2014年12月19日金曜日

韓国経済の危機とは:輸出の一輪で回っていた、大企業中心の成長方式が構造的限界に

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2014年12月17日09時42分 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=194128&servcode=100&sectcode=120

【コラム】韓国経済のゴールデンタイムが過ぎていく

  日は沈むのに行く道は遠い
 2014年は暮れて行くのに経済が回復する道は依然として漠然としている。
 経済を回復させるとして「地図にない道」を進んだ崔ギョン煥(チェ・ギョンファン)経済チームは何ひとつまともに成し遂げたこともなく1年を終えることになった。
 今年の成長目標達成はすでに水泡に帰し、来年の成長見通しも下方修正しなければならない状況だ。
 どうにか生き返りそうだった不動産市場は瞬間的に回復したが伝貰価格が上がるだけで沈滞に陥った。
 1度力を失った消費はまったく回復の兆しを見せず、凍りついた投資は厳しい寒波の中でさらに萎縮した。
 内需不振に加え年末が近づくほどこれまで経済を引っ張ってきた輸出まで萎縮し始めた。
 内需と輸出の両輪で走っても不十分なところに、
 それでも回っていた輸出の1輪までぐらつくことになり、
 近く韓国経済という車は推進力を失い座り込むかのように危険だ。

  さらに経済回復のヤマ場ごとに足を引っ張った国会は、それでもやろうとしていた経済回復法案ひとつ処理できないまま政争で年末最後の会期を虚しく過ごしている。
 大統領側近をめぐる“つまらない文書”と、その文書の情けない流出経緯をめぐり国中が騒いでいる間に経済を回復させようようという大統領の呼び掛けはむなしく回る。
 経済回復の尖兵を自任する崔ギョン煥副首相は前政権時代の不良資源外交を解明するのに忙しく、それすら文書問題に埋もれてよく見えない。
 このように韓国経済回復のゴールデンタイムは空しく流れている。

  ゴールデンタイムとは何か。
 事故や事件が起きた時に人命を救助するのに決定的となる序盤の貴重な時間をいう。
 人命救助にゴールデンタイムがあるならば経済を生かすのにも適期がある。
 この決定的時間を逃せば人命を救うのは難しく、経済を回復させるのも難しいのだ。
 呼吸が止まるほどの緊急状況に置かれた患者はひとまず心肺蘇生術で呼吸と心臓拍動を取り戻した後に根本的な原因治療をするのが順序だ。
 最初の応急処置ができなければ患者を生かす見込みは最初からなく、後で原因治療をしっかりとできなくても患者を回復させるのは難しい。
 これを経済に例えれば、経済が自力で立ち上がれないほどの危機に陥ったら緊急な浮揚策を使ってでもひとまず景気を回復させ、経済体質の改善や構造調整のような根本的な改革に出るものと説明できる。
 1997年の通貨危機の時と2008年の金融危機の時がそうだった。

  問題は現在それほどの危機状況かということだ。
 これに対しては経済専門家の間でも異なる見方が少なくない。
 ある人は景気がとても悪化しており、ひとまず緊急な浮揚策を使った後に景気がある程度生き返れば本格的な構造改革に出なければならないという。
 これに対し他の人は昨今の景気低迷はこれまでの2回の危機ほど緊迫した状況ではないとみて短期浮揚策よりも構造改革を進めるべきと主張する。
 崔ギョン煥式の解決策は実際前者に近い。
 ひとまず拡張的財政金融政策を通じて下半期までに景気を回復させた後、来年から本格的な構造改革に突入するという構想だった。
 ところが短期浮揚策の効果が上がらず景気低迷が続き、あちこちから叱責が続いている。
 崔ギョン煥副首相の経済政策はすでに失敗したと断定するかと思えば、これからは浮揚策を引っ込めて構造改革に出なければならないという注文が殺到している。

  事実を言うなら崔ギョン煥経済チームの短期浮揚策はまともに展開されたこともなく、その結果景気が生き返ることもなかった。
 財政資金をさらに放出したわけでもなく、金融側でも金利を下げたがお金が回らないので浮揚効果を上げることもできないのだ。
 その上に力を入れていた不動産対策も国会の立法処理遅延に妨げられ効果は失われた。
 このため短期浮揚策にはまって構造改革ができないのが失敗の原因という指摘は見当違いだ。

 いま韓国経済が直面した最も深刻な問題は低成長だ。
 ここには景気循環的な沈滞要因と人口構造変化、経済発展段階上の構造的な要因が複合的に作用する。
 短期的な沈滞を放置することもできず、経済の構造改善から手を離すこともできないのだ。
 景気低迷をそのまま放置すれば経済回復の推進力を失い、構造的な問題を改善しなければ持続可能な成長動力を失うためだ。
 それなら短期的に景気を浮揚するのと構造的な経済体質改善を選択的に区分し別個に推進する理由はなくはないか。
 短期的な浮揚策と中長期的な構造改革を並行しようということだ。

  低成長の固定化を仕方のない宿命として受け入れようとするならこれ以上話す言葉はない。
 しかしここで座り込んでしまえば韓国経済は再び立ち上がれなくなり、それでも何かをしようとするならなら、いまこそ経済回復と構造改善のゴールデンタイムだ。
 いま崔ギョン煥経済チームに与えられた課題は、いくらも残っていない経済のゴールデンタイムに景気回復と構造改善を調和させられる精巧なマスタープランを作り実行に移すことだ。
 散発的に個別の政策を乱発するのではなく、景気回復と構造改善が互いに連係して相乗効果を出せる政策をまとめなければならない。
 そんな時間も多くは残っていない。



2014年12月19日08時48分 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/252/194252.html?servcode=300&sectcode=300

韓国経済、衝撃防ぐ「ゴールデンタイム」3カ月のみ

  金利の時計の針は回り始めた。
 秒針が向かう1次目的地は来年4月だ。
 米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長がその月に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げの議論を始めると予告したからだ。
 韓国経済が米国の利上げの衝撃に備える時間は3カ月ほどしか残っていないという意味だ。

  家計負債の増加速度を遅らせ、市場に広まった「D(デフレーション)の恐怖」を事前に遮断するという宿題が、政府と韓国銀行(韓銀)の目の前にある。
 金利上昇に最も鋭敏に反応するのは家計の負債だ。
 出口を探すのは容易ではない。

  今年9月末、家計の負債は1060兆ウォン(約114億円)を超えた。
 8月、政府の不動産貸出規制緩和と利下げの影響で、家計負債の増加ペースはさらに速まった。
 銀行などを通じた貸出は今年10月の1カ月間に7兆8000億ウォン増え、韓銀が統計を出し始めた2003年以降、最も大きな増加幅となった。
 銀行が自主的に貸出速度を調節するほどだ。

  第2金融圏(ノンバンク)は危機を迎えた。
 住宅金融規制の緩和で担保貸出者が銀行に移り、信用貸出が増えた。負債償還能力も落ちている。
 信用回復委員会にワークアウトを申請した人は2012年の9万人から昨年は9万7000人に増えた。

  また韓銀は、韓国金融市場が好材料には反応が鈍く、悪材料には過敏に反応する現象に注目している。
 韓銀の関係者は
 「世界株式市場の流れを比較してみたが、
 韓国のように株価下落が続いている国はロシア・ベネズエラ・ブラジルほどだった」
とし
 「産業成長動力では中国に押され、日本の円安攻勢も激しくなり、韓国経済の躍動性が落ちた。
 構造的な問題と解釈される」
と述べた。
 経済指標にも表れる現象だ。

  1%台の低い消費者物価上昇率が25カ月続き、四半期別の経済成長率は0%台から抜け出せずにいる。
 しかし処方は容易でない。
 ひとまず専門家は韓銀が来年、年2%の政策金利を1%台に引き下げ、景気浮揚と危機防御に出る可能性がさらに高まったと診断する。

  KDB大宇証券のキム・ハクギュン投資戦略チーム長は
 「2004年6月に米国が金利を引き上げた時も、韓銀は同年の8月と11月の2回、金利を下げた。
 米国の緊縮政策の衝撃を防ぐため、むしろ金融を緩和する選択をした」とし「当時、一時的な金利政策の不一致があったりしたが、その後、韓銀は市場が安定したと判断した後、米国に従っていく政策を選択した」
と述べた。
 サムスン証券のユ・スンミン取締役も
 「来年1-3月期に韓銀が市場の流れに基づいて利下げを選択する余地があるとみる」
と述べた。

  ひとまずイエレン議長が来年1-3月期には利上げをしないと述べただけに時間に余裕があるうえ、下半期になるほど利下げカードを使う余地が減るため、もう一度利下げをするなら来年1-3月期が最後の機会になるということだ。



2014年12月19日15時36分 [ⓒ 中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/286/194286.html?servcode=300&sectcode=300

韓国、1%未満の大企業が全企業売上額の64%占める

★. 韓国の全企業の0.8%に過ぎない大企業が、
★.全企業の売上額の64%以上を占める
ことが明らかになった。

  韓国統計庁が19日発表した「2013年基準、営利法人企業体の行政統計暫定結果」を見ると、昨年の大企業の数は4223社で全企業の0.8%に過ぎなかったが、売上額は2659兆ウォンで全売上額の64.4%に達した。
 中小企業の数は50万2000社で全体の99.2%だったが、売上額は1473兆ウォンで35.6%にとどまった。

  昨年の全企業の総売上額は4131兆ウォンで2012年より1.0%増にとどまり、2012年の前年対比増加率である3.6%よりも低くなった。

  昨年の大企業の売上額は2659兆ウォンで1年前より0.3%減少した。
 一方、中小企業の売上額は1473兆ウォンで3.5%増えた。



2014年12月22日11時12分 [ⓒ 中央SUNDAY/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/345/194345.html?servcode=100&sectcode=120

【コラム】国がうまくいきそうな印象与えて=韓国

  先週末、自民党の圧勝で終わった日本の総選挙は妙だった。
 4-6月期の連続マイナス成長、消費税引き上げ、記録的な円安と高い物価。
 ほかの国なら与党が沈んで野党が勢いづくような選挙であった。
 日本は正反対だった。
 さらに野党代表ランナーの海江田万里・民主党代表は東京の小選挙区で落選した。
 一方、アベノミクスの設計者である浜田宏一エール大学名誉教授は中央日報とのインタビューで
 「アベノミクスのおかげですべてがうまくいっている」
と話した。
 いったい何がうまくいっているというのか。
 疑問は、東京の路上で会ったサラリーマンの話で解けた。
 新宿で会った30代会社員の解釈はこうだった。
 「野党は代案がない一方で、
 自民党はそれなりに今後何かうまくやってくれるような印象を与える」。

  金融緩和・財政支出・構造改革で日本経済を再生するという安倍首相のメッセージは明瞭だ。
 株式市場の活況、歴代最低失業率は可能性を示唆している。
 ここに
 「この道しかない(安倍首相の遊説発言)」
は、切迫性を加味すれば「全て誤っている」という野党に比べて責任感もあるように見える。

  では韓半島(朝鮮半島)に目を転じてみよう。
 官僚主義の弊害を如実に見せたセウォル号事件後も、大韓民国は変わっていない。
 何度言っても
 最後まで変わりそうにない予感がさらに暗鬱だ
 権限を強化した国家安全処を新設したが、身を切るような極寒のロシア・ベーリング海で数十人のオリョン号船員が死亡した。
 「ナッツリターン事件」を自主監査する国土交通部の調査団には大韓航空の出身者が含まれ、
 芸術とスポーツを論じる文化体育観光部では長官が強いのか次官が強いのかで争いが広がった。
 天下り論争が数百回繰り返されても、大統領選挙のキャンプ・西金会〔ソグムフェ、西江(ソガン)大学出身の金融人の集まり〕の出身者たちは自分たちの利益を得た。

  米国がキューバと外交関係を修復して、国際石油価格をめぐる各国の国益確保が展開しているようなときに、“十常侍”(秘密会合を持っていたとされる青瓦台の秘書陣)やマカダミアナッツが国論の中心に立っている現実が情けない。
 韓国社会に国家の将来よりも
 「私さえ成功して楽に暮らせれば良い」
という冷笑主義が根をおろしたのではないかと残念だ。
 慰安婦妄言をする安倍首相を見れば、その厚顔無恥に憤る。
 それでも安倍首相は、日本国民から何かをしそうだという期待を受けている。

  安倍首相のように朴槿恵大統領と現政権も「今後、国がうまくいきそうな印象」を与えればと思う。
 アベノミクスをまねてイカリを上げたチョイノミクスは、もはや何をする政策なのかぼやけている。

  低出産(国・公立保育園)、
 高齢化(年金)、
 健康(4大重症疾患)、教
 育(大学入試改革)
の中で何か1つでも可能性が少し見えてきたら良いだろう。
 英国の著名な言論人ジョン・ミクルスウェイト(John Micklethwait)は中央日報のインタビューで
 「政府を改革することが、どんな社会懸案よりも急務だ。
 革命的な改革によって政府を効率的に作ることができなければ、国家という概念自体が存亡の危機にさらされるだろう」
と話した。
 変わらなければ国が危険になるという警告だ。
 どうか、もう少しずつでも変えてみよう。
』 


2014年12月31日11時10分 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/720/194720.html?servcode=100&sectcode=120

【コラム】韓国経済、「別々に」ではなく「別だが一緒に」

  年末になったのにまるで年末の雰囲気が出ないという。
 景気が深く沈んでいるところに年末だからと存分にお金を使う気分にもならず、事実使うお金もない。
 年末ボーナスを用意できる企業は珍しく、その上例年の金額と比較すればわずかだ。
 むしろ構造調整だ、緊縮経営だと言いながら人員を減らしている状況で、雇用を切られず1年を無事に過ごせたことだけでも幸いだ。
 大企業は大企業なりに、中小企業は中小企業なりに死にそうだとわめき、すでに限界状況に追いやられた自営業者はこれ以上行くところもないという。
 憂鬱で寂しい年末がこのように暮れている。

  すると新年は何か少しは良くなるだろうかと期待してみるが、そうした兆しは見られない。
 そのため年末がさらに憂鬱で寂しいかもしれない。
 毎年韓国政府が年末に出す新年経済運用計画は明るく希望に満ちた内容であふれるのが普通だが、企画財政部がこのほど発表した来年度の経済政策方向はすべて灰色の光だ。
 力を込めて経済状況は良くなるだろうという希望を表明したが成長見通しは当初予想より低い3.8%と“安全に”予想した。
 公然と成し遂げることもできない成長目標を掲げるよりは、いっそそれが不可能な現実であることを告白する方が良いと判断したようだ。
 それとともに内需活性化を通じた景気回復はそっと後まわしにして先送りし、来年の核心分野の構造改革を経済政策の中心に据えた。

  すぐに内需を回復させる妙策がないという点も理解できるし、構造改革が必要という点も認める。
 しかし景気回復のための本格的な努力をしっかりとすることもせず、内需が回復する見込みがないから構造改革に方向を定めるということではどうしても困る。
 短期的な景気回復と中長期的な構造改革は2つのうちどちらかを選ばなければならない二者択一の問題ではなく、ひとつがうまくいけば別のものはうまくいかないゼロサムゲームでもないためだ。
 逆に2つともやってこそ互いに相乗作用を起こしシナジー効果が倍加される補完的な関係だ。
 それぞれ別個の政策目標ではなく、互いに性格は異なるがともに同じく韓国経済回復のために重要な政策課題である。
 「別々に」ではなく「別だが一緒に」推進しなければならない政策目標という話だ。

  短期的な景気浮揚だけして構造改革を度外視するのも問題だが、景気が死にかかっているのに構造改革にだけオールインするからと経済が回復したりはしない。
  朴槿恵大統領は「体が悪いのに手術をせずにいられるだろうか」として構造改革の必要性を力説した。
 「改革には常に抵抗がともなうものだが、誤った積弊をそのまま放置しておけば経済を回復するのに困難があり、結局子孫に大きな負担を与える」
とも述べた。
 構造改革だけみれば正しい話だ。
 ところが前提がひとつ抜けている。手術が必要な患者も手術に耐えられるほどの体力がなければならない。
 栄養失調で体力がすっかりなくなった患者をいきなり手術台にのせることはできないものだ。
 本当に急ならば栄養剤も注入して、手術過程での出血を補充するために大量の輸血もするものだ。
 経済も同じだ。短期的な体力補強のために景気浮揚も必要で、根本的な病因を除去するための構造改革も必要だ。
 「別々に」ではなく「別だが一緒に」しなければならないことだ。

★. 韓国経済の構造的な問題点は
 輸出・大企業中心の成長方式が限界に達し、
 新たな経済パラダイムが必要
ということだ。
 その対案として提示された案が内需・中小企業中心に成長の軸を移そうということだ。
 こうした成長パラダイムの転換は経済全体の構造的枠組みを変える課題でもあり、短期的な景気浮揚の効果を最大化するための案でもある。
 崔ギョン煥(チェ・ギョンファン)経済チームが内需活性化を通じた景気回復を掲げた理由だ。
 ここでも「別だが一緒に」の精神が必要だ。
 内需を生かすために輸出を殺そうというのではなく、中小企業を育てるから大企業を叩きつぶそうというのではないという話だ。
 輸出は輸出でうまくいき、大企業が世界を舞台に伸びていくことが韓国経済には利益になることだ。
 ただこれまで内需があまりに振るわなかったため、これをもう少し引き上げ、競争力が弱い中小企業を支援して新たな成長動力とすることが重要になっただけだ。

  来年の経済運用計画でも「内需・輸出の均衡経済達成」を目標にしてはいる。
 ところが輸出に対する言及がないだけでなく、内需を育てる具体的な政策対案が見られない。
 内需振興と雇用創出の核心に挙げられるサービス業育成を対案として提示してはいるが、刮目するほどの画期的な対策は見つからない。
 ただこれまでに出てきたそうした支援策を「別々に」列挙しているだけだ。

  「三斗の珠もつないでこそ宝(どんなに高価な物でも役立てなければ無意味)」と言う。
 それぞれをみればすべて必要で正しい政策も、散発的に乱発するなら何が何だか分からないごった煮になるほかない。
 当然推進力も落ち効果も半減する。
 韓国経済の回復という大きな目標を達成するためには個別の政策の連係性を高め精巧な手順により推進する必要がある。



2014年12月23日15時16分 [ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/415/194415.html?servcode=300&sectcode=300

危機のサムスン、静かな革新

  李健熙(イ・ゴンヒ)サムスン会長が5月、急性心筋梗塞で倒れ、サムスングループは混乱した。
  グループの旗艦の役割をするサムスン電子の収益性はピークを過ぎて急降下した。
  シャオミなど中国スマートフォン企業が猛追撃する状況で、対応策を準備できなかった。
 無線事業部の肥大化した組織は悩みの対象となった。
 お互い責任を転嫁するなど組織内部に不安感が急速に広まった。
 李会長の長期不在で危機感はさらに強まった。

  しかし次世代リーダーの李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長が、静かではあるが確実に変化を図っている。
 内部の反発にもかかわらず
★.スマートフォンとテレビのモデルを大きく減らす
ことにした。
 中小企業が不満を抱く中でも、
★.製品レベルを高めるために部品の独自生産比率を高めた。

  役職員の動揺がなかったわけではないが、組織もある程度整理した。
 白血病の被害を補償するための交渉にも積極的に取り組んだ。
 危機感を抱かせるために来年の役員の年俸は凍結することにした。
 1993年に李健熙会長が「妻子を除いてすべて変えよう」と主張した改革DNAが「李在鎔スタイル」で具現されたという評価が出ている。

  ◆果敢に構造改革を断行

  サムスン電子は危機を迎えるたびに体質の変化を模索し、再飛躍した。
 1997年の通貨危機当時も大規模な構造改革を先制的に断行し、「勝者の条件」をそろえた。
 会社のゴルフ会員券をすべて処分するほど強度は高かった。
 2008年に米国発金融危機が発生する前にも果敢に問題点を解消し、スマートフォン事業に力を集中させた。

  今年もこうした危機対応力は発揮された。
 肥大化した組織を大きな雑音なく縮小した。
 蓄積された構造改革ノウハウを活用して組織改編の正当性を役職員に説得した後、転換配置などを活用し、無線事業部の人員を大幅に減らした。
 今月初めの人事で実績不振のIM(IT・モバイル)事業部門の申宗均(シン・ジョンギュン)社長を留任させ、組織を安定させる姿を見せながらも、部門内の社長級7人のうち4人を送り出したのが代表的な事例だ。

  最近の組織改編でソフトウェアを担当するメディアソリューションセンターと全社企業間取引(B2B)業務の責任を負うグローバルB2Bセンターを解体し、関連機能を現場業務と直結する各事業部に移したのも、組織に緊張感を与えるための措置だった。

  今後、問題の余地がある社会的葛藤も解決の方向も定めた。
 半導体ライン勤務者の白血病発病に関し、これまでサムスンを攻撃してきた白道明(ペク・ドミョン)ソウル大環境保健学科教授を調整委員として受け入れるほど積極的だ。

 ◆「李在鎔時代」の軸を用意

  事業の側面でも変化が少なくない。
 スマートフォンとテレビのモデルの数を大幅に減らしたのが代表的な事例だ。
 その間、国別に発売した特化モデルをほとんどなくし、価格帯別の代表モデルをいくつか残すことにしたのだ。

  サムスンの関係者は
 「モデル数が多いのにもそれなりの理由があり、それぞれのモデルを担当する利害関係者も少なくないため、数を減らすのは容易でない」
とし
 「李副会長の強い意志があったからこそ可能なことだ」
と説明した。

  製造部門では部品などを独自で生産する内在化率を大きく高めたのが目につく変化だ。
 生産効率を高めて最高レベルの部品を作るためには、外部に依託するより自ら生産するのがよいという判断からだ。
 その間、部品を供給してきた中小協力企業が不満が表したが、一度決めれば推し進める姿を見せた。

  このほか、新しい成長動力を発掘するためにモノのインターネット(IoT)企業SmartThingsを2億ドルで引き受けるなど、大型のグローバル企業を相次いで買収した。
 サムスントタルなど化学系列会社とサムスンテックワンなど非主力系列会社はハンファグループに売却する“ビッグディール”も成立させた。
 主力事業に注力する環境を形成するという戦略だ。

  財界関係者は「李副会長が臥病中の父を意識して前面に出ないが、水面下で静かに変化と革新を推進してきた」とし「こいうした努力が実を結んでサムスンの収益性向上につながるかどうか注目される」と述べた。





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