語教育、早期留学ブーム:韓国の負債が2000兆ウォン(約200兆円)に迫る

_


 WEDGE Infinity 日本をもっと、考える  2014年10月06日(Mon)  江口由貴子 (防衛省防衛研究所研究員)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4259?page=1

過熱する韓国の英語教育、早期留学ブームの弊害も

 現在韓国では日本よりも深刻な若者の就職難が起きている。
 韓国では熾烈な就職競争に勝ち残った一部の人が大企業に就職でき、大企業就職という狭き門はまた、どこの大学を卒業したか、と直結しているように思われる。
 韓国ではSKY(S=Seoul国立大学、K=Korea大学、Y=Yonsei大学)の3大学がトップクラスとされ、受験戦争を勝ち抜いた優秀な学生たちが集まる。
 韓国は全人口約5000万人のうち半数が首都圏(ソウル・京畿道・仁川)に住んでいる。
 この過密度は、韓国の政治・経済・文化が都市に一極集中していることを象徴しており、教育もまた、例外でない。
 一極集中に伴う競争とその過熱が大きな社会問題の一つとなっている。

■根強く残る科挙文化

 中国から伝わった科挙制度の名残だろうか、韓国は教育や知識に対する意欲が高い。
 新羅時代、国家が必要とする優秀な人材を発掘する方法として用いられた科挙制度は、李朝時代に体系化され、科挙のための教育もまた急速に発展していった。
 厳しい身分階級制度の下で、学問は立身出世の手段として用いられ、学問をする者は格式高い人間として評価される儒教的概念は、筆者が韓国留学中にも強く感じたことである。
 日本に比べて「先生」を敬う社会的風土が根強く残っており、毎年5月15日は「師匠(先生)の日」とされ、その日は先生に日頃の感謝の気持ちを表す。
 大学教授の地位も日本に比べ高いように感じた。
 官僚と同様に多くの学者が政権中枢に抜擢される政治文化も、科挙制度の名残と言えるのかもしれない。

 このように、韓国社会における学問や教育に対する高い意欲は、両親の子どもに対する教育熱にも表れる。
 90年代以降、国際化を掲げる韓国において、英語教育に対する人々の関心及び投資は急速に過熱していき、現在もその状況は変わっていない。
 今回は韓国における英語教育熱、それに伴い2000年代初頭にブームとなった早期留学について整理してみることとする。

■2000年から急増した早期留学

 早期留学とは、初・中・高等学校段階の学生が国内の学校に入学あるいは在学せず、海外の教育機関に一定期間にわたって修学することとされている。
 多くのケースは、幼いうちから子どもだけ、もしくは子どもと母親が英語圏に留学し、現地の学校で英語を身につけることである。
 もちろん経済的にある程度余裕がなければできないことではあるが、子どもの将来の成功を願う親たちにとっては一つの選択肢として注目された。
 主な留学先は、米国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド等である。

 1987年に民主化を果たした韓国は、国際社会での存在感を高めるため外交に力を入れ、海外への門を大きく開いた。
 1988年にはソウルオリンピックを開催し、その後も急速な経済成長を成し遂げた。
 1993年から始まる金泳三政権では、「世界化」が国家政策とされ、国際競争力の強化が唄われたが、折しもアジア通貨危機で大打撃を受け、経済のグローバル化による競争を生き抜く為の国際競争力の強化に一層力を入れることとなった。

 韓国教育開発院のデータによれば、早期留学生(小・中・高)の数は、2000年から2006年にかけて急増し、2006年には29,511名を記録している。
 1995年の2,259名と比較すると10倍以上の増加である。
 その背景には、上述したように韓国国内で「世界化」が叫ばれると同時に、2000年からは、早期留学に対する規制を撤廃すべく政府が動いたことが挙げられる。
 それまでは、政府の方針として17歳未満の学生の留学は制限されていた。
 しかし政府の「国際化・世界化」時代に合わせるという方針の下、早期留学全面許可に向けて規制を緩和する方向に改善されていったのである。
 また、1990年代後半に小学校3学年からの英語授業が必修となったことも理由に挙げられる。

 筆者の友人の例を紹介しよう。
 彼女は現在33 歳。2006年当時、高校1年で米国に留学し大学4年まで米国で学校に通った。
 きっかけは年の近い兄が高校1年から現地に1人で留学に行っていたことである。
 彼女の兄はというと、ホンジョンウク氏(当時23歳)の著書『7章7幕』を読んで留学に魅了され、親を説得して一人米国へ渡った。
 ホン氏は、韓国の有名俳優の息子で、ハーバード大学、スタンフォード大学ロースクールを卒業し、米国の弁護士資格を取得。
 2008年から2012年まで韓国国会議員を務めた人物であるが、当時彼の著書が早期留学ブームの火付けの一躍を担った。

 名門高校に入学した彼女だったが、親の勧めもあり、また韓国の厳しい大学受験のためにかかる多大な費用(塾や家庭教師等)を考えると留学とさほどかわらないということで、兄と同じ米国の高校に転入した。
 しかし、母親になった彼女は今、自分の子どもには早期留学、特に子どもだけの留学はさせないと断言する。
 高校生とはいえ、まだ精神的サポートを必要とし、情緒多感な時期に相談相手がいないということは、彼女にとっては辛い経験だったようである。
 特に、他国の学生たちに比べて、家族や両親との関係性が強い韓国での生活から、一気に独立した生活を送る事に対するストレスは大きかったようである。

■早期留学ブームによる弊害

 早期留学のブームは新たな造語を生み出した。
 多くの場合は、子どもが一人で留学をするか、母親が一緒についていき、父親は韓国に残って仕送りをする。
★.経済的余裕があり、頻繁に子どもに会うことのできる鷲パパ(カルメギアッパ)、
★.年に数回しか家族に会えない雁パパ(キロギアッパ)、
★.金銭的に余裕がなく子どもに会いにいけないペンギンパパ(ペンギンアッパ)
という言葉が生まれ、
 英語教育のために家族と離れ、仕送りをする寂しい父親
を表す、早期留学の象徴語となった。

 2000年初頭に急増した早期留学生の数も、2006年をピークに減少傾向にあり、2012年度は約半分の14,340名まで減少した。
 一時はブームとなった早期留学も弊害が現れ始め、その数は年々減少している。
 2009年の金融危機による経済的負担の増加、早期留学そのものの効果を問う声、早期留学に伴う子供へのマイナス影響、家族のあり方に対する問題等が浮上した。
 韓国に残り一人仕送りをする父親が自殺をする例や、家族崩壊の例も珍しくなかった。

 留学生活で身に付けた文化的違いを嘆く声もあった。
 3人の子供と母親を米国に留学させた家族の例である。
 10年以上そのような生活を続けていたが、久しぶりに小学校高学年になった子どもたちと再会した父親は衝撃を受けたという。
 父親のことを“YOU!”と呼んだり、気に入らない事があると“I don’t like you!”と言ってみたり。
 それ以降父親は、一旦家族を韓国に戻ししばらく韓国で教育を受けさせたという。
 日本や韓国のように目上を敬う儒教文化の国では、基本的な生活様式や価値観が英語圏とは異なるため、韓国に帰国した後に適応できない子どもたちも多かった。

■国内の英語教育改革に乗り出した政府

 このような家族間の問題などが深刻な社会問題として取り上げられ、2008年、李明博前大統領は、国内の小中学校でも良質な英語教育を受けられるようにと、韓国の英語教育改革に乗り出した。

 一つは2008年以降検討が開始された、国家英語能力評価試験(National English Ability Test)の導入である。
 これは韓国型TOEFLと言われているもので、学生に実用的な英語を学ばせ、海外の英語試験への依存度を引き下げようと政府が開発してきた英語評価システムで、スピーキング・リスニング・ライティング・リーディングにより試験が構成されている。
 当初李明博政権は、ネイティブスピーカーを含む英語教師の任用を拡大することも検討し、公教育で英語能力の向上を可能にすることを掲げていた。

 さらに、この国家英語能力評価試験を大学入試に反映させ、長期的には大学修学能力試験(日本のセンター試験に相当)の英語試験をこれに代替させることを検討していた。
 2014年度入試では36大学が国家英語能力評価試験の成績を反映しているが、有名大学等での導入率は低い。

 しかし朴槿恵政権の発足に伴い、教育部は
 「国家英語能力評価試験は、その試験対策に関連し中高生の私的教育費の負担増加が懸念されるため大学受験と連携させない」
という方針を打ち出し、国家英語能力評価試験の廃止を検討していると伝えられている(『朝鮮日報』2014年1月16日付)。
 公教育での語学力強化を目指したはずの政府の政策が、結局私的教育費の負担増加につながるということで、施行から数年で廃止の方向性を見せている。
 同試験の開発には約36億円の予算を投入したにもかかわらず、である。

 このような政府の英語教育に関する混乱ぶりを見ても、
 韓国の英語教育に対する要求の高さがうかがえる。
 韓国では、早期留学ブームの後、“国内留学”を掲げた英語教育に特化する学校が新たに出てきた。
 また早期留学から帰国した学生らを対象とするような大学の学部や大学院学部の新設も進み、そのような課程では全ての授業が英語で行われている。

■それでも続く小学校からの早期留学ブーム

 しかし興味深いことに、小学校の早期留学生の数は、中高校生に比べると減少の幅が少ないこともまた明らかになった。
 ここでもう一つ、筆者の知人家族の例を挙げる。
 彼女は8歳と5歳の息子を連れて2年前にオーストラリアに移住した。
 最初はブリスベンの親戚の家を訪ね家族旅行をするつもりだったが、韓国とのあまりの生活環境の違いにその後本格的な留学の準備に取りかかった。
 父親はその後韓国の会社を辞めラオスで起業をしたが、現在でも2カ月に一度は定期的に家族が会い、2週間ほど時間を過ごすという。

 家族が子どもたちの早期留学を選択した理由は、子どもの多様性を尊重するオーストラリアの教育に魅了されたからだと話す。
 競争社会の韓国とは違い、他人の目を気にすることなく、ストレスを受けることなく生活できるという。
 最初は彼女が学生ビザを取得し、子どもたちは同伴家族として滞在していたが、子どもが学校に入ってからは彼女は保護者ビザで滞在している。
 語学習得と、子どもの個性や多様性を育てたいという目的から現在の生活を選択したが、家族は全員とても満足しているという。

 また、韓国国内のインターナショナルスクールへの入学も考えたが、その費用とオーストラリアでの生活・教育費用はさほど変わらないため、生活の質を求めてオーストラリアでの生活を選択した。
 オーストラリアやニュージーランドへの留学も人気が高いが、最近では英語と中国語を両方習得できるという理由からシンガポールへの留学も話題になっているという。

■子どもに対する親の意識の違い

 ベネッセの研究所は、5年毎に「幼児の生活アンケート:東アジア5都市調査(東京・ソウル・北京・上海・台湾)」という調査を実施・公開している。
 幼児の生活や子育て意識に関するアジア各都市の比較調査は大変興味深い。
 2010年に公表された結果によれば、各国の子どもの習い事は、
★.東京の上位3項目が
 スイミング(20.8%)、
 定期的に教材が送られてくる通信教育(20.2%)、
 体操(13.9%)
の順であったのに対し、
★.ソウルは、
 ハングル(39.4%)、
 英語(33.6%)、
 数学/暗算(31.9%)
の順であることがわかった。
 身体を動かす習い事が多い東京の結果にくらべ、ソウルの子どもたちは学習系の習い事が圧倒的に多い。

 さらに興味深い結果として、「子どもの将来に対する期待」であるが、
 東京ソウル共に上位1位は「自分の家族を大切にする人」(東京72.4%、ソウル80.8%)
であったのに対し、
★.東京の2位3位は、
 「友人を大切にする人」(71.6%)、
 「他人に迷惑をかけない人」(65.6%)、
★.ソウルの2位3位はそれぞれ
 「リーダーシップのある人」(55.3%)、
 「経済的に豊かな人」(40.5%)
とその価値観の違いは歴然であった。

 「リーダーシップがあり経済的に豊かな人になる」。
 こうした子どもの将来に対する期待は、幼い頃から、ハングル、英語、数学といった習い事に通い、小学校から競争社会に身を置くことへとつながっている。
 韓国では多くの親が、成功への近道は学問であると考えている。
 その方法の善し悪しは筆者が評価する立場にはないが、科挙文化に根ざす学問至上主義の韓国の社会構造は、より大きな社会的問題を生み出す可能性も否定できない。

 一例を挙げれば少子化である。
 結局こうした教育費用の高騰が韓国の少子化を招く主要因となっている。
 韓国の出生率は2013年基準で1.19と、日本(1.43)より低い。
 実際、韓国はOECD加盟国の中で私的教育費用の負担が最も高い(OECD factbook 2013参照)。
 これらの教育費、特に塾代を含む私的教育費の負担が家計を圧迫しており、子どもを持つことへの不安に直結しているように思える。
 2018年に「高齢社会」を迎えると言われる韓国だが、過熱する競争社会、英語教育を含む教育費の負担等の構造的な社会問題は、ますます深刻化する一方である。



朝鮮日報 記事入力 : 2014/12/25 11:09
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/12/25/2014122500790.html

「早期英語教育の禁止は学ぶ権利の侵害」
教育当局の方針に私立小や英語塾が反発

 早期英語教育をめぐり、韓国で教育当局と私立小学校、英語塾、保護者の間のあつれきが深まっている。
 政府が早期英語教育を禁じていることに対し、保護者や私立小学校などは
 「英語がますます重要になっているのになぜ禁じるのか」
と反発している。

 ソウル市教育庁(教育委員会に相当)は先ごろ、市内の私立小学校45校に対し監査を実施し、135件の違法事項を摘発した。代表的な摘発事項が英語教育に関するものだ。初・中等教育法第23条は小学3年生から英語を教えるよう規定しているが、2校では1-2年生に英語を教えていた。
 グループ活動やボランティアをすることになっている「創意的体験活動」の時間を使い、年間102-136時間の英語教育を行っていた小学校も2校あった。

 また、塾通いなどの私教育を助長するとして、教育部(省に相当)が幼児対象の英語塾での英語ネイティブ講師の採用禁止を推進していることに対しても、業界から批判が出ている。
 韓国学院(学習塾)総連合会は23日に記者会見し「政府はコミュニケーション主体の実用英語教育をしていない」「教育部の措置はネイティブに英語を学ぶ国民の権利を制限するものだ」などと批判した。

 教育当局はおおむね早期英語教育に否定的だ。
 教育部のパク・ピョンテ英語教育チーム長は
 「母国語がある程度完成してから外国語を学ぶ方が効果的だというのが学界の大半の意見だ。
 その場合、10歳前後の小3以降が適切だ」
と話す。
 韓国では1997年から小3の正規教育課程で英語を教えており、中国と台湾でも小3から英語を教えている。
 日本は2011年に小5での英語教育を必修化した。

 だが、適切な英語教育の開始時期をめぐっては学界でも意見が分かれている。
 大邱教育大のキム・ヨンスク教授(韓国初等英語教育学会長)は
 「第2外国語を習得するには、その言語にさらされる絶対的な時間が必要だ。
 米国務省傘下の外務職員局(FSI)は4000時間ほどさらされる必要があるとしているが、韓国は小、中、高校(の授業時間)を全部合わせても1000時間に満たないほど不足しているため、小学1-2年生にも教えるのが望ましい」
と話している。



レコードチャイナ 配信日時:2014年9月23日 18時54分
http://www.recordchina.co.jp/a94582.html

韓国の負債が2000兆ウォンに迫る勢い
=「次世代に申し訳ない」「韓国国民の最大の敵は…」―韓国ネット
 
 韓国の政府と公共機関、家計の負債をすべて合わせると、2000兆ウォン(約200兆円)
に迫っていることが明らかとなった。

 韓国政府が発表した2014~2018年の国家財政運用計画によると、今年の国家債務は527兆ウォン(約53兆円)になる見込み。
 また、韓国銀行の発表によると、家計の負債は6月末基準で1040兆ウォン(約104兆円)にのぼる。
 負債の規模が大きい上にその増加速度も速く、負債が雪だるま式に増え、国の経済が危機に陥るという懸念も出ている。

 このような現状に、韓国のネットユーザーから多くの意見が寄せられている。
 以下はその一部。

「アジア通貨危機の時も、政府は安全だって言っていたよね」
「結局、金持ちと大企業だけ減税してやって、庶民には厳しい状況だ」
「盧武鉉は経済運営をとてもうまくやっていたんだね。今になって思うよ」
「朴槿恵は、親庶民政策を行なうって言ったけど、たばこ税を上げて、企業の負担を軽減だ。
 企業は、その利益をそのまま溜め込んでいる。
 大企業の留保金は増えていって、庶民のポケットは空っぽになっていく」
「借金返済の苦労を次の世代に押し付けてしまって申し訳ない」

「大韓民国庶民の最大の敵は、国会議員と政府高官と朴槿恵だ」
「政府は大企業留保金に課税しろ。大企業のご機嫌うかがいをするな。
 たばこ税引き上げより、金持ちに増税しろ」
「政府は、増税政策よりも非効率的な政府事業の縮小と、膨大な公務員のリストラを先に実行しなければならない」




【描けない未来:中国の苦悩】







_

2014年9月22日月曜日

14億円でオーストラリアの永住権買えます:中国人の国外脱出の「第3の波」、投資と移住がセット

_


サーチナニュース 2014-09-22 13:11
http://news.searchina.net/id/1543955

中国人、国外脱出「第3の波」
・・・投資と移住がセット、多くの国で移民の出身国「第1位」に

米国当局は8月末、一定条件を満たす外国人投資家に永住権を授与するEB-5プログラムについて、2014年財政年度(13年10月-14年9月)については定員に達したと発表した。
 同プログラムが始まって24年だが、定員の1万件人に達したのは初めて。
 85%を中国人だったという。
 中国では改革開放が始まって以来の国外脱出「第3の波」が顕著になったという。
 中国新聞社などが報じた。

 08年に米国のEB-5プログラムで永住権を獲得した外国人は1360人で、中国人は約26%の360人だった。
 EB-5プログラムによる永住権の申請者のうち中国人が占める割合
 09年には47%、11年には70%、12年には80%
に達した。
 EB-5プログラムでは、永住権取得して5年後には、米国市民になる道が開ける。
 米国市民権を取得すれば、家族を米国に呼び寄せることも可能になる。
  カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでも中国からの移民が急増している。
  中国は、1949年の中華人民共和国発足以来、極めて閉鎖的な国になった。
 66年からの77年まで続いた文化大革命期には「鎖国」状態だったと言ってよい。
 海外移住が少しずつ認められるようになったのは1978年だった。

   1980年ごろに発生した「国外脱出」の第1波では、留学などの形で外国に行く人が多かった。
 多くの人は外国に移った当初、アルバイトなどで苦労して生活を成り立たせた。
 違法な手段による密出国・密入国も多かった。
   第2波は1980年末から90年代末までだった
 発展途上国が技術移民や投資移民の受け入れ条件を緩和し始めた。
 そのため、中国国内で教育を受けた上で、海外に移住する人が増えた。
 裕福層による投資移民も発生した。
  最近になってからの「第3の波」では、技術者、医師、弁護士など「高い技術を持った人」、さらに裕福層の移民が増えていることという。
   中国の裕福層についての調査研究を進めている胡潤百富によると、
 1000万元(約1億7700万円)以上の資産を持つ中国人393人に尋ねたところ、
 「すでに外国での永住権を取得、または申請中」と回答した人が64%だったという。  
 海外に投資できる人の層が大幅に広がりつつある現象もある。
 中国ではしばらくの間、不動産価格の高騰を抑えるために、投機目的による物件購入を規制した。
 例えば、1家族が購入できるマンションを1物件に制限するなどだ。
  しかし、規制のなかった10年ほど前に北京や上海市で3-5カ所の住宅物件を購入していた場合、現在では売却して2000-3000万元を得ることができる。
 このような人々が現在の投資移民の主流になっているという。
  投資移民は年齢としては35-40歳程度。
 高等教育を受け、収入も多い。
 起業しており投資と言う負担にも耐えられる。
 彼らにとって、移民は特別なことではなく「1つの手段。
 1つの選択」にすぎないという。

 移民を求める最大の理由は中国国内における「安全感」の欠如だ。
 大気や水質などの環境問題、
 食の安全問題、
 法律の問題、
 子の教育の問題
で、中国は「リスクが大きいすぎる国」とみなされている。
 中国国内では仕事で求められるテンポが速すぎて、生きていく上でプレッシャーが大きすぎると感じる人も多いという。

 **********

◆解説◆ 
 上記記事が説くように、「投資移民」を目指す中国人が急増しているのは事実だが、
 「非裕福層」の国外脱出熱も依然として高いと考えてよい。
 フィリピン当局はしばしば、不法就労する中国人の一斉摘発を実施している。
 中国人の場合、ひとりが海外での長期滞在に成功すると、家族や親族、場合によっては知人なども、なんらかの手段で次々にやってくるという現象も目立つ。
 台湾で馬英九政権が手がけた大陸とのサービス貿易協定が強い反発を受けた理由のひとつが、
 「中国企業の台湾進出の規制を大幅に緩和したのでは、大量の大陸人が台湾に住み着くことになる。
 台湾に大陸人があふれ、台湾人の就業機会が大幅に減る」
だった。
  先進国において中国出身の留学生や低所得層が増えた場合、元からの住民が敬遠する、いわゆる3K(きつい、きたない、危険)といった職場で労働力を確保しやすくなるという面がある。
 一方で、労働条件の悪い職場も労働力を確保できることが、社会全体における給与水準の低下の要因になったり、労務面で違法行為を行う“ブラック企業”をはびこらせる原因になる。
   米国ではこれまでに、中南米からの大量の移民(合法/非合法)のため、上記のような問題が発生した。



レコードチャイナ 配信日時:2014年10月21日 15時16分
http://www.recordchina.co.jp/a994.html

中国の富裕層を獲得せよ!
世界各国で中国人の投資移民獲得にあの手この手―香港紙

  2014年10月14日、香港紙・東方日報は、世界各国が中国人富裕層の移民を誘致しようとさまざまな手段を講じていると報じた。
 18日、参考消息網が伝えた。

 米国雇用発展融資センターは北京市で中国人富裕層を対象とした投資移民に関する新政策を発表した。
 米国の中小企業に対して、50万ドル以上の5年満期の低利融資を提供した場合、3年間でグリーンカードの取得が可能になるというもの。
 米国人と結婚する以外の手段では、最も早く米国永住権が取得できるルートとなった。

 米国だけではなくギリシャやスペインなどの国々でも、不動産を購入し一定期間居住すれば永住権や国籍が取得できるなどの政策が導入されている。
 中国の富裕層の移民誘致に成功すれば、経済的なインパクトが大きい。
 富裕層移民誘致を目指す各国の競争が続いている。



オーストラリアBAGGUSE 11月号

14億円でオーストラリアの永住権買えます




レコードチャイナ 配信日時:2014年9月29日 1時47分
http://www.recordchina.co.jp/a94851.html

豪州で中国人が住宅物件を買い占め、
「まるで大地を食い尽くすイナゴだ!」と中国でも批判―中国メディア

 2014年9月27日、中国メディア・騰訊網は、オーストラリアで中国人による住宅物件の買い占めが大きな社会問題になっていると伝えた。
 以下はその概要。

 オーストラリアでは、外国人の不動産物件購入に審査委員会の許可が必要だ。
 さらに住宅購入の場合は新築物件のみとなり、中古物件の購入は許可されない。
 ある金融機関の調査によると、
 オーストラリアで販売される新築物件のうち、8分の1が中国人によって買い占められている
という。
 しかし、
 現地に住む親せきや友人の名義で不動産物件を購入する中国人が多く、実際に買い占められている物件数はその数倍にもなる
との見方が有力だ。

 現地の不動産販売業者は「高級別荘や文教地区にある物件が中国人に人気だ」と話す。
 実際にシドニーでは、販売価格3億円前後の高級マンション購入者の3~4割が中国人で占められたとの報道もあるほどだ。

 中国人がオーストラリアの住宅物件を購入する理由は2つある。
1つは移住目的、
もう1つは投資目的だ。
 「7000万人いる中国人富裕層のうち、約半数が海外移住を希望しており、
 1000万人がオーストラリアを移住先に考えている」
という調査報告もある。

 こうした状況から、オーストラリアでは近年、住宅物件の価格が高騰している。
 シドニーやメルボルンなどの大都市ではその傾向が顕著だ。
 「1億円以上の高額物件は中国人のせいで3割以上値上がりした」との声もあり、ドミノ効果で低額物件の価格も跳ね上がった。
 そのため、住宅購入が困難になった若者が増えたと現地メディアも大きく取り上げている。

この記事に対し、中国のネット上に寄せられたコメントは
 「中国人は大地を食い尽くすイナゴだな」
 「投資=不動産物件購入としか考えられない中国人はバカだ」
 「不正蓄財の金だろ」
と辛辣な内容がほとんどだった。


レコードチャイナ 配信日時:2014年9月30日 7時20分
http://www.recordchina.co.jp/a94854.html

中国人の物質への執着は「度が過ぎている」―フランス調査会社

  2014年9月26日、環球網によると、フランスの市場調査会社・イプソスが行ったアンケート調査で、 世界で最も物質に執着しているのは中国人である
ことが分かった。
 専門家は「度が過ぎている」と警鐘を鳴らしている。

 イプソスは13年末、
 「世界の物質主義、財産管理と家庭の態度」
と題した、
 世界20カ国を対象とした調査を行った。
 それによると、物質に対する執着度に関して、
★.中国人は71%が「所有する物質の多さによって成功を評価する」
と回答し、20カ国の中で最高の割合を示した。
★.全体ではわずか34%が同意を示したのみで、
★.米国と日本では約8割が否定
した。

 中国科学院心理研究所の陳祉妍(チェン・ジーイエン)博士は
 「生存は衣食住などと切り離せないものであり、物質に対する追求は必ずしも誤りではないが、中国人の場合は度を超えている」
と指摘。

 その原因について、
★.「先進諸国と比較して中国経済の発展がまだ遅れており、
 衣食という生活の根本に問題を抱えている人もたくさんいること」
★.「貧困に対する恐怖心がいまだに社会に影響していること」
★.「改革開放以降、中国に西洋の文化・思想が流入し、
 先進技術や優れた制度を学ぶ前に、拝金主義や快楽主義が多くの人々の考え方を支配してしまったこと」
の3つを挙げた。

 陳博士は
物質を重視し、思想を軽視する悪循環は、
★.家庭の矛盾を激化し、
★.社会の信頼度を引き下げ、
★.各種の不安定要素を生み出す
と警告している。


レコードチャイナ 配信日時:2014年10月19日 3時33分
http://www.recordchina.co.jp/a95667.html

海外に商機求める中国の不動産富豪、リスクを分散―中国紙

 2014年10月10日、中国不動産市場の熱気が冷めた今、不動産で財を成した富豪たちは海外での投資に2014年の新たな商機を見いだそうとしている。
 新京報が伝えた。

 9日に発表されたフージワーフ(胡潤)研究院の2014年不動産長者番付によると、60歳の王健林(ワン・ジエンリン)氏とその家族が、資産1100億元(約1兆9337億円)で首位に立った。
 今年の番付に並んだ富豪の平均資産は昨年より5%少なく、富豪たちは相次いで国際化を目指し、海外で商機を模索している。

▽上位50人の平均資産が5%減少

 同番付をみると、トップの王氏と家族の資産は前年を9%上回る1100億元に達した。
 王氏は過去5年間に同番付で4回首位に立っている。

 今年は上位50人の平均資産が前年比5%減少して149億元(約2619億円)になった。
 上位50人に入るためのハードルは昨年より13%低下して65億元(約1142億円)になり、11年の水準に戻った。
 上位10人のうち5人の資産が減少し、7位の竜湖地産有限公司の呉亜軍(ウー・ヤージュン)氏一家は資産の減少幅が最も大きく、22%に達した。

▽不動産富豪の国際化傾向が明らか

 中国不動産市場の盛り上がりが冷めたことを受けて、不動産富豪の多くが海外に商機を求めるようになった。
 同番付からも、ここ1年間の不動産富豪の国際化傾向が明らかだ。

 不動産サービス会社のコリアーズ・インターナショナルがまとめた研究報告によると、
 中国の海外不動産投資は
★.08年の7000万ドル(約75億4000万円)足らずから、
  13年は160億ドル(約1兆7240億円)へと大幅に増加
した。

 フージワーフ長者番付の創始者であり主席調査研究員である英国人のフージワーフ氏によると、今年は海外での不動産投資の勢いが盛んなことが明らかで、これは主に人民元が強く、海外の不動産価格が相対的に安いため、海外の不動産のコストパフォーマンスが上昇したことが原因だ。
 中国不動産市場がペースダウンする今、海外不動産に投資すればリスクを分散することができる。
 また、中国の消費者の国際化ニーズも海外不動産投資に市場を提供することになった。(

提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/TF)


Newsweek 2014年11月10日(月)12時30分
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2014/11/post-3453.php

中国富裕層が群がるアメリカの高級物件
冷え込む国内市場を見限って海外の不動産に「お引っ越し」


●高級志向 5つ星ホテルの階上にある超高級コンドミニアム「ワン57」も人気物件だ(ニューヨーク) Mike Sega-Reuters

 中国政府は最近、不動産部門のテコ入れを図っているが、不動産市場は相変わらず苦戦している。
 中国の民間会社2社の調査によれば、国内主要288都市の8月の新築住宅価格は前月比で0・3%下げ、5カ月連続の下落となった。
 前年同月比では3%上昇したが、伸びは鈍化している。

★.住宅価格が下がり続ければ、中国経済全体に重大な脅威となるだろうと専門家は懸念を示す。
 しかも国外で不動産を購入する中国人が増えている中、
★.中国の不動産市場が崩壊すれば大量の資金が国外流出し、
 バンクーバーやニューヨークやシドニーのように遠く離れた市場でも住宅価格が上昇する恐れがある。

★.中国は不動産部門に依存しており、GDPの伸びの16〜20%が不動産投資によるものだ。
 近年、輸出競争力が低下するなか、固定資産への投資によって高い経済成長率を維持してきた。

〇:どんな仕組みか説明しよう。
1].国有銀行が地方政府への融資を拡大、
2].地方政府はその資金を不動産開発業者に貸し、都市部に近代的な高層マンションが建設される。
3].市民は国内の不安定な株式市場に投資する代わりに貯金をはたいて不動産を買い、富裕層は投機目的で複数のマンションを買いあさる......。

 この繰り返しが中国の開発業者を儲けさせ、建設ラッシュを招き、好況を維持してきた。
 その一方で住宅ブームはバブルの懸念をあおってもいる。
 不動産ブームの過熱を抑制しようと、中国の主要都市では過去1年間、住宅購入が制限され、2軒目の頭金の最低比率が引き上げられている。

■海外の高級物件が人気

 しかし不動産市場が冷え込んだら、これからも住宅を買いたい中国人はどこに投資すればいいのか。

 投資先として魅力を増しているのは外国だ。
 中国政府は市民が国外に持ち出せる金額を1人5万ドルまでに厳しく制限しているが、他人と協力して規制をかいくぐることはできる。
 「銀行口座を交換するなどの方法で最大100万ドルを国外に持ち出せることも多い」
と、中国経済に詳しいエコノミストのパトリック・チョバネクは言う。

 現に過去1年間、アメリカで住宅を購入する中国人が急増している。
 中国人による不動産購入は今年3月までに50%増加し、時価総額は現在220億ドルに達している。
 中国人富裕層を引き寄せようと、米政府はEB−5プログラム(アメリカ国内の地域開発事業に
 50万ドル以上投資した外国人に永住権を与える)の一環として、
 中国人6895人に移民ビザを発給。
 発給件数2位は韓国人だが、こちらは364人にとどまっている。

 中国人はかなり高級志向のようで、中国人向けの住宅価格の中央値は52万3148ドル(カナダ人向けの住宅価格は平均21万2500ドル)。
 彼らは、中国人向けの物件(風水に基づいて設計されているなど)を専門に扱う業者を利用する。
 例えば不動産検索サイトのジロウ・ドットコムは北京の不動産検索サイトと提携し、中国人バイヤーに情報提供している。
 真のグローバル不動産市場の誕生だと、ニューヨーカー誌のジェームズ・スロウィッキーは5月のコラムで書いた。

 こうした状況は、80年代後半のジャパンマネーによる米有名不動産の買いあさりを思い起こさせるかもしれない。
 ニューヨークのロックフェラーセンターやカリフォルニアの名門ゴルフ場が相次いで買収され、「日本株式会社」がアメリカを席巻するのではないかと懸念する声も上がった。
 ところがその後、日本の資産バブルが崩壊、以来20年間、日本経済は低迷したままだ。
 今回も騒ぎ過ぎだと主張する専門家もいる。

■汚職取り締まりの影響も

 11年にニューヨークのパークアベニュープラザの株式の49%を中国の不動産グループ、SOHO中国が取得したケースなどはあくまでも例外だ。
 「中国マネーが象徴する資本流出はジャパンマネーのときとはタイプが異なる。
 企業ではなく一族や個人が原動力になっている」
と、チョバネクは言う。

 きれいな空気と優れた教育システムを求めて、中国の富裕層(資産総額160万ドル以上)の64%が既に国外に移住しているか、移住を計画している。
 習近平(シ―・チーピン)国家主席が昨年の就任以降、汚職取り締まりに意欲的で、高級住宅を複数所有するなど富を誇示する官僚を罰していることも、海外資産購入に拍車を掛けている。

 「反汚職キャンペーンのせいで資産状況を曖昧にしたがっている中国人が多い」
と、チョバネクは言う。

 かつて「世界の工場」だった中国には外国からの投資が流れ込み、世界第2の経済大国に成長する追い風となった。
 しかし資本規制が緩和された結果、12年には資本収支が赤字に。
 中国政府は一層の規制緩和をほのめかしており、資本逃避を招く恐れがあるとIMF(国際通貨基金)は警告している。

 そうなれば海外の中国マネー(大半が不動産に投資されている)が、住宅費高騰が議論を呼んでいるニューヨークのような市場に及ぼす影響ははるかに大きくなるはずだと、チョバネクは言う。
 ニューヨークの不動産に中国マネーが殺到すれば、既に不動産を所有している人には朗報だろうが、これから買いたい人は不利になる。
 「こうした資本流出の受け皿になるのはどんな資産かといえば、主に不動産だ」

 GDPの伸びはどうあれ、中国人の海外投資熱は今も健在だ。
 「中国がいまホットだとか、アメリカが中国に完敗するとか、中国が世界第1位の経済大国になるとか言われているが、
 非常に多くの中国人が資金を国外に出したがっていること
は覚えておくといい」

[2014年10月28日号掲載]


【描けない未来:中国の苦悩】







_