2014年11月28日金曜日

世界人口動態(3):長期停滞と人口動態:若者のための国ではない

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2014.11.28(金)  The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42313

長期停滞と人口動態:若者のための国ではない
(英エコノミスト誌 2014年11月22日号)



人口動態が長期停滞を説明してくれるかもしれない。

 1930年代後半、恐慌がなぜ10年近くも続くのかを説明しようとしていたエコノミストらは、
 問題は人口不足かもしれないと考えた。
 「人口の増加局面から減少局面への転換は非常に破滅的かもしれない」。
 ジョン・メイナード・ケインズは1937年にこう述べた。

 その翌年、やはり著名経済学者のアルヴィン・ハンセンは、米国では、人口と領土、新しいアイデアが尽きつつあると懸念した。
 ハンセンいわく、その結果が
 「長期停滞――すなわち、初期段階で死んでいく弱い景気回復と、
 自己増殖し、固くて一見取り除けないように見える失業の芯を残す恐慌」
だった。

■先進国を苦しめる「長期停滞(secular stagnation)」

 1年前、ハーバード大学のラリー・サマーズが、先進国の長引く病を表現するために、この「長期停滞(secular stagnation)」という言葉を復活させた。
 そして、
 弱い需要と過剰貯蓄が、低い短期金利というお決まりの手段で成長を刺激するのを不可能にしている
と主張した。

 サマーズ氏が表現した病において、人口動態が中心的な役割を果たしているのかもしれない。
 それも、1930年代以上に重要な役割を果たしている可能性がある。

 高齢化する人口は複数の経路を通じて成長と金利を抑え込む。
 最も直接的なのが、労働供給を通じて、だ。
 経済の潜在的な生産量は、
★.労働者の数と
★.生産性
で決まる。
 ドイツと日本では、生産年齢人口が10年以上も縮小しており、減少率は今後数年で加速する見込みだ(上図参照)。

 英国の潜在労働力は今後数十年のうちに成長が止まる。
 米国の潜在労働力の伸びは、2000年から2013年にかけて続いた0.9%というペースの3分の1程度に落ち込む見通しだ。

 他の条件がすべて同じだった場合、労働力の伸びが0.5ポイント下がると、経済成長もほぼ同じだけ落ち込む。
 そのような効果は徐々に感じられるはずだ。
 だが、景気後退は、多くの労働者に早期退職を促すことで、このプロセスを加速させた可能性がある。

 米国では、第1次ベビーブーム世代が62歳になった2008年に、公的年金のソーシャルセキュリティーを受給する権利を得た。

 複数の研究によれば、これが恐らく、それ以降、仕事に就いているか仕事を探している生産年齢人口の割合が66%から63%未満に低下した落ち込み幅の半分を説明できるという
 (これは日本の経験とも似ている。
 日本は1990年代に、生産年齢人口が減少し始めたのと同じころに停滞とデフレに陥った)。

 人口の規模と年齢は、企業が開拓できる顧客と労働者の数にも影響を及ぼし、それゆえ企業の投資規模を左右する。
 ケインズとハンセンは、人口の減少によって米国の工場で生産された製品の需要が減ることを懸念した。

 経済成長の現代モデルは、
 企業が1単位の国内総生産(GDP)を生産するためには、
 一定量の労働者1人当たり資本ストック――設備、建物、土地、知的財産など――
が必要になると仮定している。
 雇う労働者が少なくなれば、企業が必要とする資本も減るわけだ

 米連邦準備理事会(FRB)のユージェニオ・ピント氏とステイシー・テブリン氏は調査報告で、総資本ストックに占める割合で見た純投資(総投資から減価償却を引いた額)が第2次世界大戦以来の最低水準に迫っていると指摘している。

 これは部分的には循環的なものだ。
 景気後退を受けて企業が事業拡大計画を抑えたからだ。
 しかし、長期的な流れでもある。
 資本ストックの伸びは1994~2003年の年間3.1%から、次の10年には同1.6%に減速した。
 エコノミストらは、資本ストックの伸びの減速のおよそ
★.「3分の1が労働力の伸びの鈍化」
★.残り(すなわち3分の2)が「イノベーションの減退」
に起因していると考えている。

 言い換えれば、
 機械を操作する労働者が減り、利用できる技術的ブレークスルーが減ったために、企業が機械の購入を減らしている
わけだ。

■借り手の世界

 人口動態が成長と金利に影響を及ぼす3つ目の手段は、貯蓄を通してだ。
 個人は一般的に、教育、住宅、そして子供のお金を払うために成人早期に多額の借金をし、中年以降にせっせと貯蓄し、退職後に蓄えてきた貯金を使う。

 ケンブリッジ大学のクーン・トイリングス氏は各国の人口動態と照らし合わせ、さまざまな国の貯蓄総額がいくらであるべきかを算出した。
 人口の増加率が高く、定年後の期間が短い方が貯畜が少なくて済む一方、
 高齢化が進んだ人口は、より多くの貯蓄を必要とする。

 米国では、必要となる貯蓄ストックは1970年にGDPのマイナス228%に相当した。
 人口が相対的に若く、寿命が短かったことは、債務を返済して退職後の生活を賄う将来所得が潤沢なことを意味したため、当時、米国家計は貯蓄者ではなく借り手であるべきだったのだ。

 だが、人口が高齢化し、成長が減速し、寿命が延びたおかげで退職後の生活が長くなるに従い、求められる貯蓄の水準は2010年にGDP比52%に増加した。

 日本では、必要な貯蓄が同じ期間にGDP比マイナス176%からプラス119%に増加し、ドイツでは189%から325%、中国ではマイナス40%からプラス86%に増加した。

 これほど多くの国が退職に向けて同時に貯蓄に励むことは、弱い投資、潜在成長の鈍化、財政緊縮、企業の現金ため込み、そして格差(格差の結果、より多くの国民所得が貯蓄率の高い金持ちの手に渡る)と相まって、投資と貯蓄を釣り合わせる「均衡」金利を押し下げる。

■明白な政策対応は退職年齢の引き上げ

 しかし、少なくとも1つ、明白な政策対応がある。
 「退職年齢を引き上げれば、貯蓄が減少する」。
 トイリングス氏とジュネーブ高等研究所のリチャード・ボールドウィン氏は最近出版した電子書籍でこう論じている。
 「そもそも、明日の余暇や高い消費と引き換えに今日貯金できる度合いには限界がある。
 明日も誰かが働かなければならない。
 それまでに全員が退職することなどできない」

 さらに、高齢化する人口はいずれどこかの段階で、蓄えてきた貯金を使い果たすようになる。
 モルガン・スタンレーのチャールズ・グッドハート、フィリップ・エアフート両氏は、退職者に対する労働者の比率は現在、大半の先進国で急低下しており、近いうちに多くの新興国でもそうなると指摘する。

 日本はすでに、貯蓄率が高かった時代に国民が購入した海外資産を換金している。
 中国と韓国もそうし始めており、ドイツも近く換金し始めることになる。
 これが現在はマイナスの実質金利を、2025年までに2.5~3%という歴史的な均衡金利に引っ張り上げると両氏は予測している。

© 2014 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
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 考え方の基本は述べている通り

 経済の潜在的な生産量は、
★.労働者の数と
★.生産性
で決まる。

 である。
 いわゆる近代成長経済学の化石的理論。
 「成長」は近代初期には輝ける星であった。
 しかし、成長が成熟した現代においては無意味である。
 いわく

 機械を操作する労働者が減り、利用できる技術的ブレークスルーが減ったために、企業が機械の購入を減らしている。

 なんともへんてこな理論。
 機械を操作する労働者が減ったのなら、その機械が生産する量を上げればいい、だけのことである。
 労働者が半分になって生産量が半分になったのなら、2倍生産する機械を作ればいい。
 そういう機械を作ることは、コンピュータ化した技術ではいともたやすいことである。
 ということは、理論に根本的な間違いがあるということである。
 「人間労働力を経済力に位置づける時代は、
 日本ではもう昔に終わっている」
ということである。


レコードチャイナ 配信日時:2014年12月8日 0時5分
http://www.recordchina.co.jp/a98637.html

日本の空き家率が高止まりする原因は4つ、
引き下げるのは難しい―中国紙

  2014年12月3日、日本の土地は非常に高価で、住宅は手狭というのが一般的な印象だ。
 だが総務省がこのほど発表した住宅と土地の統計調査結果によると、
★.日本には6063万戸の住宅があり、
 このうち820万戸が空き家で、
 空き家率は13.5%
に達する。
 つまり、7戸に1戸が空き家になっているということだ。
 008年の調査結果と比較すると、空き家は5年で63万戸増え、空き家率は0.4%上昇し、いずれも過去最高を更新した。
 人民日報が伝えた。

 空き家は世帯数を上回る住宅ストックを指す。
 日本では1969年に初めて住宅ストックが世帯数を上回る現象が起こり、その後、空き家率は徐々に上昇してきた。
 過去20年間は人口が減少したものの、一人暮らし世帯や核家族が増えたため、日本の世帯数は15年まで増加を続けた。
 だが住宅建設のペースは明らかに世帯数の増加率を上回っていた。

 日本の空き家率が高止まりする原因として次の4つが考えられる。

第一に、人口動態と家族構造の変化がある。
 人口は東京、大阪、名古屋の3大都市圏に引き続き集中し、中小都市は若年層の流出が深刻だ。世話をする人のいない高齢者たちは老人ホームに移るしかなく、多くの住宅が受け継ぐ人もいないままに残される。

第二に、日本の住宅にかかる固定資産税は
 土地にかかる税金のわずか6分の1で、傷んで人の住めないような家でも残しておけば節税対策になる。

第三に、住宅建築の質が低く、中古市場の取引が低迷している。
 昔からある木造住宅と1970~80年代の不動産市場の高速膨張期に粗製濫造された住宅が、日本の住宅の平均寿命を28年に引き下げている。
 米国は67年、英国は81年だ。中古住宅のモーゲージや税収政策は新築物件の優遇ぶりに及ばないため、日本人は新築を買いたがる。
 08年の日本の住宅取引のうち、中古市場での取引は13.5%にとどまった一方、欧米諸国では住宅取引全体に占める中古の割合が70~90%に達する。

第四に、新築住宅の供給が過剰だ。
 90年代以降、日本政府は住宅建設を景気を喚起するための手段とみなしてきた。
 富士通総研経済研究所の米山秀隆主任研究員の試算では、現在の新築住宅建設のペースと中古住宅取り壊しのペースで考えると、
 15年以降は日本の住宅の4戸に1戸は空き家になる。

 空き家はさまざまな問題を引き起こす。
 雑草がぼうぼうに生える、野良猫が集まる、治安が乱れる、都市計画が推進できなくなるなどだ。
 現在、日本の272の地方自治体は「空き家対策条例」を制定し、取り壊しの加速と有効活用の両面で問題の解決を図っている。
 査定で傷みがひどく居住には適さないと評価された住宅は、所有者が自発的に取り壊しを行う場合は地方政府が一定額の補助金を支給し、所有者が取り壊しを拒否する場合と所有者がいない場合は強制取り壊しとする。
 「空き家バンク」を設立し、空き家の調査、評価、登録・ネットワーク化を強化して、家を借りようとする人、特に若い世代の借り手が自分にふさわしい安価な住宅をすぐに見つけられるようサポートする。
 文化的価値や利用価値がある空き家は改造し、公共活動センターにしたり、老人ホームにしたり、ホテルや民宿に改造したりする。
 兵庫県神河町の築80年以上の古い民家は何度かの改修を行った後、農家の生活を体験したい人に低価格で貸し出しており、賃貸期間は3カ月以下の短期となっている。

 米山氏は
 「人口が減少しているため、日本の空き家率の高止まり問題は解決が難しい。
 現在、経済の高度成長期に無秩序に拡大された都市の道路網が集約・再編という課題に直面しており、空き家を有効活用するにはどうしたらよいかをしっかり検討しなくてはならない」
と話した。

(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/TF)



2014.12.09(火)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42405

高齢化する欧州には移民の新しい血が必要だ
(2014年12月8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 社会の高齢化、労働人口の減少、生活水準の停滞によって定義される欧州では、移民は部分的な経済的解決策であると同時に、それ自体が政治問題でもある。

 移民と、移民が労働市場と福祉制度に与える影響は間違いなく、来年の英国の総選挙で熱を帯びた争点となり、北欧諸国からギリシャに至るまで、さまざまな国で政治的論議を形作ることになるだろう。

■英国で躍進続ける反移民政党UKIP

 欧州委員会のある報告書は、2060年までの移民と人口増加の予測を盛り込んでおり、この論議の炎に油を注ぐと見られる。
 こうした推定が、思惑を抱く政治家ではなく、党派に属さない欧州連合(EU)の専門家の手による研究成果だという事実は、原則として予測の信憑性を高める役目を果たす。

 11月27日に英国家統計局(ONS)が発表した統計によると、2014年6月までの1年間で英国への移住者の純流入数が26万人に急増した。

 この予想外に高い数字は、反EU、反移民を掲げる英国独立党(UKIP)が2カ月足らずで2度目となる議会補欠選挙での勝利を収め、与党・保守党に衝撃を与えた後に出てきたものだ。

 最新の世論調査は、UKIPが次の総選挙で投票総数の14~18%を獲得し、第3党となる可能性があることを示唆している。
 この右派のポピュリスト政党は、それが正しいにせよ間違っているにせよ、自党の切り札の1つは、高いと認識されている移民の水準に対する国民の不安だという立場を取っている。

 2060年までに英国への移民純流入が900万人を超えると予測する欧州委員会の報告書は、UKIPのレーダーに引っかからなかったのだろうか?
  もしそうだとすれば、恐らくそれは、報告書が「2015年高齢化報告:基本的な前提と予測の方法論」という味気ない題名だったためだろう。
 それでも、欧州委員会の予測は注目に値する。

■注目すべき欧州委員会の報告書の中身とは?

 報告書は、2060年までにEU加盟国に流入する移民の純増数が合計5500万人になると予想している。
 ほぼ70%がEU加盟28カ国のうちのわずか4カ国に向かい
★.イタリアに1550万人、
★.英国に920万人、
★.ドイツに700万人、
★.スペインに650万人
流れ込むという。

 この予測が正確ならば、移民の政治的影響は英国を超えて大きく広がることになる。
 考え方がUKIPに近いイタリアの反移民政党・北部同盟に対する支持は、ポー渓谷以北の牙城を超えて南へ広がっている。

 移民排斥運動はドイツやスペインではそれほど目立たないが、オーストリア、フランス、オランダでは政治光景の一部として定着している。

 欧州委員会は、何千万人の移民がどこからやって来るかについて予測していない。
 だが、世界の人口に占めるアフリカのシェアが2010年の15%から2060年には28%に上昇すると予測されていると指摘する。
 一方、人口全体に占める欧州のシェアは、移民の純流入にもかかわらず、7.2%から5%へ低下すると予想している。

 全体としては、
 EUの人口は昨年の5億700万人から2060年には5億2300万人に増加
すると予想されている。
 とりわけ興味深いのは、個々の国の予測だ。
★.英国の人口は6410万人から8010万人へと増加し、EUで最も人口の多い国になる見込みだ。
★.フランスは6570万人から7570万人に増加するが、
★.ドイツは8130万人から7080万人へ減少する
と見られている。

 英国がEUにとどまり、スコットランドが英国から分離しなければ、英国はEUで最大の相対的影響力を持つことになり、その影響力は例えば、欧州議会での議席数増加につながる。
 しかし、この影響力の拡大は、部分的には、英国へやって来る数百万人の移民のおかげなのだ。

■高齢化するEU、2060年には65歳以上の人口と生産年齢人口が1対2に

 出生率、平均寿命、労働市場の進化など、個々のEU加盟国に関するさまざま仮定が欧州委員会の報告書の基礎を成している。
 報告書の最も重要な結論は、欧州社会はあまりに急速に高齢化しているため、たとえ移民の純流入数が多くても、EUは2060年までに、65歳以上の人口と生産年齢人口の比率が現在の1対4ではなく、1対2になってしまうということだと言えるかもしれない。

 このように粛然たる推定は、移民の受け入れが政治的選択ではなく、むしろ経済的な必要性であるように見える理由を明確にしている。
 もしかしたら、UKIPは向こう4カ月間で、欧州委員会の報告書のコピーを英国の全有権者の玄関に届けるよう手配すべきなのかもしれない。

By Tony Barber
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レコードチャイナ 配信日時:2014年12月13日 7時46分
http://www.recordchina.co.jp/a98974.html

人口減少の食い止めが日本経済を救うカギ―中国紙

 2014年12月12日、安倍晋三首相は衆議院を解散し、今月14日に総選挙を行うと発表した。
 日本の首相は衆議院で選出され、衆議院議員の任期は4年間だ。前回の選挙は2012年12月に実施されており、次回は16年12月の予定で、今回の選挙は2年前倒しで行われることになる。
 証券時報が伝えた。

 内閣制を取る体制では、前倒しで選挙が行われる状況には次の2パターンがある。
★.1つは内閣に信任を得られず、やむなく前倒し選挙で国民に信を問う場合。
★.もう1つは本来の選挙日が近づき、政権与党が自分たちに都合のよい時を選んで前倒し選挙を行い、戦いを有利に進め、政権を担う期間を引き延ばそうとする場合だ。
 たとえば1980年代に英国のサッチャー大統領(当時)は2回の前倒し選挙を行って勝利を収め、長期政権を可能にした。

 だが安倍政権のこのたびの前倒し選挙では、自民党にとって特に好材料というものはない。
 安倍首相の就任当時は支持率が非常に高く、与党は議会で絶対安定多数を占めており、近年まれにみる安定した内閣となっていた。
 だが最近発表された調査結果をみると、支持率は就任以来の最低に落ち込み、有権者の3分の1は安倍政権の経済政策は失敗だったと回答した。

 日本の第3四半期(7-9月)の国内総生産(GDP)の速報値はマイナス1.6%で、市場の予想値の2.1%を大きく下回った。
 第2四半期(4-6月)のGDP確定値はマイナス7.3%で、速報値のマイナス7.1%より減少幅が拡大した。第2四半期のGDP減少幅が非常に大きかったのは、4月の消費税率引き上げを前に、第1四半期(1-3月)に駆け込み需要が生じたためだ。
 市場には第3四半期は経済が回復するとの見方が広がっていたが、消費増税の影響が引き続き拡大し、日本経済は2四半期連続のマイナスとなり、統計基準に照らせば衰退といえる状況になった。

 日本経済が再び衰退に陥ったことは、安倍政権の経済政策「アベノミクス」に対する危険信号であり、日本銀行(中央銀行)は日本が再びデフレに陥ることを懸念する。
 1年ほど前、安倍首相と新たに日銀総裁に就任した黒田東彦氏は、力を合わせてアベノミクスの3本の矢を放った。
 アベノミクスは最初の年には一定の成功を収め、物価は上昇した。
 だが3本目の矢である構造改革は、進展ぶりも効果もはかばかしくなく、安倍首相は今年になって3本目の矢を補修し、強化して放つことになった。

 構造改革が進展しなければ、日本経済を活性化させても、再び衰退に陥るというのがおおかたの一致した意見だ。
 日本の構造的問題が象徴的に現れているのは債務問題で、現在の公的債務残高の対GDP比は240%前後に達し、世界の主要エコノミーの中で最も高い。
 日本は税収を増やす必要があり、安倍政権も前与党の民主党も消費税率引き上げの必要性では一致している。
 問題は、増税はデフレ圧力を高める政策であり、日本経済もグローバル経済も好調とはいえない今、必要なのは活性化と緩和ということだ。
 気付け薬を飲みながら下剤を飲むような日本のやり方では、内分泌系の調子がおかしくなる可能性がある。
 バランスを取ろうとするなら、導き手が必要であり、タイミングも必要だ。
 タイミングについていえば、現在のグローバル経済は過去数十年のような高度成長を再現することは難しく、日本の創造力や製造業は過去20年間にわたり低迷を続けており、日本にとってよい状況ではないことは明らかだ。

 日本経済が難局を脱したいなら、導き手がぜひとも必要だが、安倍首相がそうした存在になれるかどうかは大いに疑問だ。
 アベノミクスの3本目の矢は正確な処方箋を示してはいるが、実行は非常に難しい。
 日本経済の構造改革にまず必要なことは規制緩和だ。次に必要なことは根本的問題である人口問題だ。
 この問題が日本経済を20年にわたり弱体化させ先行きを暗いものにした原因だと考えられる。
 日本の人口問題は主に高齢化と人口減少に現れている。
 厚生労働省が2014年1月1日に発表したところによると、13年の出生数は103万1000人で前年比6000人減少した。
 同年の死亡数は127万5000人で同1万9000人増加し、増加率は第二次世界大戦以降で最高を更新した。
 計算すると、昨年の日本は約24万4000人の自然減で、12年の21万9000人を上回る新記録となった。
 07年以降、日本の人口の自然減、すなわち死亡数から出生数を引いた数は拡大を続けている。
 昨年11月には65歳以上の人口が全体に占める割合は初めて25%を超え、日本は世界で最も高齢化が進んだ国の一つになった。

 人口問題の解決が日本の経済問題のカギだ。
 人口の減少が続けば、経済政策や構造改革が帳消しになり、経済全体もますます弱体化していく。
 よって人口問題の解決こそが日本が苦境を脱する唯一の根本的な道になる。
 安倍政権が放った3本目の矢は優れた人材の移民をより多く受け入れることを提起するが、日本は優れた労働力に不足してはいない。
 足りないのは一般の労働力と消費者だ。
 日本は毎年50万人前後の移民を受け入れなければ人口減少のもたらす巨大な圧力に抗しきれない。
 だが日本社会は文化的問題への懸念が強く、移民の受け入れには相当の覚悟をしなければならない。
 この点が変わらなければ、日本経済は有効な脱出口を見いだせない恐れがある。

(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)


 日本はいかにして「人口1億人に軟着陸させるか」
という問題に取り組んでいる。
 これに成功しないと日本は「ない」かもしれない。
 過剰人口をいかに制御していくか。
 過剰人口を生み出すことによって経済成長を成し遂げたが、いまはそういう歴史の時代ではない。
 世界は人口爆発で窮地に立っている。
 過剰人口が世界を窮地に陥れている。
 人口が経済を引っ張る時代は終わっている。
 いまは
 人口が社会の「足を引っ張る」時代に入っている
ということである。




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