2014年10月30日木曜日

日本企業は本当にダメになったのか(2):進化進行形の自動車、ハイブリッドは過去のものになるか?

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朝鮮日報 記事入力 : 2014/10/31 11:05

ホンダ、創業66年で「二輪→四輪→二翼」
初の市販7人乗り飛行機「ホンダジェット」、事前注文100機超
空を目指す創業者の夢かなう

●ホンダジェット

有名自動車メーカーのホンダが開発した7人乗り飛行機に対し、発売前にもかかわらず注文が100機を超えたと経済週刊誌「週刊東洋経済」など日本のメディアが報じた。
ホンダが作った機体に独自開発したジェットエンジンを搭載した「ホンダジェット」=上記写真=の価格は450万ドル(約4億9000万円)。
1948年に自転車に発電用エンジンを付けたオートバイメーカーとしてスタートしたホンダが、60年を経てビジネスジェット機市場に進出することになったのだ。
2003年に試験飛行に成功したホンダは、11年後には量産システムを整え、来年初めに米連邦航空局(FAA)の最終的な承認を得次第、本格的な販売を開始する。

米国CNBC放送など海外メディアはホンダについて
「二輪→四輪→二翼へ、歩き→走り→飛ぶことになった」
と報じている。
日本ではホンダが初めて航空機を市販することについて、創業者・本田宗一郎氏(1906-91年)の夢が実現したと伝えている。
本田氏が最初に夢見たのが飛行機会社だったからだ。
日本経済新聞は、1986年に自社のエンジニア5人を米国に送り、ひそかに航空機製造技術を学ばせた本田氏の試みが30年を経て実を結んだ、と書いている。

ホンダは小型ジェット機の販売だけでなく、独自開発したエンジンを前面に押し出し、5-15人乗り航空機エンジン市場も狙っている。
小型航空機エンジン市場を二分しているプラット・アンド・ホイットニーとウィリアムズ・インターナショナルの2社は、エンジンの生産だけで航空機そのものは生産していない。
そこにホンダがエンジンも機体も生産するノウハウを基に、これら2社の高い壁を切り崩そうと乗り出したのだ。

ホンダは16日、ホンダジェットのエンジン説明会で、関連世界市場の3分の1を占めるという目標を掲げた。
業界関係者らは、昨年の市場規模11兆6000億ウォン(約1兆2000億円)だった小型航空機エンジン市場が急速に拡大すると予想している。
テロやエボラ出血熱感染といった脅威が世界的に広がっている現在、ビジネス用小型ジェット機の需要は増えるだろうというわけだ。
空を目指すホンダの夢が「実利」につながる可能性も高まっている。


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NHKニュース 11月17日 18時11分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141117/k10013268481000.html

ホンダ 燃料電池車の試作モデル公開

「ホンダ」は、来年度中に一般向けの発売を目指している次世代のエコカーと言われる水素を燃料にした燃料電池車の試作モデルを公開しました。

ホンダが17日公開したのは水素を燃料にした燃料電池車の試作モデルで、会社では一般向けに発売する際のデザインにほぼ近い形になっているとしています。
また燃料電池を小型化し、ボンネットの中に搭載できるようにしたことで5人乗りが可能になったほか、水素の1回の充填(じゅうてん)に必要な時間はおよそ3分間で、満タンで700キロ以上走行できるということです。
ホンダは燃料電池車の一般向けの発売時期を、これまで来年中としてきましたが、去年の秋に発売した小型車でリコールが相次ぎ、安全性の検証を強化しているため、発売時期は来年度中として、やや遅らせることにしました。

ホンダの伊東孝紳社長は会見で、
「燃料電池車は、これまでになかった高度なシステムを導入している。
念には念をということで、市販の時期をずらした」としたうえで、
「2030年ごろには、燃料電池車がたくさん走っている世界を作り上げたい」
と述べました。
燃料電池車を巡っては、トヨタ自動車が18日、具体的な販売計画を発表する見通しになっているほか、日産自動車も3年後の発売を目指して開発を進めています。



レスポンス 2014年11月17日(月) 14時40分
http://response.jp/article/2014/11/17/237522.html

ホンダ、新型燃料電池車 FCVコンセプト を世界初公開
…燃料電池スタックを小型化



ホンダは、新型燃料電池自動車(FCV)のコンセプトカー『ホンダ FCVコンセプト』と、FCVから最大出力9kWのAC出力を可能にする外部給電器のコンセプトモデル「ホンダ パワー エクスポーター コンセプト」を世界初公開した。

同社はコンセプトモデルをベースにした新型FCVを、2015年度中に日本での発売を目指し、その後、米国や欧州へ展開していく予定だ。

ホンダ FCVコンセプトは、2008年にリース販売を開始した『FCXクラリティ』の後継モデルとして、性能向上とコストダウンを目指した次世代FCVのコンセプトカー。
新開発の燃料電池スタックは、従来型より33%の小型化を図りながら、出力は100kW以上、出力密度は3.1kW/Lと従来比で約60%の向上を実現する。

小型化した燃料電池スタックを含めたパワートレインを、市販車として世界で初めてセダンタイプのボンネット内に集約して搭載。
これにより、大人5人が快適に座れる、ゆとりあるフルキャビンパッケージを実現するとともに、将来のFCVの普及拡大期において、複数の車種に展開することを可能としている。

また、70MPaの高圧水素貯蔵タンクを搭載し、700km以上の航続距離を実現。
水素タンクの再充填は約3分の短時間で完了し、現在のガソリン車と同等の使い勝手を実現する。
さらに外部給電機能を装備。FCVと外部給電器を組み合わせることで「走る電源」として、災害時などにクルマが作る電力をコミュニティに提供できる。

ホンダは、FCVと外部給電器に加え、同社の独自技術である高圧水電解システムを採用したパッケージ型「スマート水素ステーション」の普及促進を図り、来たる水素社会に向けて「つくる」「つかう」「つながる」という3つのコンセプトで、CO2ゼロ社会の早期実現を目指す。


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朝日新聞デジタル 2014年11月18日11時21分
http://www.asahi.com/articles/ASGCK7HLRGCKOIPE02R.html

トヨタの燃料電池車、12月15日発売 実質520万円

トヨタ自動車は18日、燃料の水素に空気中の酸素を反応させてできた電気で走る燃料電池車(FCV)の「MIRAI(ミライ)」を12月15日に発売すると正式発表した。
消費税込み723万6千円。国は1台202万円の補助金を出す方針で、実質的な購入負担は約520万円になる。
FCVの市販は世界初となる。

ミライは4人乗りのセダンタイプ。
水素を約3分間で満タンにでき、一回で約650キロを走れる。
燃料を補給する水素ステーションが整備される東京、名古屋、大阪、福岡の4大都市圏を中心に、年400台の販売を見込む。
すでに官公庁などから約200台の受注があったという。

加藤光久副社長は
「ミライは(ハイブリッド車の)プリウスをはるかに超えるイノベーションの幕開けだ」
と話した。



日刊工業新聞 Business Line 掲載日 2014年11月19日
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0420141119bead.html

トヨタのFCV、型式指定を取得

 国土交通省は18日、トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)が、国際連合欧州経済委員会の自動車基準調和フォーラム(WP29)における世界統一基準(GTR13)策定後初めて、道路運送車両法第75条に基づく型式指定を取得したと発表した。
 これにより大量生産が可能となり、一般ユーザーへの普及拡大が見込まれる。
 GTR13は日本の主導により2013年6月に策定。
 国産FCVも仕様を大きく変えずに輸出が可能となった。



ロイター 2015年 01月 7日 00:34 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KF1F520150106

「ものすごい英断」と驚きの声、
トヨタ燃料電池車の特許無償開放

[東京 6日 ロイター] -
 トヨタ自動車が単独で保有する燃料電池車(FCV)関連の特許すべての無償提供を6日発表したことについて、日系自動車メーカー各社からは「ものすごい英断」(日産自動車などと驚きの声が多く上がった。

 FCVは燃料となる水素のインフラが必要になるため、台数の拡大が急がれている。
 トヨタは1社の努力だけでは限界があり、他社を巻き込むことで市場創造を加速したい考えだが、次世代エコカー戦略に対する自動車メーカー各社の思惑はさまざま。
 トヨタの狙い通り、実際に競合他社がトヨタの技術を採用するかどうかが注目される。

 日本自動車工業会(自工会)の池史彦会長(ホンダ会長)は同日、自工会主催の賀詞交歓会で記者団に対し、
 「将来を考えると、燃料電池車はポテンシャルが大きい」
とし、特許の無償開放は参加企業を増やし、燃料電池車分野で日本メーカーによる国際標準化がより進むとして「歓迎すべき動き」と評した。

 日本メーカーはこれまで自前主義が多く、個社で技術を囲い込んだ結果、
 「ガラパゴス化して世界標準になりにくかった」
と日産の志賀副会長は指摘。
 特許の無償開放によって
 「量が増えてコストが下がり、燃料電池が普及する。
 そうすればインフラがついてくる」
と述べ、トヨタの判断は「非常に賢い」として拍手を送った。

 自動車メーカーは通常、技術流出などを警戒し、特許は有償かつ提携先に限ることが多いのが一般的。
 トヨタにとっても、不特定の企業などに対して無償で特許を提供するのは今回が初めてで、異例の決断だ。

 しかし、トヨタの特許技術を実際に使うかどうかを問われると、各社幹部らは
 「まだ中身がわからないが、現実はなかなか(難しい)」
などと口が重い。
 電気自動車(EV)を推進している日産の志賀副会長も、自社としては「必要であれば」と述べるにとどめ、むしろ採用するのは海外メーカーだったり、
 「自動車メーカーよりもサプライヤーが使うのではないか」
との見方も示す。

 トヨタの技術を採用することはトヨタに事実上、次世代エコカーの本命とされるFCVの主導権を握られることにもつながりかねず、各社の慎重な姿勢が垣間見える。

 また、FCVの開発には莫大な資金が必要なため、経営資源の少ないメーカーは「まだ取り組める段階ではない」(富士重工業幹部)という。
 ホンダ、日産は開発を進めて一般向け販売を予定しているが、富士重やマツダなどはFCV参入は未定だ。

 FCVを着実に皆で心一つに進めていくことこそ、水素社会の実現、持続的成長につながる――。
 トヨタの豊田章男社長はFCVの普及加速に期待を込めるが、狙い通りに進むかどうか。



朝鮮日報 記事入力 : 2015/01/07 09:11
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/01/07/2015010700860.html

燃料電池車特許を無償提供、
トヨタの狙いは?

 トヨタ自動車は5日、水素で走る燃料電池車(FCV)の普及を促すため、世界で保有する関連特許約5680件を全て無償提供すると発表した。
 期限は2020年までで、整備が遅れている水素ステーション関連は無期限とする。

 FCVは高圧タンクに貯蔵した水素を空気中の酸素と反応させて発電した電気でモーターを回す仕組み。
 副産物として水しか生じないため、理想的なエコカーと位置づけられている。
 バッテリーの限界で走行距離が短く、充電に時間がかかる電気自動車とは異なり、走行距離が最大で700-800キロメートルに達し、水素充てんにかかる時間も数分にすぎないのが特徴だ。
 ただ、スケールメリットが実現せず、水素を大量かつ安価に生産するのが困難なほか、車体価格が割高なのが欠点だ。

 トヨタは20年余り前からFCVを本格的に開発。基礎研究を含めると、開発の歴史は30年を超える。
 トヨタが数十年間蓄積してきた関連特許を全て公開した理由は、技術を独占して得られる利益よりも特許の共有で市場規模を拡大する方が利益になると判断したためだ。
 トヨタは無償提供の理由について、
 「初期の発展段階で独占よりも普及を優先したものだ。
 自動車メーカーと水素の生産・供給業者が協力し、市場を育成することが重要だと判断した」
と説明した。

 トヨタは電気自動車よりもFCVを究極のエコカーとみている。
 しかし、最近電気自動車に市場を先取りされたため、特許公開という異例の措置でFCV開発に必要な「友軍」を確保しようという戦略を立てた格好だ。

 トヨタは昨年、FCVの「MIRAI(ミライ)」を世界に先駆けて日本で一般発売した。
 価格は723万円とまだ割高だが、特許公開でスケールメリットが得られれば、半額以下の価格で量産することも困難ではないとみられる。

 朝日新聞はMIRAIが3分間の充電で650キロメートル走行できる点に触れながら、
 「安倍晋三首相もMIRAIなどFCVを日本経済の主な成長動力源と見ている」
と伝えた。
 東京都も20年の東京五輪の競技施設、選手村の移動手段として、FCVを大量に採用するなど、「水素経済」の成長モデルを示したい構えだ。

 このため、トヨタだけでなく、他の日本のメーカーもFCVの普及に共に取り組んでいる。
 ホンダは来年、日産は2017年に一般向けのFCVを発売する計画だ。
 韓国の現代自動車も13年に量産設備を整え、FCVの普及に努めている。

 トヨタの特許無償提供は、昨年6月に米電気自動車メーカー、テスラ・モーターズが自社の特許を全て公開すると発表したことにも影響されたとみられる。
 当時テスラの創業者であるイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は
 「他者を抑えるために知的財産権を隠すのは我々の目標に反する。
 現在テスラが保有する数百件の特許と今後取得する数千件の特許全てが共有対象だ」
と述べた。
 電気自動車の市場を拡大するためには、他社に技術をまねされることを容認したほうが得だとの判断だった。

 トヨタの失敗経験も一因だ。
 トヨタは1997年に世界初のハイブリッドカー「プリウス」を実用化したが、先端技術を信じ、独占主義にこだわったことから、市場で友軍を得ることに失敗した。
 その結果、普及が遅れ、17年が過ぎた現在でもハイブリッドカーは世界の自動車販売台数の1-2%にとどまっている。



サーチナニュース  2015/01/16(金) 06:34
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2015&d=0116&f=business_0116_009.shtml

次世代自動車の「特許開放」
・・・競争が幕を開けた=中国メディア

 トヨタ自動車が燃料電池車(FCV)の特許を開放すると発表したことについて、中国メディアの一財網は13日、米テスラ・モーターズも2014年6月に電気自動車(EV)の特許開放を発表していることを紹介したうえで、
  「テスラ・モーターズのEVとトヨタのFCVによる競争が幕を開けた」
と報じた。

 記事は、トヨタがFCVの特許を開放する意図について「FCVの普及に向けた措置の1つ」としていることを紹介し、14年6月には米国の電気自動車メーカーであるテスラ・モーターズも「EV産業の発展のため」すべての特許を開放すると発表していたことを紹介。

 さらに、
 「トヨタとテスラ・モーターズのエコカー分野をめぐる競争はますます“火薬の臭い”が充満してきた」
とし、両社ともに特許開放を通じて陣営の拡大と産業の発展を画策していると論じた。

 続けて、トヨタの特許開放を「太っ腹」と表現したうえで、自動車産業のアナリストである張志勇氏の発言として、
 「トヨタは自社だけでFCVを普及させることは困難と大きな圧力が伴うと判断した」
と指摘。
 一方、FCVは極めて高い技術力が求められ、商用化に成功している自動車メーカーがトヨタ以外にまだないことを指摘したうえで、
 「トヨタが特許を開放しても、ほかのメーカーがトヨタに追いつくまで一定の時間がかかるはず」
と論じた。

 さらに、トヨタのFCV「ミライ」にとっての競合はテスラ・モーターズのEVだと認識されているとし、テスラ・モーターズのEVのうちもっとも安価な車種は6万3570米ドル(約749万円)であるため、「ミライ」より特に価格的優位はないと主張。

 また、航続可能距離や燃料補給にかかる時間においても「ミライ」のほうがテスラ・モーターズのEVより優位だとしながらも、
 「水素ステーションの建造をはじめ、FCVの普及に向けた難易度はEVをはるかに上回る」
と指摘し、トヨタとテスラ・モーターズによるエコカーの将来をめぐる競争は「始まったばかり」だと論じた。

サーチナニュース  2015/01/17(土) 06:02

燃料電池車の普及には「大きな困難」も=中国メディア

 中国メディアの電動車時代網は12日、トヨタ自動車が水素を燃料とする燃料電池車「ミライ」を2015年上半期に発売すると伝え、燃料電池車(FCV)は人類の生活を変化させるとする一方、普及には「大きな困難が伴うはずだ」と主張する記事を掲載した。

 記事は、「燃料電池自体は真新しい技術ではない」とし、1960年代にはすでに開発されていた技術であり、宇宙分野ではすでに用いられていたと紹介し、米国航空宇宙局(NASA)の行った「アポロ計画」でも燃料電池が使われたと紹介した。

 さらに、1970年代以降、水素という元素を制御するための技術が次々に開発されると水素を燃料とする電池の応用範囲も広がったと紹介し、2008年には米国の航空機メーカーであるボーイング社が水素による燃料電池を動力源とする小型飛行機のテストフライトに成功したと紹介した。

 また、水素の燃料電池は自動車を「究極のエコカー」とするうえ、燃料充填の時間もガソリン車に比べて極めて短時間で済むとする一方、水素による燃料電池車は普及には大きな困難が伴うはずだと主張し、その理由を複数挙げた。

 まず記事が挙げた理由は「水素の生産が非経済的」である点だ。
 水素は窒素のように空気中に大量にあるわけではなく、生産するためには水を分解することが求められるとしつつも
★.「この方法はエネルギーの損失が大きく、経済的ではない」
と指摘した。

 次に、水素の燃料電池は発電の触媒として白金(プラチナ)を使用することを紹介し、
★.「希少で高価な白金を触媒として使用することは燃料電池の大量生産におけるボトルネックである」
と指摘。
 大量生産では規模の経済が成り立たないばかりか、需要が増えれば逆に白金の価格が高騰する可能性があると論じた。


2015年01月29日(Thu)  Wedge編集部 ◆Wedge2015年1月号より
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4660

トヨタが先導 水素立国なるか日本
トヨタが本気の理由 水素社会の未来は不透明(前篇)

  年初、トヨタ自動車は同社が単独で保有する約5680件の燃料電池関連の特許の実施権を無償で提供すると発表した。
 迫る環境規制や“新参者”の台頭がトヨタに「危機感」をもたらし、燃料電池車普及に向けたトヨタの「本気」を感じた各企業が、取り組みを加速させている。

 2014年11月18日、トヨタ自動車は水素を酸素と化学反応させることで電気を発して走行する燃料電池車(FCV)「MIRAI」を、12月15日から発売することを発表した。
 前日には本田技研工業(Honda)も、FCVのコンセプトカー「Honda FCV CONCEPT」を発表するなど、水素を次世代のエネルギーとした社会に向け、自動車メーカーが動きを活発化させている。

 トヨタはなぜこのタイミングでFCVを他社に先駆けて発売するのか。
 裏には政府との思惑、そしてトヨタ自身が感じる危機感が透けてみえる。

 トヨタは、14年5月まで、FCVの発売を最速でも「15年内」と発表していた。
 突如発売を14年度内に早めた理由、それは15年度予算編成のタイミングにあわせたのではないかという推測がはたらく。

 通年、各省庁が財務省への概算要求案を作成するのは6月、各省庁の概算要求を受けて財務省が予算案を作成し閣議提出するのは12月だ。「MIRAI」についても、14年度内に発売することを発表したのは6月、実際の発売開始は12月である。

 資源エネルギー庁燃料電池室で室長補佐を務める日原正視氏も「ちょうど各省庁が予算原案を考えているときに合わせて、トヨタが14年度内にFCVを発売するとの情報があった」と語る。

 結果、経済産業省は8月に提出した15年度予算の概算要求で「水素社会実現に向けた取組強化」として401億円を要求。
 水素ステーション整備にかかる費用については
 「2014年度内の燃料電池車の市場投入を踏まえ」
て38億円増の110億円を要求するなど、水素関連予算は14年度予算より総額で236億円増額の要求となった。

 4月に閣議決定されたエネルギー基本計画で、「水素社会の実現に向けたロードマップの策定」と初めて記載され、6月23日には経産省が「水素・燃料電池戦略ロードマップ」、24日に政府が「日本再興戦略」改訂2014、そして25日にトヨタが14年度内のFCV発売を発表した。
 政府とトヨタの動きは表裏一体に見える。

■トヨタが感じる2つの危機感

 そもそもトヨタがインフラも法整備も整わない中で、15年内にFCVを発売しようとしていたのは、迫り来る「2つの危機」を敏感に感じ取り、各方面に「トヨタの本気」を見せつけ、水素社会への取り組みを加速させたかったことがあるとみられる。

●1つめの危機は
 米カリフォルニア州におけるZEV(Zero Emission Vehicle)規制の強化だ。
 ZEVとは排出ガスを一切出さない電気自動車(EV)や燃料電池車を意味し、
 現状ではプラグインハイブリッド車やハイブリッド車も含まれている。
 05年以降、カリフォルニア州内で一定台数以上の自動車を販売するメーカーは、その販売台数の一定比率をZEVにしなければならないと定められた。
 このZEV規制はニューヨーク州やマサチューセッツ州でも取り入れられており、北米市場で新車を販売する各自動車メーカーにとって無視できない規制だ。

 ZEVの比率を一定以上達成できなかった自動車メーカーは、米国カリフォルニア州大気資源局(CARB)に罰金を支払うか、または他社が持つ「クレジット」を購入しなければならない。
 クレジットは、一定比率を超過して達成したメーカーが持つ「排出枠」を指す。

 このZEV規制において18年モデル以降、これまでZEVに含めていたハイブリッド車が含まれないことになる。
 日産自動車の「LEAF」のように主力となるEVを持たず、クレジットを獲得できるのがプラグインハイブリッドのみとなるトヨタは、14年12月6日付日本経済新聞にもある通り、規制の強化をにらんで、規制の枠内であるFCVの発売を行う。

●2つめの危機は、
 自動車業界における“新参者”の台頭だ。
 現在、米電気自動車メーカーのテスラモーターズなど、既存の自動車メーカーではない“新参者”が、長らく自動車メーカーの庭であった北米市場で存在感を放っている。
 すり合わせ技術の最高峰であり、鉄板1つ成形することもこだわってきた既存の自動車メーカーは、突如現れた“新参者”に驚きを隠せない。

 そうした新たな脅威にトヨタはいち早く対抗策を打ったと言える。
 電子・電気工学の結晶ともいえるFCV技術は、自動車産業への“新参者”の参入を阻む大きな壁になることができるからだ。
  家庭用燃料電池(エネファーム)の普及に向けて、資源エネルギー庁で燃料電池推進室長として指揮をとった経験のある、経済産業省の安藤晴彦通商交渉官も、テスラが製造しているEVに使用する蓄電池技術も容易に参入できるものではないことを断ったうえで
 「確かにテスラモーターズの脅威はあるし、EVに比べFCVの参入障壁が高いことは事実だ」
と語る。

 「トヨタの本気」は、他の企業の背中を押した。
 「鶏が先か卵が先か」─インフラが先か燃料電池車の普及が先かという、延々と続けられてきた水かけ論を終わらせたといえる。

 FCVの燃料となる水素を供給する水素ステーションの整備については、JX日鉱日石エネルギー、岩谷産業などのエネルギー事業者10社が、15年度内に水素ステーションを国内に100カ所整備することを発表している。
 現在設置を予定している水素ステーションは42カ所(14年12月1日現在、次世代自動車振興センター補助金交付決定数)であるが、4大都市圏を中心にFCV利用者が15分~20分で“給油”できるよう整備が進んでいる。

 水素自体の販売価格については14年1月14日、岩谷産業が自社商用水素ステーションでの販売価格を1100円/kg(100円/N㎥)とすると発表した。
 これは「(FCVと)同車格のハイブリッド車の燃料代と同等となる水素価格」だという。
 トヨタも岩谷産業も、コスト積み上げではない、
 赤字前提の価格設定で消費者に働きかけている。

 しかし、仮に車とステーションが整ったとしても、簡単には成立しないがのが水素社会だ。
 ネックになるのは水素の調達である。
 この上流を手掛ける代表的企業は川崎重工業と千代田化工建設だ。

■水素調達=結局輸入

 川崎重工業は培ってきた技術を用いて水素サプライチェーンの構築を提案している。
 オーストラリア南端にあるラトロブバレー地区で産出する褐炭をプラントにて水素に改質し、マイナス253℃まで冷却することで液化して貯蔵、その後、液化水素運搬船にて日本に輸送してくるというものだ。

 褐炭は石炭の一種だが、これまでは水分量が多いことによる輸送効率の悪さ、自然発火性が高いことによる貯蔵・輸送の難しさから、産出国は採掘した現場で火力発電等に使用するしかなかった。
 川崎重工は一連のサプライチェーン構築に対し、自社のプラント技術や液化水素運搬船を売り込みたい考えである。
 しかし、化石燃料である褐炭を水素に改質する際には、結局CO2が発生してしまう。
  発生するCO2について川崎重工の西村元彦水素プロジェクト部長は
 「CCS(二酸化炭素回収・貯留技術)にてCO2フリーにする」
と話す。
  しかしCCSは、CO2の注入技術は確立しているものの、CO2が漏れ出していないかを継続して監視する方法や主体、費用等の課題も残っている。

 千代田化工建設は独自技術「SPERA水素」で名乗りを上げる。
 「SPERA水素」の特徴は、水素をトルエンに固定し、メチルシクロヘキサンという液体に変えて常温常圧で水素を輸送できることだ。
 つまり、現状のガソリン等に用いているエネルギーインフラをそのまま活用できるという強みがある。
 従前の技術では輸送した後、固定した水素を再び分離させるのが難しかったのだが、千代田化工建設は分離に有効な触媒の開発に成功した。
 分離には約400℃の熱を用いる必要があることが弱みであるが、追加のエネルギーを使用しないためにも、元々余剰エネルギーを持つ発電所とセットにした使用が見込まれる。

 水素は、石油や石炭のように自然界にすぐに使える形で存在しない。
 その調達は、結局、資源国の化石燃料に頼らざるを得ないのだ。

 電機業界が沈んだ今、日本の製造業の未来は、自動車産業にかかっている。
 部品点数が大幅に減るEVでは、日本が強みとするすり合わせ型ものづくりは維持できない。
 FCVへの期待感は高まるが、世界はついてくるだろうか。

 世界の主流は化石燃料であり、消費者にとって「水素は化石燃料より安い」などの明確なメリットがなければ普及は難しい。
 しかし現状のFCVや水素価格には、化石燃料を中心とした社会に優る明確なメリットは見つけられない。
 エネルギーを使う消費者や企業が、半ば強制的に水素を使用する状況にならなければ普及は難しいといえる。

 前出の日原氏も
 「CO2排出量が規制されるなど、強制力が働かない限りは、FCVや水素インフラの普及について、現状ではなんとも言えない」
と苦しい表情を覗かせる。

 水素に取り組む企業の関係者は、大義は「エネルギー安全保障」と口を揃える。
 電気やガソリンに依存する二次エネルギー構造や、中東依存度の高い石油資源からの多様化を図るというものだが、既にある送配電網やガソリン供給網に代わる、水素供給ネットワークを構築するには巨額の資金が要る。
 製造、運搬、貯蔵、利活用すべての局面で、コストを下げる技術革新が必要だ。
 道のりは長い。



 WEDGE Infinity 日本をもっと、考える  2015年01月30日(Fri)  安井至 (製品評価技術基盤機構理事長、東京大学名誉教授)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4661

究極のエコカーにも最悪の環境破壊車にもなるFCV
作り方で変わる水素の環境性
CO2の大幅削減はまだ遠い
トヨタが本気の理由 水素社会の未来は不透明(後篇)

 「水しか排出しない究極のエコカー」、といった記述に出会うことが多くなった。
 トヨタが水素燃料電池車(Fuel Cell Vehicle、以下FCV)「MIRAI」を2014年12月15日から670万円+税で発売すると発表して以来のことである。

 当初1台1億円以上と言われていたFCVが、この価格まで下がったのは驚くべきことである。
 大容量の発電機を搭載した電気自動車(EV)とも言える車なので、EVの最大の難点である充電時間の長さを完全に克服しており、ガソリン車なみに約3分間で燃料(水素)を満タンにすることができるという高い実用性を備えている。

 しかも、災害時には電力が供給できる非常用電源車としての機能があるので、通常の家庭であれば、一週間以上の電気が使えるだろう。
 日本での究極的自己防衛に適合した車とも言えそうであり、将来の主流になる可能性を秘めている。

 まず、この車の走行時に「水しか排出しない」ことが一つの究極であることは認めよう。
 環境上、極めて優れているからである。
 これは、FCVが水素をエネルギー源として使用しているから得られる特性である。
 ガソリン車では、いくらクリーンな排気を目指しても、その燃焼時にでるCO2をゼロにすることは不可能である。

 しかし、「走行時には」という条件がついている。
 環境負荷を考えるときには、まず境界条件を設定するが、FCVの場合少しだけ視野を広げて、燃料になる水素はどうやって作るのか、と問われた途端に、非常に多くのことを考えることになる。

 水素をどのように作るか。
 これは、多種多様な方法がある。
 しかし、ここでは説明を省略したい。
 その代わりとして、いくつかの方法で作った水素でFCVを走らせたときに、走行1kmあたりでどのぐらいのCO2が出ることになるか、その比較を図に示した。



 ちなみに、Well to Wheelとは、ガソリンの場合であれば「油井」から汲み上げる段階から、車の「車輪」を動かすところまでの全段階を意味する言葉である。
 ガソリン以外でも、すべての負荷を考えていることを意味する。

 最もCO2排出量が少ないケースが、太陽光発電由来の電力でEVを走らせる場合で、1kmあたりのCO2排出量は非常に少なく、1グラム程度ということになる。
 これに対し、最も多いケースが、ガソリン車のケースで147グラムのCO2排出である。ハイブリッド車であれば95グラムとやや少ない。

 そして、肝心のFCVであるが、太陽光発電での電力を使って、水を電気分解して得た水素を使えば14グラム/kmである。
 すなわち、FCVの環境負荷は現在のガソリン車の1/10になる。
 これは、本質的な改善だと表現しても良いだろう。

 しかしFCVも、都市ガスを水素ステーションにて改質した水素を使えば79グラムのCO2を排出し、天然ガスを水素ステーション以外で改質し、液化して輸送してきた場合には、111グラムのCO2を排出することになる。

 なぜこのような差が生まれるのか。
 まず、この地球に住む限り受け入れなければならない事実がある。
 エネルギーの源には、
(1):化石燃料、
(2):原子力、
(3):自然エネルギー
の3種類しかないことである。

 これらを「一次エネルギー」と呼ぶことになっている。
 一次エネルギーを大別すれば2種類あって、
★.一つは、地球が蓄積している化石燃料と核燃料(原子力)
である。
 これらは地下を掘ることによって、得ることができる。
★.もう一つは太陽が毎日毎日与えてくれる自然エネルギー
である。

 さて、水素は一次エネルギーには入っていない。
 なぜなら、地球をいくら掘っても出てこないためである。
 ごく最近、「東芝が人工光合成の変換効率1.5%を達成」というニュースがあった。
 これは、太陽光を直接水素に転換する試みである。
 しかし、まだ実用レベルには程遠い。
 現状では、化石燃料から水素を作るか、自然エネルギーか原子力で発電をして、水を電気分解する方法のいずれかを使うことになる。
 しかし、3種の一次エネルギーは欠陥だらけなので、環境負荷やリスクなどを作りだしてしまう。

■軽すぎる水素がうむエネルギー負荷

 将来重要な役割を果たす水素ではあるが、「軽すぎる」ことが弱点である。 
 ガソリンとその軽さを比較してみよう。
 1リットルのガソリンは、35,000kjという熱を出す。
 この熱で40℃のお湯を400リットルほど得ることができる。
 熱効率を考えれば、お風呂1回分ぐらいである。
 一方、水素1リットルの発熱量は、たったの11.7kjである。
 40℃のお湯130ml程度に相当するので、コップ1杯分沸かすことができないことを意味する。

 「軽すぎる」ことが問題になるのは、「運搬」と「貯蔵」をするときである。
 すなわち、水素をどうやってFCVに搭載するかが大問題だった。
 この問題の解決法は、700気圧という高圧にして、カーボンファイバー強化プラスチックのタンクに入れるという方法である。
 700気圧とは、良く見かける産業用の高圧ボンベは150気圧なので、その5倍に近い圧力である。

 水素ステーションでは、水素をさらに高圧にしてFCVに供給することになる。
 MIRAIが満タンになるだけの水素を700気圧以上にするためには、多くの電力が必要で、それは同クラスのEVを100~150km走らせる電力量に相当する。

 液化すればその体積は、ガソリンの3.5倍程度で収まる。
 しかし、液体水素はマイナス252.6℃で沸騰してしまう。
 気体に戻った水素は処分をしなければならない。
 結論として、自動車に液体水素を搭載することは不可能である。
 単に駐車しているときにも燃料が失われる上に、もし、マンションの地下駐車場であれば、放出した水素が天井付近に溜まって大爆発を起こす可能性が大だからである。

 個人的には、化石燃料の実体は「地球を破滅させる悪魔」だと称している。
 地球の大気は人類が出すCO2のゴミ捨て場になっている。
 東京都の場合、廃棄物は焼却され、焼却灰は東京湾の中央防波堤最終処分地に埋め立てられるが、その容量には限界がある。
 今のペースでは、数十年後には廃棄物を出すことができなくなる。

 14年11月に発表されたIPCCの第5次評価統合報告書によれば、産業革命時点からの温度上昇を2℃とか3℃に決めれば、それによって排出できるCO2の量が決まってしまう。
 もしその限界に到達すれば、それ以後、CO2を排出できない、と記述されている。

 すなわち、大気も実は廃棄物処分場と似ているということを意味する。
 仮に2℃上昇までと決めると、世界全体で現在の排出量を全く増やさないという不可能な仮定をしても、35~40年後には、CO2排出量をゼロにしなければならない。
 現状でも、異常気象は確実に増えているが、2℃上昇であっても、将来の異常度は想定を超えることだろう。
 となると化石燃料は、35~40年後にはそのままでは全く使えないと考えるべきなのだろう。

 代替案のひとつである原子力は、「暴力的人物」である。
 余りにも大量のエネルギーを取り扱うことができるために、きっかけがあれば暴力的被害をもたらすからである。

 また、自然エネルギーは、「気まぐれな浪費家」である。
 その気まぐれに対応するためには、かなりのお金を貢がなければならない。
 水素は、この「気まぐれ」を抑える切り札になるかもしれないと期待されているのである。

 FCVは、どのようにして作られた水素を搭載するかによって、理想のエコカーにもなり得る一方で、最悪の環境破壊車にもなり得る。
★.理想的、かつ、そのうち現実になると期待される水素は、
 メガソーラーや風力発電の不安定な電力だけで水素を製造し、圧縮し、そして、供給する水素ステーションで作られたものである。
 これが可能になれば、EVなみのCO2排出量になる。
★.一方、最悪の水素は、
 石炭発電の電力で製造された水素で、260グラム/km程度のCO2排出量になり、現状のガソリン車の2倍もの環境負荷になる。
 その他の水素は、この両者の中間のものになる。

 となると、どのような水素であるかを明示することを義務化することによって、はじめて、理想が達成できることになる。
 それには、カーボンフットプリントという仕組みがある。
 商品の一生で排出されるCO2量を表示する仕組みではあるが、この表示を強制すべき最初の商品が水素ということになるのではないだろうか。

 さて、「今、このFCVを買うか」と聞かれたら、まずは、水素ステーションが整備されることが大前提であるので、今すぐということではなさそうである。
 また、上述のカーボンフットプリントが制度化されることも条件に思える。

 文頭に述べた非常用電源車としてのFCVの機能はかなり魅力的である。
 個人として所有している車はプリウスPHVであるが、この車を選択した理由の一つが、実は、非常用電源車であった。
 12年にニューヨーク市を襲ったハリケーン・サンディは大停電をもたらした。
 その際、プリウスにオプションのAC100V1500W出力を搭載した車は、タンク2/3のガソリンで、1週間電気が使えたという報道があった。

 しかし、将来の環境負荷低減のさらなる向上には期待しているものの、当面供給されるであろう水素は、図に示されているオンサイト都市ガス改質か、オフサイト天然ガス改質によるものになるだろうから、ハイブリッドなどの現行車より決定的に良くはならない。
 結論としては、「しばらく様子を見る」ということになりそうである。

◆Wedge2015年1月号より





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